Interview

ワンストップサービスを支える多能工集団

平均年齢30代前半 ― サイン・ディスプレイ業界の「空間創造企業」

株式会社 晃新製作所 代表取締役社長 星野 耕一 氏

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画像:ワンストップサービスを支える多能工集団星野耕一社長

サイン・ディスプレイやモニュメント・オブジェ、高級建築金物などを手がけ、「空間創造企業」をビジョンに掲げる㈱晃新製作所。デザイン・設計から製作、施工、メンテナンスまでワンストップで手がける生産体制を強みに、鉄道事業者・空港運営会社・百貨店・商業施設・オフィスビル・スタジアムなどで多種多様な施工実績を持つ。

以前は医療機器関係の板金加工を手がけていたが、子息の星野耕一社長星野光男常務が入社してからは、サイン・ディスプレイ・建築金物の分野へと徐々にシフト。それにともなって加工設備の入れ替えを進め、ブランク工程では自由形状に対応するレーザ加工、曲げ工程では長さ3mまでの長尺製品への対応を強化していった。

それと並行して、人材確保と人材育成には特に力を入れてきた。同社が手がける製品はほとんどが一品一様で、工業製品というよりは「アート寄り」(星野社長)。そのため、大手ゼネコンや設計者、作家やデザイナーと向き合い、その思いをカタチにする役割を担う同社のスタッフには、幅広い知識と技術に加え、人間的な魅力も求められる。

「製造部」を構成する約40人のメンバーは全員が多能工。平均年齢は30代前半と若く、世に残る製品を手がける使命感と責任感を持ち、ものづくりに対する高いモチベーションを維持している。

星野耕一社長と星野光男常務、製造部の中核を担う山口慶本部長印出(いんで)広基管理部長に話を聞いた。

「空間創造企業」をビジョンに掲げる

― 複雑形状への対応や高い外観品質が求められるサイン・ディスプレイ業界でさまざまな実績をお持ちです。今日までの発展の経緯をお聞かせください。

星野耕一社長(以下、星野社長) 当社は1974年に父が創業し、薬品充填機の筐体や大学病院で使用する飼育ケージといった医療系の精密板金加工を手がけてきました。

1996年、サイン・ディスプレイ関係の工場で製作スタッフとして勤務していた弟の常務(星野光男常務)が入社し、その翌年、建築金物のメーカーやモニュメント・オブジェの製作会社で営業を経験していた私が入社しました。私は大学で建築設計を学んだので、入社当初は営業兼設計スタッフとして、前職で馴染みのあるサイン・ディスプレイ業界の仕事を開拓し、医療関係の分野からシフトしていきました。今ではサイン・ディスプレイ関係が売上全体の約80%、モニュメント・オブジェが約10%を占めています。

医療関係は精密小物、サイン・ディスプレイ関係は大物・長尺の製品が多く、社内の加工設備では対応できなかったことから、当初は協力会社に加工を委託していました。外注に依存していると付加価値が上がらず、短納期対応にも限度があるため、2005年以降は、レーザマシンや3m対応のベンディングマシンを導入し、内製化を進めていきました。

2次元設計CAD(AutoCAD)や3次元ソリッド板金CAD SheetWorksも導入し、設計からの対応力も強化しました。さらに施工・メンテナンスまで対応することで、サイン・ディスプレイ・モニュメントの「ワンストップサービス」を特色として打ち出すようになりました。

画像:ワンストップサービスを支える多能工集団左から印出広基管理部長(製造部)、星野耕一社長、星野光男常務、山口慶本部長(製造部)

  • 画像:ワンストップサービスを支える多能工集団若手社員が集まって不定期に開催している勉強会の様子。今回は溶接技術向上のためTIG溶接機の特性や設定などについて学んでいる
  • 画像:ワンストップサービスを支える多能工集団AutoCAD LTで作成した三面図(左)と3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで作成した3次元モデル(右)

得意先・施工現場は都心が中心

― 5つの製造拠点の役割分担について教えてください。

星野社長 5つの拠点はすべて徒歩圏内で、第1工場と第2工場では主に板金加工・溶接・組立を行い、第1工場は一品一様の製品、第2工場では比較的ロットが大きい製品を製作します。第3工場は鋼材・樹脂などのレーザ加工、第4工場・第5工場では溶接やLED・ガラスの組み込みなど、完成品とする組立作業を行っています。

― どういったお客さまと取引されているのでしょうか。

星野社長 ディスプレイ業界の大手企業、設計事務所、デザイン事務所、広告代理店などが中心で、ほとんどが都心にいらっしゃいます。施工現場も都心が中心です。

― 受注から製作、納品までの流れを教えてください。

星野光男常務(以下、星野常務) 引合いをいただいてから、打ち合わせを重ね、図面承認、確定受注、検査、納品、施工、引渡しまで、長いと半年くらいかかります。規模によっては製作だけで2カ月、施工に1カ月くらいかかる場合もあります。

使用材料は鉄が60%、ステンレスが30%、アルミが10%。鉄はSECCが中心です。在庫している板厚は、鉄が1.2~6.0㎜、ステンレスは2Bとヘアラインの1.5㎜です。材料業者が多い川口という土地柄、午前中に注文すれば午後には届けてもらえるので、よく使う材料だけ在庫しています。

画像:ワンストップサービスを支える多能工集団左:2020年2月に同時に導入したレーザマシン、FO-MⅡ 3015NT/右:同社が製作・施工した成田空港のサイン

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会社情報

会社名
株式会社 晃新製作所
代表取締役社長
星野 耕一
所在地
埼玉県川口市榛松1615-1
電話
048-285-2351
設立
1977年(1974年創業)
従業員数
62名
主要事業
公共事業・オフィスビル・商業施設・病院・ホテル・学校などのサイン・内装金物の設計・製作・施工/広告塔・時計塔・モニュメント・オブジェの設計・製作・施工/店舗・展示会におけるディスプレイ金物の設計・製作・施工
URL
https://www.kosing.co.jp/

つづきは本誌2021年10月号でご購読下さい。

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