特集

曲げの自動化が進む台湾板金業界

11年で創業時の5.5倍に成長

人材育成と最新設備導入で発展

久祐實業 股份有限公司

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画像:11年で創業時の5.5倍に成長ファイバーレーザマシンFLC-4020AJ+ASFH-4020

事業の90%が建築金物

画像:11年で創業時の5.5倍に成長柯志銘総経理

久祐實業股份有限公司は、柯志銘総経理が2006年、台中市内で300坪の貸工場で創業、今年創業11年目を迎えた。事業の90%が建築金物――防爆ドア・窓枠・各種パネル・ひさしなどで、残り10%が設備装置・食品機械などのカバー類。創業時と比べ、売上は5.5倍に発展した。

今年になって台中市内で第2期の造成が進む工業団地に820坪の用地を取得し、ここに6階建て(工場部分は3階建て)、延べ床面積1,800坪の新工場を建設している。正式な完成は2017年11月末になるが、設備はすでに移設し、生産を開始した。

この工業団地には工作機械の台湾トップメーカー、台中精機の新工場をはじめ、台湾を代表する有力企業の工場が軒を連ね、台中市内でも最大の工業団地になろうとしている。その一角に建つ同社の新工場の外壁に設置された自社製のひさしは赤色に塗られ、遠くからもひときわ目を引く。

ステンレス製サッシ、ドア、窓枠は自社製品で、工場が丸ごとショールームとなっている。工場の4階には3室のプレゼンテーションルームが設置され、大型ディスプレイに3次元モデルやCGを表示し、同社で設計・デザインされた各種建築金物を提案できるようになっている。

  • 画像:11年で創業時の5.5倍に成長2017年11月に竣工する新工場の外周の「ひさし」は自社製作した
  • 画像:11年で創業時の5.5倍に成長新工場内2カ所につくられたCADルームには合計20名のCAD担当者がいる

台湾の板金技能コンクール全国2位

今年50歳になったばかりの柯志銘総経理は、軽快な足取りで工場を案内してくれた。

高校で板金科を専攻した柯総経理は、在学中に台湾政府が主催した「板金技能コンクール」で全国2位に選ばれるほどの卓越した技能を育み、高校卒業後は2年間専門学校で学んだ。その後、2年間は兵役を務め、24歳で除隊すると市内の板金工場で3年間、精密板金加工を学んだ。その後も有力な建築板金工場へ入社し、3年間、建築板金加工の実務を学んだ。その後、30歳で退社し、通信機器の販売会社を設立して9年ほど流通業界を経験した。

柯総経理は創業までの経緯とその後の事業について、次のように語っている。

「製造工場で働くうちにモノを売る販売業界への憧れの気持ちが強くなり、販売業界で成功したいと考え、起業しました。しかし、実際は想像していたほど甘くなく、厳しい現実を突きつけられました。やはり自分はモノづくりの世界が合っていると判断し、2006年に親類縁者の支援を得、アマダ台湾のローンを利用して、久祐實業股份有限公司を創業しました」。

「中古のパンチングマシンに、アマダ製のユニパンチ、ベンディングマシンなどを導入して、事業を始めました。職業訓練法人アマダスクールが主催する第19回優秀板金製品技能フェア(2006年)に出品してアマダ賞を受賞、翌年の第20回では『造形を主眼とする組立品の部』で金賞を受賞しました。その後はアマダのレーザマシン、中古のシャーリングマシン(6m)、ベンディングマシンを次々と導入して、長尺の建築金物の加工にも対応できる設備力を備えていきました」。

「2011年は中古で購入したパンチングマシンを新機種に入れ替え、2012年にはベンディングマシンHDS-1303NTを、2013年には中古のVカットマシン(6m)も導入、生産の効率化にも力を入れていきました」。

  • 画像:11年で創業時の5.5倍に成長螺旋階段の3次元モデル
  • 画像:11年で創業時の5.5倍に成長螺旋階段の製品

会社情報

会社名
久祐實業股份有限公司
総経理
柯志銘
住所
台湾・台中市南屯區精科中二路7號
電話
+886-4-2355-1588
設立
2006年
従業員数
85名
主要製品
建築金物、階段、手すり、ドア、産業機械、食品機械カバー、設備装置カバー
URL
http://www.ccss.com.tw/
※「創意不銹鋼股份有限公司」名義

つづきは本誌2017年11月号でご購読下さい。

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