ファイバーレーザ複合マシンの導入事例
「第2変革期」にプレスから板金へ完全シフト
ファイバーレーザマシンLC-C1AJに戦略投資/新生産体制の目玉として新たな仕事を取り込む
株式会社 新生工業
①2015年8月、レイアウト変更に併せて新たに増設したファイバーレーザ複合マシンLC-2512C1AJ/②同社が得意とするステンレス製品(SUS430・板厚1.2㎜)
日本で精密板金、中国でプレス加工を展開
左から中山誠社長、中山有(たもつ)専務、増井哲也工場長
㈱新生工業は京都府久世郡にある精密板金加工企業。1970年に現会長の中山金生氏がプレス加工企業として創業、板金加工も取り込みながら、京都・滋賀・大阪の上場企業 ― 半導体製造装置、ゲーム機、アミューズメントマシン、センサー、流量計、道路標示機、蓄電池といった大手メーカーへの部品供給を手がけることで発展してきた。
現在同社が展開している事業は、①日本国内における精密板金事業、②中国におけるプレス事業、③ソフト開発事業 ― の3つ。
もともとプレス部品メーカーとして発足した同社だが、主力得意先のひとつである大手ゲーム機メーカーが2000年代に入ってから、中国に工場を持つ台湾系EMS企業に製造委託する方針にシフト。日本国内での部品加工の需要は一部試作が残るのみとなった。同社はこうした海外シフトの動きに対応し、2004年に中国へ工場進出。EMS企業に連なるサプライチェーンの一角として、プレス部品の供給を行うようになっていった。
これにともない、日本国内の本社工場が手がける仕事は板金中心へと変わっていった。売上構成も、半導体製造装置メーカー向けの仕事が全体の50%超を占めるまでになり、ステンレス中心の多品種少量生産に対応している。
現在の従業員規模は、日本の本社工場が50人、中国工場が70人。2015年9月期の売上高は約16億円で、このうち約30%が中国でのプレス事業、約70%が日本国内での板金事業となっている。また、このほかに同社のグループ企業で、得意先のゲーム機・アミューズメントマシンメーカー向けにゲームソフトなどの企画・開発・販売を行うソフト開発会社、㈱ジュピターの売上高が約5億円あり、グループ連結で年商20億円超えの規模となっている。
ブランク工程の主力、EMZ-3510NTP+ASR-48M
計10台のベンディングマシンが並ぶ曲げ工
「第2変革期」に板金専門工場へ転換
2013年に3代目社長に就任した中山誠氏は、創業45周年にあたる2015年度を「第2変革期」と名づけ、本社工場のレイアウトを含む生産プロセス全体の刷新に取り組んだ。
「変革の最大の眼目は、プレスから板金へのシフトです。1982年に現在地に工場移転した頃は板金・プレスの割合がおよそ半々でしたが、その後、少しずつ板金の比重が高まっていき、ゲーム機向けプレス部品の仕事が中国へ移管されたことが決定打になりました。本社工場ではプレス工程がスペース全体の40%程度を占めながら、ほとんど稼働していない状態でした。今回のレイアウト変更では、プレス工程をすべて撤去し、工場スペース全体を活かして板金に特化した工場にリメイクしました」(中山社長)。
専務取締役の中山有(たもつ)氏は「プレスから板金への完全シフトというドラスティックな転換を図るにあたっては、様々な調整が必要でした。当社はプレスからスタートした企業ですから、お客さまにも『新生工業といえばプレス加工業』というイメージが定着していますし、プレスの仕事も少ないながら残っています。社内で協議を重ね、お客さまにもご説明に上がって、どうにかご了承をいただきました。お客さまにご迷惑をおかけすることがないよう、残っているプレスの仕事は、中国工場や近隣の企業の協力を得ながら対応しています」と語る。
2014年末にはおおよその計画が固まり、ゴールデンウィークの電気工事、8月の新設備導入とレイアウト変更へ向けて、着々と準備を進めていった。
左:溶接が完了した筐体/右:ステンレス製品(SUS304・板厚6㎜・8㎜)
会社情報
- 会社名
- 株式会社 新生工業
- 代表取締役
- 中山 誠
- 住所
- 京都府久世郡久御山町佐山新開地221-1
- 電話
- 0774-44-3289
- 設立
- 1970年
- 従業員数
- 50名
- 事業内容
- 半導体製造装置、ゲーム機、アミューズメントマシン、センサー、流量計などの精密板金・プレス部品製造
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