特集

医療産業の展望と課題

調剤機器の板金加工・ユニット組立に対応

厳しい品質要求への対応とVA/VE提案で顧客の信頼を獲得

株式会社 ケーディック

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画像:調剤機器の板金加工・ユニット組立に対応調剤薬局で使用される自動分割分包機のカセットラックの組立工程

調剤機器の板金加工からユニット組立まで

画像:調剤機器の板金加工・ユニット組立に対応代表取締役の井上聡洋氏

神戸市須磨区にある㈱ケーディックは、関西の大手調剤機器メーカー向けに調剤機器の板金部品加工・ユニット組立をメインで手がけている。

同社のルーツは、現社長の祖父である井上茂氏が1953年に神戸市兵庫区で創業した「神戸設計工業」。川崎重工業の下請け会社として創業した同社は、1957年に神戸設計工業㈱に法人化。1992年には、井上茂氏の子息である井上浩二氏が2代目社長に就任し、板金加工事業を展開してきた。

2003年には新規事業を行うため、「ケーディック」を新たに立ち上げた。そして2005年頃、調剤機器メーカーの1次下請け企業から受注する、調剤機器部品の倉庫・ピッキング業務を本格化。2,000アイテム以上のパーツを預かり、製品単位で部品をピッキング、得意先の組立工程へ払い出すマーシャリング事業を手がけるようになる。

その後は、パーツ単位で払い出すのではなく、ユニット単位でサブアッシーまで対応してほしいと要請を受けた。さらに2010年頃、神戸設計工業にレーザマシンがあるなら部品加工から頼みたいとの申し出を受け、部品加工からユニット組立まで一括で対応するようになり、組み立てるユニットのサイズも少しずつ大きくなっていった。

2014年、ケーディックに発注していた1次下請け会社の倒産をきっかけに、調剤機器メーカーとの直接取引が始まった。手形での支払いを受け入れられる体制にするため、2015年に法人化、㈱ケーディックを設立した。

法人化とともに同社への発注量は急激に増加。初年度で売上は倍増し、今年度は前年の1.5倍の受注を見込んでいる。井上聡洋社長は井上浩二氏の子息で、現在40歳。従業員はすべて会社設立後に採用したメンバー。平均年齢は30代で、若さと活力にあふれている。

  • 画像:調剤機器の板金加工・ユニット組立に対応レーザマシンFO-MⅡ 2412NT。旧式のレーザマシンと比べて生産性は2倍以上向上した
  • 画像:調剤機器の板金加工・ユニット組立に対応ベンディングマシンHD-5020NTによる曲げ加工

堅調な調剤薬局市場

国内の調剤薬局の市場規模は約7.8兆円、年率9%で成長しているとの統計もある。高齢化が急速に進行する中で、医薬に対する需要は右肩上がりで増加している。

厚生労働省は2016年、「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取り組みを加速させる方針を打ち出した。調剤薬局業界は、医療機関の近くに立地して調剤しか行わない「門前薬局」に対する診療報酬を減らすことが決まり、従来の医薬分業の流れから一歩進んで、複数の病院から処方された薬をまとめて管理しセルフメディケーションに寄与する「かかりつけ薬局」への転換が促進されることとなった。

これにより調剤薬局には「ただ待っているだけの薬局」ではなく「自らが主体的に地域の健康にかかわっていく薬局」への転換が求められるようになっている。立地の優位性よりもサービス面の充実が求められるようになり、経営環境は厳しさを増している。

さらに、政府は増大する医療費を抑制するため、2017年までに医薬品の70%、2020年までに80%をジェネリック医薬品(後発医薬品)とすることを目指しており、調剤薬局でもジェネリック医薬品の採用が増加。取り扱う医薬品の種類が増加したことで、調剤業務の合理化や安全・安心を含めた管理体制の強化も求められるようになっている。

こうした中で、調剤薬局業界は統廃合による業界再編が進むとともに、調剤業務の合理化を実現する自動調剤機や調剤ロボット、自動分割分包機などに対するニーズが増加している。

画像:調剤機器の板金加工・ユニット組立に対応左:自動分割分包機のカセットラックのベース部分/右:調剤機器のサブユニット

会社情報

会社名
株式会社 ケーディック
代表取締役
井上 聡洋
住所
兵庫県神戸市須磨区妙法寺字石仏谷1160-10
電話
078-741-8515
設立
2015年
従業員数
16名
主要業種
調剤機器の精密板金加工・ユニット組立

つづきは本誌2017年4月号でご購読下さい。

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