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2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指す

コロナ禍の中、自社商品を相次ぎ発表 ― 新たな事業の柱に

日崎工業 株式会社

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画像:2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指す①工場屋根に設置した自家消費型の太陽光発電パネル(163枚・発電容量50kW)/②③2020年9月に導入したファイバーレーザマシンENSIS-3015RIと、2019年3月に導入したファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ。生産性向上と電力消費量の低減に貢献している

「メタルワークのプロ集団」 ― サイン・イベント業界で存在感

画像:2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指す代表取締役の三瓶修氏

川崎臨海部の京浜工業団地で事業を展開する日崎工業㈱は、各種サインを中心に、イベント造作物・建築金物・什器備品・モニュメントなど、きわめて高度な外観品質が求められる製品の設計・製作・施工をワンストップで手がけている。「メタルワークのプロ集団」を標榜する同社の加工技術と溶接・研磨の仕上がり、建築CADと3次元CADを駆使した設計能力には定評があり、長年にわたり首都圏のサイン業界で強烈な存在感を示し続けてきた。

昨年以降は、コロナ禍で業績が落ち込む中、B to B向け、B to C向けの自社開発商品を相次いで発表した。さらに、総勢26名の中小製造業でありながら、2030年までにカーボンニュートラル(CO2排出量ゼロ)の達成を目指すという意欲的な目標を掲げたことで、各種メディアで大きく取り上げられ、注目を集めている。

画像:2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指す電気料金とCO2排出量の推移

「理念経営」で立て直すも新型コロナで大打撃

1967年の創業当初から、サインを中心とする板金加工製品を手がけてきた。1989年に三瓶修社長が入社してからは、三瓶社長がみずから建築・インテリアデザイン用CAD VectorWorksを駆使して設計業務にも対応。それ以降はサインだけでなく、イベント造作物や内装といった建築に付随する仕事も取り扱うようになり、企画のサポートから設計・製作・施工までワンストップで対応できる体制を構築した。特殊な用途の一品モノにトータルで対応できることは大きなアドバンテージとなり、その後の10年間で従業員数は約2倍に、売上高は約4倍に増加した。

しかし、サインやイベント造作物といった同社の主力業種は、景気変動の影響を受けやすい。ITバブル崩壊にともなう景気後退により2001年以降は低迷期に陥り、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災が追い打ちとなって、売上高はピーク時の1/2ちかくまで減少した。

この危機的な事態を打開するため、三瓶社長は「理念経営」を採り入れ、経営指針を作成して、企業理念・企業目的・事業目的・経営方針・行動指針・存在意義(ミッション)・将来展望(ビジョン)などを社員と共有。従業員満足度を高めながら全社一丸となることで事業の立て直しをはかった。また、新たに1/1スケールの訓練用航空機モックアップの事業に取り組むようになったことで、業績は急速に回復した。

今期(2021年6月期)は、期初からコロナ禍の影響を受け、売上高は前期比38%減と大幅に落ち込む見込みとなっている。

三瓶社長は「今期前半(7-12月)は苦戦したものの、年末にかけて内装工事の仕事が順調に推移しました。しかし、年明け以降は再び落ち込み、単月の売上金額はコロナ前の半分程度にとどまっています」。

「来期も苦しい状況が続くでしょう。主力のサイン関係―特に電鉄と空港のサイン関係の仕事が減少し、東京五輪関係の仕事も先延ばしになっています。1案件あたりの受注金額が大きい航空機モックアップの仕事も発注が止まっています」と語っている。

  • 画像:2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指すキッチンカーのボディユニット(製作中)。軽トラックの荷台に搭載するタイプ
  • 画像:2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指す2021年2月に発表したB to C向け自社ブランド「Kumpel」シリーズの焚き火台

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会社情報

会社名
日崎工業 株式会社
代表取締役
三瓶 修
所在地
神奈川県川崎市川崎区大川町7−2
電話
044-366-7711
設立
1967年
従業員数
26名(パート・アルバイト含む)
事業内容
オーダーサイン・イベント造作・什器備品、航空機モックアップ、特注金属加工品(建築金物・実験什器など)、その他板金加工品の設計・製作・施工/インテリアブランド「Metal Sense」、アウトドア用品ブランド「Kumpel」などの自社商品の開発・製造・販売
URL
https://www.hizaki.jp/

つづきは本誌2021年4月号でご購読下さい。

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