8´×20´対応のファイバーレーザマシンと棚システムの優位性を評価
加工時間は従来の自走式に比べ1/3~1/2に大幅短縮
株式会社 梶哲商店
鋼板卸業としてスタート ― 鋼板販売先の溶断加工企業を吸収合併
鋼板販売、溶断加工、関連物流を手がける㈱梶哲商店は1952年、東京都墨田区錦糸町で梶哲(さとし)氏が鉄鋼原材料(ミルスケール)の扱いを主として個人創業。1968年、㈱梶哲商店として法人化、1975年から厚板端板在庫販売を開始した。
2002年、溶断加工企業(工場2カ所)を吸収合併。2カ所の工場は2005年と2011年にそれぞれ浦安に集約した。本社機能も2010年に浦安に集約し(2016年に本社移転)、2019年には寺越譲氏が4代目社長に就任した。
寺越社長は「当社は創業以来、鋼板卸を主体として、建築・建設機械・工作機械・産業機械などを得意先とする溶断加工企業などへ向けて鋼板を販売してきました。ところが20年ほど前に取引量が大きかった溶断加工企業が経営に頓挫。その企業は2カ所の工場でガス溶断機と自走式レーザマシンを活用していて、業界ではレーザ加工のパイオニアでした。それだけの取引量が減るのは当社にとって大きな痛手だったので、吸収を決断し、2002年に溶断事業を始めました」。
「鋼材価格が高騰し、お客さまも材料歩留りを考えて発注が細かくなってきました。鋼板卸の事業だけだったら利幅が少なくなり、経営はかなりきびしくなっていたと思います。2002年に溶断事業を吸収合併したことが、当社にとって大きな転機になりました」と語っている。
3台目のレーザマシンとして8´×20´サイズのENSIS-6225AJを導入
2015年、従来から使用していた自走式レーザマシン(2kW)のテーブル(長さ36m)を共有するかたちで2台目の自走式レーザマシン(6kW)を増設した。
阿部俊光統括管理部長は「以前から、自走式レーザマシンのようにテーブルを“横”に伸ばすより、材料棚を付けて“縦”に伸ばし、立体的に活用したほうが床面スペースの有効活用になると考えていました。ただ、当時は棚システム付きでフライングオプティクスタイプのレーザマシンは、5´×10´仕様が多く、8´×20´の大板を載せられるサイズはありませんでした」と語る。
また、浦安鉄鋼団地は東日本大震災による液状化現象で地盤が沈下したため、テーブルが長い自走式レーザマシンは毎年レベル出しを行い、テーブルの平衡度を確認して、修正する必要があった。メンテナンスの費用もさることながら、最低でも3日間、機械を停止することになるため、稼働損失も大きかった。
「やがて省電力のファイバーレーザマシンが登場し、2020年頃から、SS400の板厚25㎜や30㎜も切断できるレーザマシンの導入を検討するようになりました。そこにアマダから、6kW、9kW、12kWのファイバーレーザ発振器を搭載でき、8´×20´の大板・厚板に対応できるENSIS-6225AJ+AS-6225の提案を受け、3台目のレーザマシンとして9kW仕様を2022年8月に導入しました」(阿部部長)。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 梶哲商店
- 代表取締役
- 寺越 譲
- 所在地
- 千葉県浦安市千鳥12-11
- 電話
- 047-305-1191
- 設立
- 1968年(1952年創業)
- 従業員数
- 23名
- 主要事業
- 厚板の素材販売、溶断加工、レーザ加工、開先などを中心とした立体加工、関連物流事業
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