工程統合複合加工とファイバーレーザ
設備力も後押し、半導体・FPD製造装置関連が好調
ACIES-AJの生産性とランニングコストが魅力
株式会社 二豊鉄工所
①ファイバーレーザ複合マシンACIES-2515T-AJ+ASR-3015NTK+ASR-510M/②ACIES-2515T-AJで加工したステンレス製品
板金から機械加工までをフル設備
戸高信一郎社長
戸高信義会長は学校卒業後、大阪への就職を考えていたが、父親から反対され義理の兄の紹介で佐伯市内の製造業へ入社した。そこで7年半ほど機械装置・設備の修理を担当、さまざまな経験を積んだ。そして1972年個人で起業、6人ほどの社員で仕事を行う中で、事業は少しずつ拡大、1975年に㈲二豊(にほう)鉄工所を設立した。もともとこの辺りは豊後(ぶんご)・豊前(ぶぜん)と呼ばれた地域で、佐伯市に根差し“豊(ゆたか)”に発展することを目指して「二豊鉄工所」と名づけた。
1979年からは佐伯市内にあった業務用の冷凍・冷蔵庫、ショーケース、製氷機、自販機および冷熱応用製品の製造を行う上場会社の大分工場から、業務用冷蔵庫製造の設備関連の修理などの仕事を受注。1980年からは、得意先からの支給品で業務用冷蔵庫の電気ボックスの組立を行うようになった。ていねいにつくることを心がけ、顧客満足度向上に努めた。それが得意先に認められ得意先指定の商社を通して電装部品を自社調達し、加工、組立までを一貫受注するようになった。
継続取引で親しくなった商社から仕事先を紹介してもらうようになり、九州に進出した大手企業の工場から新規の仕事を受注するようになった。紹介される仕事の大半は多品種少量生産品が多く、本社工場だけで量産から多品種少量生産まで対応することには無理が出てきた。そこで、1998年に本社工場から車で15分ほどの場所に海崎工場を開設。量産品の業務用冷蔵庫は、板金加工から電装品組立までを本社工場で対応し、海崎工場は多品種少量生産に特化するようになった。
配線組立には、ボスやブラケットなど機械加工部品が必要になる場合がある。ところが佐伯市内にはロット100個を超える注文に応じてもらえる機械加工工場はなかったため、内製化するようになった。8枚のパレットチェンジャーを備えたマシニングセンタをはじめ、NC旋盤、ワイヤ放電加工機などを導入していくと、今度は機械加工だけの仕事も受注するようになった。
機械加工設備が導入されるようになると、大型化が進む半導体・FPD製造装置の架台製作の仕事も受注するようになった。パイプ・アングル・チャンネルなどの形鋼を機械加工して溶接した後に仕上げ加工するため、5面加工機などの大型設備も導入していった。板金加工・製缶・機械加工の複合加工でワンストップ対応ができるようになると、塗装工程も取り込むようになり、焼付塗装から粉体塗装までに対応するようになった。
5面加工機で製缶加工後の仕上げを行う
3次元測定機を設備した検査室
前期は15%の増収
戸高信一郎社長は「仕事に応じて、今のような設備になっていきました。板金加工も機械加工も最新設備を導入、マシンの機種も豊富で、板金加工・機械加工・製缶加工のバランスもちょうどよい状態です。10月1日から42期が始まりました。おかげさまで夏過ぎから半導体・FPD関連のお客さまから来年の生産計画の内示をいただいており、9月末の段階で来年の仕事がかなり見えています。41期(前期)は前期比で15%程度の増収となり、年商20億円を超えました。今期も現在の活況が続けば増収増益を見込めます。さらに生産体制を充実する必要があるため、本社工場の隣接地を購入しました」と前向きな発言をしている。従業員は本社工場に50名、海崎工場が100名となっている。
溶接工程は、小物製品の溶接と、大型のフレーム・筐体を溶接するエリアに分かれている
半導体製造装置はクリーンルームで組み立てる
会社情報
- 会社名
- 株式会社 二豊鉄工所
- 代表取締役会長
- 戸高 信義
- 代表取締役社長
- 戸高 信一郎
- 本社住所
- 大分県佐伯市弥生江良1836-1
- 海崎工場
- 大分県佐伯市海崎842-8
- 電話
- 0972-46-0851(本社)
- 設立
- 1975年
- 従業員数
- 160名
- 主要事業
- 精密板金加工、精密機械加工、製缶(溶接)、焼付塗装、ハーネス加工、装置組立
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