特集

新たな市場創造を目指す食品機械業界

AI、RPA、3次元CADなどのデジタルツールを活用

食品機械の売上比を20%にまで拡大中

株式会社 酒井製作所

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画像:AI、RPA、3次元CADなどのデジタルツールを活用①ファイバーレーザ複合マシンACIES-2515T-AJ+AS-3015NTK+ULS-3015NTK(奥)とパンチングマシンEMZ-3610NTP+ASR-510M(手前)が並ぶ/②冷却システム槽

先進設備と熟練技術の融合

画像:AI、RPA、3次元CADなどのデジタルツールを活用酒井悠太郎社長

㈱酒井製作所は1970年に設立されて以来、精密板金加工、製缶加工、表面処理と間口を広げてきた。先進設備と熟練技術の融合、発注元・協力会社とのコラボレーションエンジニアリングを業界に先駆けて取り組む中、ワンストップ対応力による最良な製品の提供を可能にしている。

酒井悠太郎社長の父親である酒井宏之会長は、2000年頃から最新鋭の加工設備と、生産管理システムWILLを中核とした緻密な生産管理体制を両輪とする「デジタル板金工場」の実現に注力。特に力を入れたのが、WILLを活用した生産管理体制で、リアルタイムの進捗管理、正確な実績工数の把握、トレーサビリティーを担保するための生産プロセスの“見える化”を実現した。同社のISO9001に準じた高レベルな品質マネジメント、根拠が明確な“適正金額”の見積り、99.99%台(フォーナイン)の納期遵守率などが得意先からの信頼獲得につながっている。

一歩先をいく技術で「製造ワンストップ体制」を確立

2020年3月、設立50周年をむかえたタイミングで、酒井悠太郎社長が3代目社長に就任した。

酒井社長は大学卒業後の2012年に入社し、プログラム工程と総務部を経験。生産管理・見積りなどの実績を重ね、2019年からは専務取締役として経営にも参画。酒井会長が築いてきたポリシーを継承しながら、一歩先をいく技術で「製造ワンストップ体制」の構築に取り組み、さらなる合理化を目指してきた。

AI、RPA、3次元CADなど最新のデジタルツールを活用したDXを推進する一方、それらを武器に食品機械・医療機器の分野を中心に営業活動を強化している。

画像:AI、RPA、3次元CADなどのデジタルツールを活用左:ファイバーレーザ複合マシンACIES-2515T-AJ+AS-3015NTK+ULS-3015NTK/右:長さ3mまでの曲げ加工に対応した9台のベンディングマシンが並ぶ曲げ工程

「製造ワンストップ体制」が強み

食品機械・厨房機器はステンレスが多く使われているため、既設のファイバーレーザ複合マシンACIES-2515T-AJ+AS-3015NTK+ULS-3015NTKで、板厚0.7㎜から4.0㎜程度までのブランク加工に対応する。溶接は、TIG溶接に加えて2016年に導入したハンディタイプのファイバーレーザ溶接機FLW-600MTを使い、ひずみの少ない溶接作業を行っている。仕上げはバフ研磨による鏡面仕上げにも対応している。

ワンストップ体制が強みということもあり、ブランク工程・曲げ工程に対して溶接組立の作業エリアが広く、溶接定盤が十数台並んでおり、TIG溶接、半自動溶接などを多用している。ハンディファイバーレーザ溶接機FLW-600MTが設置されている溶接ブースもあり、食品機械などのステンレス部材にはひずみの少ない溶接で効果を発揮。取材時も食品機械部品の溶接作業を行っていた。

酒井社長は「今年から積極的に食品機械・厨房機器のお客さまにアプローチしており、少しずつ成果が出ています。当社には平板・パイプ・形鋼の加工に対応するレーザマシンFO-MⅡ RI3015もあるので、アングルやチャンネルなどを用いるフレーム架台にも対応し、一式での受注にも対応できます」と語っている。

  • 画像:AI、RPA、3次元CADなどのデジタルツールを活用ハンディタイプのファイバーレーザ溶接機FLW-600MTで食品機械の部品を溶接する
  • 画像:AI、RPA、3次元CADなどのデジタルツールを活用パン粉ホッパー

会社情報

会社名
株式会社 酒井製作所
代表取締役社長
酒井 悠太郎
所在地
愛知県豊橋市天伯町天伯72
電話
0532-47-5566
設立
1970年
従業員数
47名(パート社員含む)
主要事業
レーザ加工・板金加工・製缶・焼付塗装・黒染め
URL
https://sakaiss.ecnet.jp/

つづきは本誌2022年8月号でご購読下さい。

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