「日本ものづくりワールド」開催
ポスト五輪を見据え、関東圏に商機を求める
板金企業80社超が出展
「日本ものづくりワールド2015」が6月24日から26日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された。主催はリードエグジビションジャパン。同展は、「設計・製造ソリューション展」「機械要素技術展」「医療機器 開発・製造展」「3D&バーチャルリアリティ展」の4つの展示会で構成されている。出展者数は前回比6.1% 増の2,230社・団体で過去最多。会期中の来場者数は同1.1% 増の8万1,469人となった。
五輪需要で活況な関東圏をターゲットに市場開拓
板金加工企業の出展者数は、編集部が確認できただけで前回の倍以上となる81社にのぼった(板金工程を社内にもつメーカーなども含む)。
出展者のコメントを総合すると、足もとの業績はまだら模様。関東圏は五輪需要で活況となっている反面、東海以西では仕事量が減少し、受注単価が上がらず、利益率が低下している傾向がうかがえた。関東圏の出展者も「現在は好調でも、2020年以降のポスト五輪は不透明」と気を弛めていない。そうした中で、ほとんどの出展者が「ポスト五輪も見据え、活況な関東圏の市場開拓を目指したい。今が攻めどき」という積極的なマインドをもっていた。
こうした攻めの姿勢は、会場を訪れるバイヤーにも共通していた。図面を持って来場していたメーカーの開発・設計担当者に話を聞くと、「これまでは大型機種が中心だったが、今後は小型機種の開発にも力を入れていこうとしている。現在取引している板金サプライヤーは中厚板に偏っているので、今回は薄板の加工を得意とする板金サプライヤーを探しにきた」(道路機械メーカー)、「新機種の開発試作で、厚板ハイテン材のレーザ加工に対応できるサプライヤーを探しにきた」(特殊車両メーカー)といった声が聞かれた。いずれも従来とは異なる領域の新製品開発にともなって、新たな製造パートナーの探索を目的としていた。
こうした傾向を裏づけるように、会場ではそこかしこのブースで図面を広げ、商談が繰り広げられていた。板金サプライヤーからは「前回と比べて来場者数が増えている印象はない。しかし、具体的な問い合わせや引合いの件数は明らかに増えている」との声が多く聞かれた。板金サプライヤーが来場したバイヤーから問い合わせを受ける内容は、「短納期対応ができるか」「アルミやチタンの高品位溶接に対応できるか」「組立・表面処理までワンストップで依頼できるか」「協力会社に頼るのでなく自社内に工程をもっているか」―など。コストダウンは当たり前で、短納期、品質管理、難加工材の加工能力、アセンブリーまで対応できる総合力などが求められているようだ。
また、具体的な課題をもって来場しているメーカーの開発・設計担当者は、事前調査で出展者2,230社・団体の中から訪問企業を絞り込んでから来場しており、「出展者はもっと具体的なキーワードを設定して、検索性を高めてもらえるとありがたい」(環境機器メーカー)と希望する声もあった。
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