板金論壇

日本の未来を創るために力を注げ

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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“withコロナ”を意識した行動を

5月25日の緊急事態宣言解除に続き、6月19日には都道府県をまたぐ移動の自粛が解除され、人々は日常生活を取り戻そうとしています。学校が開校し、午前と午後、または曜日の区分による分散登校が始まりました。親たちは、リモートワークなど多様な働き方に変わりながらも、通常の勤務態勢に戻りつつあります。休業していたテーマパークや宿泊施設、飲食店は営業を再開し、若い人たちが繁華街へ繰り出す姿がたびたびテレビに映し出されています。

しかし、全国の新規感染者数は日に日に増加しており、警戒を緩めることができない状況です。東京都では、新宿区内の接客業界で働く従業員などを対象にPCR検査を積極的に実施することで、無症状の新規感染者が増加しています。しかし都は「第2波ではない」として、飲食店などの営業時間を短縮するなどの自粛要請は行わないとしています。深夜の接客店で働くのは20~30代の若者が多く、たとえ罹患しても症状が出にくく、症状が出ても重症化しにくいことから、軽く考えられているのかもしれません。

街中の路上や公共交通機関内でも、最近はマスクを着けない人の姿をよく見かけるようになりました。夏本番をむかえ、厚生労働省は熱中症対策から「屋外で人と十分な距離が確保できる場合にはマスクを外すこと」とコメントを発表していますが、それを差し引いても警戒がゆるんでいる印象は否めません。

いったん再開した経済活動を再び停滞させることは難しく、新規感染者数の増加もやむを得ないと考えられている今の状況では、新型コロナウイルスと社会経済活動との両立 ― “withコロナ”に対応していくことが求められています。そのためには社会を構成する私たち一人ひとりが「新型コロナと共存する」という覚悟を持つことが重要です。

世界経済は「大恐慌」以来のマイナス成長に

2020年の世界経済の見通しは、きびしい予測が相次いで発表されています。

経済協力開発機構(OECD)の経済見通しでは、2020年4-6月期に世界経済が底を打つ「単発シナリオ」と、7-9月期に回復に転じるも感染第2波によって10-12月期に再び下落に転じる「双発シナリオ」を発表しました。世界の経済成長率は「双発シナリオ」で▲7.6%、「単発シナリオ」で▲6.0%、日本は「双発シナリオ」で▲7.3%、「単発シナリオ」で▲6.0%と予測されています。

国際通貨基金(IMF)は、2020年の世界の経済成長率は▲4.9%、日本は▲5.8%とし、2020~2021年の2年間の経済損失が12兆5,000億ドル(約1,300兆円)にのぼると予測しました。この金額は日本のGDP(536兆円)の2.4倍に相当し、「大恐慌以来の最悪の景気後退」としています。

景気後退によって多くの雇用機会が失われ、社会経済活動が大きなダメージを受けることはまちがいありません。だからこそ世界各国は、感染予防対策を行いながら経済活動を再開しています。しかし、ドイツや米国の一部地域では、新規感染者数が経済活動を再開する以前よりも増加し、再び移動制限などの規制を強化する動きが出ています。

つづきは本誌2020年8月号でご購読下さい。

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