超高速・高精度加工を実現するREGIUS-AJ
建機用熱交換器の周辺部品が堅調
12kW・TK仕様のREGIUS-AJが想定以上の活躍
トーカイ工業 株式会社
熱交換器メーカーと50年超の継続取引
トーカイ工業㈱は1961年、太田政次郎氏が小田原市内で㈲東海板金として設立。それ以降60年以上にわたり、板金加工を手がけてきた。
1970年からは、現在の主力得意先でもある秦野市内の熱交換器メーカーと取引を開始。1975年には太田光昭会長が2代目社長に就任し、1981年には熱交換器メーカーのお膝元である秦野市に移転した。1991年に社名をトーカイ工業㈱に変更。2006年に秦野市戸川の現在地に移転した。
2013年、太田光俊氏が3代目社長に、太田光昭前社長が会長に就任した。
熱交換器の周辺部品が80%、FA機器カバーが20%
熱交換器 ― 中でも建設機械用熱交換器の周辺部品の仕事が、売上全体の80%を占めている。残り20%は2015年頃から取引が始まったFA機器メーカーのカバー関係で、本社工場を含め3カ所の工場で加工から溶接、塗装まで一貫して行っている。
建設機械用熱交換器の周辺部品は、主にSS材・板厚4.5㎜、6.0㎜、9.0㎜の中板を用い、レーザマシンで穴あけ・外周切断をして、曲げ加工、溶接、塗装まで行ってモジュール単位で納品する。
周辺部品のモジュールは十数点、場合によっては数十点もの子部品で構成される。物量が多いため、先頭工程であるブランク工程の生産能力が重要で、サイクルタイムの短縮と長時間稼働が求められる。そのため、同社は常に最新のレーザマシンをチェックし、更新を繰り返してきた。
一方、FA機器メーカーのカバー関係は、SPCCやSECCの1.2㎜、1.6㎜、2.3㎜の薄板が多く、中にはステンレスもある。成形・タップ加工を含むため、レーザ加工だけでは終わらない。
こうした薄板の仕事には、2010年に導入したパンチ・レーザ複合マシンEML-3510NT(サイクルローダー仕様)や、2016年に導入したファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ(サイクルローダー+TK仕様)が活躍している。
ファイバーレーザの省エネ性能を評価 ― ENSIS-AJのTK仕様が活躍
同社はこれまでSS材・中板を加工するため何台ものレーザマシンを導入してきたが、CO2レーザマシンはエネルギー変換効率が低く、電気使用量も多いため、環境負荷の面で課題になっていた。
2016年に導入したLC-C1AJの稼働実績から、ファイバーレーザの省エネ効果を検証できたため、2018年にはファイバーレーザマシンFLC-2412AJ(4kW、パレットチェンジャー仕様)を導入。SS材・板厚4.5~9.0㎜はFLC-AJでエコカットを行うようになった。以前運用していたCO2レーザマシンLC-F1NTと比較すると、切断速度は1.5~2倍に向上。切断面品質も大きな問題にはならなかった。
加工速度が速くなった分、加工済みシートから製品とスケルトンを切り離すジョイントバラシと、製品の仕分け作業の負担が増した。
EMLやLC-C1AJといった複合マシンにはバラシ・仕分け作業を自動化するテイクアウトローダー(TK)が装備されていたため、「レーザマシンにもTKを付けてほしい」と要望。2019年に導入した2台目のファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ(9kW)はレーザマシン用テイクアウトローダー(TK-3015L)付きの仕様を採用した。
ENSIS-AJは現在、フォーク式パレットチェンジャーASFH-3015GとTK-3015Lをフル活用。パレットへの素材供給から製品集積までの自動運転が可能になり、4.5~9.0㎜の中厚板材の長時間連続運転を行っている。また、仕分けを簡便にするレーザマーキングや接合部を指示するケガキ線などを加工するなど、後工程の負担を軽くする工夫もしており、大幅なリードタイム短縮につながった。
会社情報
- 会社名
- トーカイ工業 株式会社
- 代表取締役社長
- 太田 光俊
- 取締役会長
- 太田 光昭
- 所在地
- 神奈川県秦野市戸川3-3
- 電話
- 0463-74-2560
- 設立
- 1961年
- 従業員数
- 97名
- 主要事業
- 板金・溶接部品の製造、板金加工および組立溶接作業一切の業務、材料加工および溶接工程
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