特集

強みを活かし成長する板金企業

「社員が安心して70歳まで働ける環境をつくりたい」

売上の70%以上は配電盤・高圧盤・電動機の筐体

有限会社 小林鉄工

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画像:「社員が安心して70歳まで働ける環境をつくりたい」①同社が製作した配電盤の筐体(塗装は協力会社が行っている)/②ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ +AS-3015G

努力を積み重ねてお客さまからの信頼を獲得

画像:「社員が安心して70歳まで働ける環境をつくりたい」小林嗣雄社長

㈲小林鉄工の創業は1958年、大手電機総合メーカーの鳥羽工場で働いていた小林嗣雄社長の父親が退職後、独立し、前職で携わっていた器具や電源ボックスなどの仕事を外注してもらうかたちではじまった。当時は従業員は両親のみで設備もなく、鉄板を切るにもハンマーでタガネを叩いて切るような環境だった。

1966年、そんな両親の様子を見かねた小林社長が商業高校を卒業するとともに入社、仕事を手伝うようになった。しかし、小林社長が23歳になった年に父親が他界。一時は廃業も考えたが、母親の「お父さんが残してくれたものだから、続けていこう」という言葉を聞き、一念発起した。

「それからは一生懸命勉強しました。商業高校出身なので簿記・会計はできたのですが、ものづくりの技術はさっぱりでした。人の製品を見たり、本を買って勉強したりして、地道に努力を積み重ねていく中で次第に技術がともなってきました。その結果、少しずつ、お客さまの信用をいただけるようになりました」(小林社長)。

  • 画像:「社員が安心して70歳まで働ける環境をつくりたい」入社3年目ながら独学で3次元CADを使いこなす内田鈴美さん
  • 画像:「社員が安心して70歳まで働ける環境をつくりたい」2018年に導入したHD-1303LNTは深曲げにも対応している

マシン導入でボトルネック解消に取り組む

1969年、小林社長は母に代わって社長に就任した。

アマダと出会ったのは1971年。当時は設備らしい設備もなく、発注元の工場に機械を借りにいくこともしばしばだった。発注元の工場に新たに導入されたシャーリングマシンとベンディングマシンを見たときは、その能力の高さに驚いた。

「すごい機械が出た。これからの時代は、アマダの機械を導入したところとそうでないところで品質・価格の差が大きく出る、大変な競争が始まると思いました。しかし、零細企業ではそんな機械なんて到底買えません。いつかはアマダの機械を導入しようと心に誓いました」(小林社長)。

そんなとき同社にチャンスが訪れた。発注元のほかの事業所が、アマダの全長25mのブランク加工ラインの譲渡先を探しているという話を耳にしたのだ。

「導入したラインの稼働がうまくいかず、譲渡先を探しているという話で、『アマダの機械だったらうちで』と名乗り出ました。当時は自宅の玄関先の狭いスペースで仕事をしている状態だったので、これを機に工場を移転したいとも考えました」(小林社長)。

1977年、現在地に工場を移転し、譲渡してもらったブランク加工ラインを導入した。その後は中小企業近代化資金や制度融資などを活用しながら、セットプレスやコーナーシャー、ベンディングマシンなどを順次導入。ボトルネックの解消に取り組みながら事業を拡大していった。

現在、ブランク工程ではファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ+AS-3015G、レーザマシンFO-MⅡ RI3015+LSTRI -3015、パンチングマシンEM-2510NT+ASR-48M、PEGA -357の計4台が稼働し、棚付きのENSIS-AJとEMは長時間運転にも対応している。

小林社長は2019年に導入したENSIS-AJの導入効果について次のように語っている。

「ランニングコストの面でメリットが大きい。CO2レーザマシンは多い月で十数万円、アシストガスの費用が発生していました。ENSIS-AJとセットで容量1000リットルの窒素ガス発生装置(PSA)を導入したことで、それが不要になったのが大きい。電気代も安くなるし、加工スピードも速くなるので生産性が大幅に向上しています。材料棚(AS-3015G)と連動しているので、材料交換も簡単にでき、省力化を実現しています」。

  • 画像:「社員が安心して70歳まで働ける環境をつくりたい」細やかで丁寧な溶接を行う入社2年目の勢力知子さん
  • 画像:「社員が安心して70歳まで働ける環境をつくりたい」送風機本体。

会社情報

会社名
有限会社 小林鉄工
代表取締役社長
小林 嗣雄
所在地
三重県鳥羽市船津町1371-16
電話
058-382-2281
設立
1987年(1958年創業)
従業員数
20名(ほかパート3名)
主要事業
配電盤、制御盤の本体および部品の板金加工、一般製缶

つづきは本誌2021年4月号でご購読下さい。

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