ファイバーレーザ溶接ロボットへの期待と効果
「全天候型」の特別仕様でFLW-ENSISを導入
2台のシャトルポジショナーと3D定盤、走行台車の組み合わせ
楠精器 株式会社
空き工場を取得しながら事業拡大
楠精器㈱は、1951年に神鋼電機㈱(現・シンフォニアテクノロジー㈱)の協力工場として創業した。1967年に「鳥羽共同工場」に移転し、1974年にユニパンチプレスなどを導入して精密板金加工を開始。1986年、小林春生氏が社長に就任し、1989年に楠精器㈱を設立した。
1990年にパンチ・レーザ複合マシンAPELIOⅡ+NCMP-1224+MARSなどを導入し、工程統合により横持ち作業を減らして生産性の改善を行った。2003年に第2工場、2007年に第3工場を取得。第2工場にブランク加工設備をまとめた。2004年には自動金型交換装置(PDC)付きパンチングマシンEMZ-3510NTP+ASR-48Mを導入し、生産能力を増強した。2006年には3次元測定機や2次元レーザ測定装置LaserQC1200を導入し、品質管理体制を強化した。
2008年、小林春生氏は会長に就任し、小林一裕氏が社長に就任した。
同年、APELIOの後継機としてパンチ・レーザ複合マシンEML-3510NT+RMP-48M+MARSを導入。2015年にはファイバーレーザ複合マシンLC-2512C1AJ+ASR-2512 NTKを導入。2016年にハンディファイバーレーザ溶接機FLW-600MT、2017年には「ものづくり補助金」を活用してベンディングロボットシステムEG-6013ARを導入した。
2021年に「事業再構築補助金」の第1回公募(通常枠)に採択され、2022年2月にファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISを、3D定盤を載せた2台のシャトルポジショナーと4m走行台車を組み合わせた特別仕様で導入した。
2023年には「鳥羽共同工場」の中に第4工場を取得し、2023年3月にはファイバーレーザ複合マシンACIES-2512AJを導入する計画となっている。
「鳥羽共同工場の協同組合に加入している企業は当初20社ちかくありましたが、今は1/3以下に減りました。当社は休廃業した空き工場を取得しながら、事業を拡大してきた格好です」と小林一裕社長は語る。
中種中量生産が中心 ― 多品種少量生産が増加傾向
創業当初はシンフォニアテクノロジー伊勢工場との取引割合が高かった。その後は新規開拓に力を注ぎ、現在の得意先は40~50社。そのうち上位8~9社からの売上が全体の70%以上を占めるようになり、1社あたりの売上構成比は10~15%となっている。
主要製品は情報・通信機器、業務用プリンター関連、半導体向けクリーン搬送機器、貨幣処理機、アミューズメント関連機器の板金部品と、工作機械用テレスコピックカバーのカバー・シャーシ・機構部品・筐体などとなっている。
これまでは中種中量生産の割合が多く、ロット100~200個のオーダーも多かった。最近はWeb受発注プラットフォームからの受注が始まり、多品種少量・短納期生産への対応が課題となっている。
加工材料は鉄系が半分以上、最近はステンレスの割合が増える傾向になっている。板厚は0.2~3.2㎜が中心。現在はLC-C1AJ、EML、EMZの3台のブランク加工マシンで対応しているが、最近はファイバーレーザ複合マシン(LC-C1AJ)に仕事が集中する傾向が強くなっている。そのため、2008年に導入したEMLの後継機としてACIES-AJの導入を計画している。
小林社長は「ACIES-AJは2023年3月までにマシン単体で導入する計画ですが、後付けで2棚仕様にするかRMP+MARSラインにするか決めかねています」と語る。
会社情報
- 会社名
- 楠精器 株式会社
- 代表取締役
- 小林 一裕
- 所在地
- 三重県鳥羽市船津町榎谷1371-15
- 電話
- 0599-25-3591
- 設立
- 1989年(1951年創業)
- 従業員数
- 34名
- 主要製品
- 情報・通信機器、業務用プリンター部品、半導体向けクリーン搬送機器、空調機器部品、貨幣処理機部品、アミューズメント機器、テレスコピックカバー部品
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