「MF-TOKYO 2023」開催
最新板金機械の共通テーマは「ファイバー化」と「自動化・スキルレス化」
省エネ・人手不足・人材多様化に対応するソリューションが多数出展
4年ぶりのリアル開催で活況
塑性加工技術の総合展示会「MF-TOKYO 2023」(第7回プレス・板金・フォーミング展)が7月12日から15日までの4日間、東京ビッグサイト東4~8ホールで開催された。主催は日本鍛圧機械工業会と日刊工業新聞社。前回(2021年)はコロナ禍の影響でオンライン開催だったため、今回は4年ぶりのリアル開催となった。出展者数は270社・団体(内部出展・共同出展含む)で過去最多。会期中の来場者数はコロナ前に迫る2万8,219名となった。
板金機械はファイバー化と自動化の提案が中心
今回のテーマは「人と地球にやさしい技術、確かな未来のために」。板金機械は、CO2排出量削減に貢献するファイバーレーザ加工機と、生産年齢人口・熟練技能者の減少に対応する自動化・スキルレス化・工程統合の提案が目立った。
ファイバーレーザ加工機は高出力化がさらに進んだ。中国メーカーが出力40kWの実機を展示したほか、日欧の主要メーカーも、アマダと三菱電機が12kW、ヤマザキマザックが15kW、バイストロニックジャパンが20kW、トルンプが24kW(ディスクYAGレーザ)と、それぞれ高出力の新機種を出展した。
その一方で、各社とも独自のレーザ加工技術による差別化をはかっていた。アマダは独自のビーム可変ユニットやバラシ作業・ジョイント痕仕上げ作業の負担を軽減する「ソフトジョイント」など、トルンプはC面取りや皿もみをレーザで加工する「エッジラインベベル」など、三菱電機は加工中の良否判定と加工条件の自動調整を行う「AIアシスト2.0」や厚板加工技術「Mz-Power」などを提案した。
自動化は、ロボット活用の提案が目立った。工程間搬送、ワークの搬出入、仕分け・積載、溶接、研磨、そのほかさまざまな工程・作業でロボットの適用が模索されていた。
搬送ロボットを組み込んだ板金全工程の自動化
アマダは、レーザ・曲げ・溶接の新商品を出展するとともに、工程間のワーク搬送を自動化する自律走行搬送エンジニアリングシステム「AMTES」(参考出品)を披露した。
ブースでは、「AMTES」を組み込むことによって板金加工の全工程を自動化するデモンストレーションを実施。①ファイバーレーザマシン「REGIUS-3015AJe(12kW)+AS-3015C」が素材供給と切断加工、②テイクアウトローダー「TK-3015L」が自動仕分け、③ブランク材を積載したパレットを「AMTES」がベンディングロボットシステム「EGB-1303ARse」へ自動配膳、④「EGB-1303ARse」が曲げ加工、⑤曲げ加工後のワークを積載したパレットを「AMTES」がファイバーレーザ溶接システム「FLW-3000ENSISe」の手前のバッファーエリアへ自動搬送―という一連の流れを実演した。加工プログラムは板金エンジニアリングシステム「VPSS 4ie」で作成し、製造DXソリューション「LIVLOTS」によってワークの所在や進捗状況、製品ごとのCO2排出量を確認できる。
「AMTES」は磁気テープなどのガイドが不要な自律走行搬送ロボット(AMR)で、積載重量は500㎏まで対応する。最高速度は分速60m(ワーク搬送時は分速30m)。工場床に落ちている粉塵などの影響で走行性能が低下するのを防ぐためブラシを装備し、高さ15㎜までの段差も乗り越えられる。
また、自動金型交換装置付きベンディングマシン「EGB-6020ATCe」やハンディファイバーレーザ溶接機と協働ロボットを組み合わせた「FLW-1500MT+CR」(参考出品)も出展した。
アマダプレスシステムは、EV用モーターコアソリューションとして、順送プレス加工自動化システム「ALFAS」によるEVモーターコア用ステーターの成形加工や、ばね成形機「NI-26A」によるEVモーターコア用セグメントコンダクタコイルの加工を実演した。
レーザ加工機の自動化ソリューション
日系大手各社は、ファイバーレーザ加工機の自動化・工程統合ソリューションの提案に力を入れていた。
三菱電機は、2次元ファイバーレーザ加工機「GX-Fシリーズ」から、「ML3015GX-F120」(12kW)と「ML3015GX-F80」(8kW)の2機種を出展。「ML3015GX-F80」は自動仕分けシステム「ASTES4」と組み合わせた自動化ソリューションとして提案した。また、新しい技術・機能を毎年開発し、既設の「GX-Fシリーズ」に追加できる同社独自のコンセプト「GX-F Evernext Strategy」をPRした。
ヤマザキマザックは、レーザとドリルの2つの加工ヘッドを備えたパイプ・形鋼用3Dファイバーレーザ加工機「FG-400 NEO」と、2Dファイバーレーザ加工機「OPTIPLEX 3015 NEO」(15kW)を出展。「OPTIPLEX 3015 NEO」でレーザ切断した厚板のワークを、協働ロボットを搭載した自動化セル「Ez LOADER 20」で立形マシニングセンタ「VCN-460」へ自動供給し、仕上げ加工を行うシステムを提案した。
村田機械は、レーザ切断・成形・タップを集約したファイバーレーザ複合加工機「LS3015HL」(6kW)と、金型自動交換装置付きプレスブレーキシステム「BH13530+TT32」を出展した。「LS3015HL」は材料供給装置「FS3015TL」付きで、レーザ加工は剣山テーブル上で行い、成形・タップ加工はブラシテーブル上で行う。8軸タッピングユニットはタップサイズM2~M12、最大加工板厚12㎜まで対応する。
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