特集

最新設備を導入して成長する首都圏アーバン工場

実績にあぐらをかかず革新を続けるハイテクアーバン工場

ITフル活用で設備更新・技術者育成を進める

有限会社 武蔵工業

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画像:実績にあぐらをかかず革新を続けるハイテクアーバン工場ベンディングロボットシステムEG-6013AR+EGROBOT

新横浜駅至近のハイテクアーバン工場

画像:実績にあぐらをかかず革新を続けるハイテクアーバン工場小瀬公嗣社長

㈲武蔵工業は、新横浜駅から市営地下鉄で1駅の北新横浜駅から徒歩5分という好立地にあるアーバン(都市型)工場。従業員数21名と小規模ながら、工場板金技能士1級4名、2級5名、アルミニウム溶接適格性証明書の取得者4名と高度な技能を備えた社員が多い。

また、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを5台導入し、得意先とは3次元CADデータをシームレスにやりとりできる環境を構築。受注する製品の80%が3次元CADデータで、試作段階で製造性の検証や設計提案を行うことで得意先から高い信頼を得ている。

さらに、ファイバーレーザマシン、パンチ・レーザ複合マシン、パンチングマシン、ベンディングロボット、ファイバーレーザ溶接システムなど最新の加工設備をいち早く導入している。薄板(0.3~2.0㎜)から厚板までワンストップで対応するとともに高度なエンジニアリング能力を備える。さらに人材育成にも力を入れ、全社的な生産性向上に努めてきた。

その甲斐あって、米中貿易摩擦やコロナ禍などの影響を受けることもなく、逆に医療機器メーカーからの「コロナ特需」で2020年度、2021年度ともに右肩上がりで業績を伸ばしている。

SEの経験を生かしIT・デジタル技術を活用

武蔵工業は1971年、小瀬公嗣社長の父親である小瀬利治会長が川崎市中原区で創業した。1982年に法人化し、1986年に現在地(横浜市港北区)に移転した。

得意先業種は通信機器・医療機器・半導体製造装置・食品機械・建築金物などで、毎月30~40社から受注している。受注の70~80%は医療機器・半導体製造装置・食品機械など主要5社で占められている。

小瀬社長は大手IT企業でSEとして4年間勤務した後、2006年に26歳で入社した。

入社後3年間は抜き・曲げ・溶接と全工程を経験した。前職でSEとして勤務した経験から、IT・デジタル技術を活用したものづくりを考えた。

最初に取り組んだのが会社のWebサイトを立ち上げることだった。それも単なる会社紹介ではなく、精密板金加工企業としての同社の強み・特長をアピールできるコンテンツを盛り込み、知り合いのコンテンツ制作会社に依頼した。

完成したWebサイトは出色の出来栄えで、コンテンツも充実しており、板金加工の発注先を探している企業の目を引く内容となっている。「ホームページを見た」というお客さまからの問い合わせが毎月5~10件はあり、継続取引につながった例も多い。

画像:実績にあぐらをかかず革新を続けるハイテクアーバン工場左:5台の3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを活用してコンカレントな設計・製造を実践している/右:BREVIS-AJのオペレータは、NC装置の操作性が大きく改善されたと評価する

設備増強とWebマーケティングで成長 ― 売上は2009年比で6倍

2009年に専務に就任してからは、設備を増強しながらWebマーケティングも活用して新規得意先を次々に開拓した。事業は急速に拡大し、今では2009年以前の顧客が売上に占める割合は20%程度まで減少。2009年当時と比べると、売上規模は6倍になった。

加工設備は毎年のように更新していった。2009年に3次元ソリッド板金CAD SheetWorks、2011年にコンパクトレーザマシンQuattro、2012年に生産管理システムWILL、2013年にベンディングマシンHD-8025NT、2014年にパンチ・レーザ複合マシンLC-1212C1NT、2015年にパンチングマシンEM-255MⅡとベンディングマシンFMB-NT×2台、2016年にベンディングマシンEG-6013と板金エンジニアリングシステムVPSS 3i、曲げ加工用CAM VPSS 3i BENDを導入した。2017年にはファイバーレーザ溶接システムFLW-4000と溶接用CAM VPSS 3i WELDを導入した。

本社工場だけでは手狭になったため、曲げ加工工場(第2工場)、溶接工場(第3工場)、出荷検査や梱包を行う第4工場を近くに借りた。

2018年に小瀬社長が2代目社長に就任すると、2020年にはLC-C1NTへの後付けでマニプレーターMP-1212C1、2021年にはベンディングロボットシステムEG-6013AR、ベンディングロボット用CAM VPSS 3i ARCAM、2022年にはレーザマシンQuattroとの入れ替えでファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJを相次いで導入した。

「本社工場はLC-C1NT、EM-MⅡ、Quattroですでに目いっぱいでした。Quattroとの入れ替えでBREVIS-AJを導入する際は、スペースを確保できるか検討し、最後には測ったようにぴったり納入してもらえました」(小瀬社長)。

画像:実績にあぐらをかかず革新を続けるハイテクアーバン工場左:溶接エリアにはファイバーレーザ溶接システムFLW-4000が導入されている。VPSS 3i WELDを使ってオフラインティーチングを行い、複雑な溶接もしっかりと行うことができる/右:生産管理システムWILLと進捗管理システムiP進捗を導入しており、iPod Touchを使って進捗情報を入力する

会社情報

会社名
有限会社 武蔵工業
代表取締役
小瀬 公嗣
所在地
神奈川県横浜市港北区新羽町574-6
電話
045-531-1304
設立
1982年
従業員数
21名
主要事業
精密板金加工、設計、試作、溶接、塗装、アセンブリ(梱包)
URL
https://www.musasikougyou.co.jp/

つづきは本誌2022年9月号でご購読下さい。

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