特集

発展する食品機械と板金加工

世界の食市場は680兆円、“ニッポン力”で獲得を

「FOOMA JAPAN 2019」開催 ― HACCP制度化と人手不足への対応が大きな課題

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画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調「FOOMA JAPAN 2019」の会場。7月から利用開始となった東京ビッグサイト南ホールにも多数の来場者が訪れた

10万人が来場、海外からの来場が目立つ

一般社団法人日本食品機械工業会が主催するアジア最大級の専門展示会「FOOMA JAPAN 2019」(2019国際食品工業展)が7月9日~12日の4日間、東京ビッグサイトで開催された。食品機械工業の発展と国民生活の向上に貢献することを目的に始まった同展も今年で42回目。今回の開催テーマは「食の技術のニッポン力」。食の安全・安心を固守しつつ、省力化、省人化、高付加価値化、業界を取り巻く人手不足を補う自動化など、日本ならではの最先端の製品・技術・サービスが多数展示された。

前回は東京ビッグサイト東1~8ホールで開催されたが、今回は東京五輪の開催準備のため、東京ビッグサイト西1~4ホール・アトリウムと南1~4ホールに会場を移しての開催となった。展示面積は従来の70%程度となり、出展者数は前回比13.8%減の688社となったが、来場者数は前回とほぼ同じ10万680人(前回は10万210人)。海外からの来場者は22.4%増の5,134人で、特に中国からの来場者が目立った。なお、次回の「FOOMA JAPAN 2020」は、東京五輪開催年にあたるため、インテックス大阪で開催される。

世界の食市場は680兆円

開会式で来賓として挨拶した経済産業省製造産業局産業機械課・玉井優子課長は「世界では経済成長や富裕層の増加などにより、魅力的な市場がますます広がっている。2020年には2009年比で約2倍の680兆円の食市場が広がっている」と、食に関わるマーケットの世界的な広がりと高い伸びを紹介。日本の食品機械メーカーのいっそうの活躍を期待した。

会場では、食品の高品質化をはかる技術、生産効率化のための最先端テクノロジー、人手不足に対応する自動化技術、エンジニアリング・ロボット・IoTなどが展示された。進化を続ける食品機械のデモンストレーションと併せ、世界に誇る日本発の技術と製品が数多く紹介された。

中でもパッケージング・搬送・箱詰めなどの工程に最適な高速ロボット、洗浄可能な食品用ロボットジャケット、協働ロボットといったロボットアプリケーションが来場者の関心を集めていた。

来年に迫ったHACCP(ハサップ)制度化(義務化)への対応も大きなテーマとなっていた。2018年6月13日に「食品衛生法等の一部を改正する法律」が公布され、原則としてすべての食品事業者はHACCPの衛生管理手法を導入することが義務づけられることになった。法の施行は公布から2年以内となるため、HACCPが制度化されるのは2020年6月。出展者からはHACCP制度化に対応するための衛生管理対策など、多様なソリューション提案が行われた。

展示会場の1階アトリウムのステージでは、産官学の交流をはかる「アカデミックプラザ」が設置され、「海外市場展開セミナー」なども開催された。ステージのそばには、海外市場でビジネス展開を目指す企業のための「海外市場展開相談コーナー」も設置されていた。「EHEDG(イーヘッジ)コーナー」も併設され、「食の安全・安心」を担保するサニタリー設計などへの取り組みが紹介された。

画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調左:コネクテッドロボティクスは、コンビニ向け調理ロボット「Hot Snack Robot」を出展し注目を集めた/右:アンリツインフィビスはAIを採用し、人間にちかい識別力で不良品を発見するDeep Learning機能をPR

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