Industrie 4.0に対応の「V4.0スマートファクトリー」を年内に竣工
台湾屈指の工作機械メーカー ― 板金カバーの70%を内製化
台中精機廠 股份有限公司 董事長 黄明和 氏( Victor Taichung Machinery Works Co.,Ltd.)
黄明和氏
台中精機廠股份有限公司(Victor Taichung Machinery Works Co.,Ltd.)は立形5軸・立形・横形のマシニングセンタ、FMCやFMSなどのシステム、さらには樹脂用の射出成形機などを開発・製造・販売する台湾屈指の工作機械メーカー。海外60カ国に事務所・代理店を持ち、50カ所以上にサービスセンターを配置。中国には15カ所に事務所を持ち、杭州に現地生産工場も設立、年間1,000台以上を中国で生産している。
2017年に入ってからはスマートフォンやタブレット端末の需要が伸び、台湾・中国の半導体産業をはじめとした電子機器産業向けの工作機械需要が大きく改善した。それに付随し、同社の売上も上昇基調となっている。
そうした背景もあって、2017年6月には台中市南屯区の台中市精密機械科技創新園区・第二期用地に、総工費30億元(約110億円)を投資し、Industrie 4.0に対応したモデル工場「V4.0スマートファクトリー」の建設に着工した。この工場は環境に配慮したエコ工場として、2019年から本格稼働、生産能力も拡大する。
黄明和董事長に業績の見通しと、業界動向について語ってもらった。
2018年は前年比25%増を目指す
― 世界で電子機器業界や自動車業界向けの需要が伸び、工作機械業界も好調です。御社の業績はいかがですか。
黄明和董事長(以下、姓のみ) 台湾の工作機械業界も昨年から受注が回復、2017年は前年比20%増になりました。当社も自動車業界向けと電子機器業界向けが好調で、お客さま向けにカスタマイズしたオーダーメイドのシステムの受注が増える傾向です。今年の売上予測では前年比25%増になると見込んでいます。
台湾と中国向けで売上の70%を占めています。残りの30%の内訳は、60%が欧州向け、残りの40%が北米やアジア向けです。北米市場が脆弱なので、今後は対米向けの輸出拡大を目指します。また、カスタム仕様の割合は全体の70%で、3年前の50%に比べて、大きく伸びています。
左:ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ+ASFH-3015G/右:ベンディングマシンHG-1303(手前)
モジュール生産でカスタム仕様に対応
― カスタム仕様の場合、工作機械のベースは共通で設計変更した部品を取り替えるといった、モジュール生産方式を採用しているのでしょうか。
黄 そのとおりです。基本となるベースを共通化し、板金カバーなどの儀装部品をオーダーごとに設計変更して対応するやり方です。ただ、儀装に関連した板金カバーは、どうしても個別対応になるので、設計・製造のスピードアップ、品質対応が重要になっています。そのため当社では自社で板金工場を持ち、機械カバーの内製化を進めています。
左:塗装ラインは粉体塗装/右:完成したカバーは機種別に用意された搬送治具に仮組みされた状態で設置され、本社工場の組立ラインに搬送される
会社情報
- 会社名
- 台中精機廠股份有限公司
- 董事長
- 黄明和
- 住所
- 台湾・台中市西屯區台灣大道四段2088號
- 電話
- +886-4-2359-2101
- 設立
- 1954年
- 従業員数
- 800名
- 業種
- NC旋盤、マシニングセンタ、射出成形機などの開発、製造、販売
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