堅調に推移する農業機械の板金需要
「共存共栄」で協力会社と連携し、一貫生産に対応
「お客さまにとって便利なサプライヤー」であり続ける
良金工業 株式会社
プレス加工から板金加工へ業務を変更
良金工業㈱は1973年に自動車部品をプレス加工する個人会社として創業された。やがて農業機械や産業機械の部材加工を中心に大手企業との取引を開始し、順調に事業を拡大、1979年には良金工業㈱として法人化した。農業機械や産業機器の部品は生産ロットが小さく、プレス加工では金型費を償却できない。そこでレーザマシンやパンチ・レーザ複合マシンを導入してブランク加工をするようになった。
当時、NC加工データのプログラミングとマシンのオペレーションを担当していた加山貴之社長は、納期に間に合わせるために連日の徹夜作業をした時期もあったという。
「お客さまにとって便利であり続ける」
加山社長は2001年、先代社長が突然58歳という若さで亡くなったことで、27歳で2代目社長に就任した。
加山社長は堅実に業務を進め、「お客さまにとって便利であり続ける」ことをモットーに、得意先のニーズに応えるべくマシンのネットワーク化・デジタル化を積極的に進めていった。2005年にはレーザマシンLC-1212αを棚付きで導入、高生産性・低コストを実現させ、得意先からの信頼を得た。そして、「加工コストも重要だが、これからは何よりも短納期に対応したスピードが求められる」と考え、レーザマシンを24時間稼働させるようにしたことで売上も右肩上がりで伸びていった。2008年のリーマンショックでは一時的に売上が落ち込んだものの、わずか半年で浮上。その後はほぼ毎年10%前後のペースで売上を伸ばしていった。
加工が難しい厚板加工に特化
加山社長は同社の経営指針を次のように語る。
「当社は以前、中板・薄板中心の仕事をしていましたが、こうした仕事は同じ設備があればどこでも加工できてしまう。それなら、自社の特長を何にするかと考え、加工が難しく扱いにくい厚板の加工に特化しようと考えました。そこで厚板の花形である農業機械・建設機械・産業用機械・運搬車両の方面を強くしようと営業を強化、精力的に活動しました」。
「2006年には3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入。3次元化を進め、お客さまに積極的に設計提案を行うことで当社の技術力・提案力を評価してもらい、お客さまにとって欠かせないサプライヤーになることを目指しました。さらに、生産性・品質管理・加工に関する技術など、あらゆることに知恵をしぼり、当社で対応できない機械加工や溶接などの加工に関しては協力会社と連携を行い、必ずお客さまのご要望を実現させることに注力しました。『できない理由はない』を信念に、経営理念に『共存共栄』を掲げ、ともに助け合ってともに繁栄することを心がけ、お客さま、協力会社、社員―良金工業に携わるすべての人の幸福を追求し、提案・挑戦を続けることにしました」。
本社工場を移転、積極的な経営が評価された
同社に転機が訪れたのは2012年。「お客さまに最高の品質とスピードでお届けしたい」との思いで24時間稼働に対応できるよう新たにパンチ・レーザ複合マシンEML-3510NTを棚付き(ASR-48M)で導入することを計画した。ところが工場スペースの関係で、ほかの設備を出さないと工場内に収まらない状況だった。
加山社長は熟慮の末、工場移転を決意。2012年に敷地1,360坪の物流倉庫を居抜きで買い取り、新工場とした。しかし、得意先への供給を円滑に行うためには工場だけでは不十分だった。加山社長は受注製品の10%を保管できる倉庫が必要と考え、新たにスタッカークレーン付きの自動倉庫を建設した。工場・倉庫で820坪と十分な広さを確保し、ここにEMLを導入した。投資額は当初の計画をはるかに上まわったが38歳の加山社長はちゅうちょなく決断した。
こうした積極的な経営で、2015年には岡山県産業振興財団が実施する「岡山県経営革新アワード」でグランプリ(最優秀賞)を受賞した。
会社情報
- 会社名
- 良金工業 株式会社
- 代表取締役
- 加山 貴之
- 所在地
- 岡山県岡山市南区藤田566-138
- 電話
- 086-296-6176
- 設立
- 1979年
- 従業員数
- 45名
- 主要製品
- 農業機械部品、建設機械部品、設備関連部品、産業機械部品、その他
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