強みを活かし成長する板金企業
計量で培った技術力で生産ラインをトータルに創造
内製化によるものづくり改革で生産性を大幅改善
神戸衡機 株式会社
神戸衡機㈱東部事業所内の板金工場に2年前から導入された板金加工設備
計量器の専門業として創業
ベンディングマシンHG-8025の前に立つ宮坂善仁社長(左)と浦上征之工場長(右)
神戸衡機㈱は1947年、計量器の専門業として創業し、長年にわたり精密衡器(はかり・分銅など)の製造・販売・校正・検査の仕事を手がけてきた。
計量法に基づく校正事業者登録制度「JCSS」(Japan Calibration Service System)の登録事業者として活動し、分銅・おもりのJCSS校正を手がけてきた。また、「特定計量器指定製造事業者」、「質量に係る計量証明」の事業者として登録されているほか、ISO9001認証や、機械器具設置工事業、電気工事業の資格も持ち、ビジネスの幅を広げている。
「計る」に特化したビジネスで発展 ― 食品製造ラインなどの自動化提案も
宮坂善仁社長は同社の事業について、次のように語っている。
「当社は1947年、神戸市で計量器の専門業者として創業し、今年で創業74年をむかえます。『計る』に特化したビジネスにより、会社設立以来、一度の赤字を出すこともなく堅実に成長を続けてきました。現在では神戸を主拠点に、姫路・岡山・広島・下関に営業所を展開しています」。
「電子天秤用の軽量な分銅から、トラックスケールで使用する大型分銅まで、はかりの構成に必要な各種分銅を取り扱っています。お客さまの仕様に応じた分銅各種や特殊な分銅なども、ご相談に応じて製作できます」。
「機器・装置類は、自社工場で設計・製造する製品に加え、計量器業界ではトップクラスの技術力を誇る㈱イシダ様の代理店として、主に食品加工工場の製造ライン向けに、計量・包装・異物検査機を中心としたシステムアップやエンジニアリングを行っています」。
「最近はラベル検査装置やX線異物検査装置といった製品の安全を検査する機器と、はかりでの重量検査、さらにそれら装置と連動した協働ロボットが箱詰めを行う自動化ラインも手がけています。人が行っていた一連の作業を自動化することで、1名の作業者が1本の生産ラインのオペレーションを行うことを可能にしました」。
「兵庫県内にある主要なブランドの洋菓子製造工場には、当社が計量・包装・異物検査機を中心としたラインをお納めしています」。
3次元ソリッド板金CAD SheetWorks×4台で設計から展開まで対応する
切断・曲げ・溶接が終了した計量器部材
生産ラインをトータルに創造 ― 機動力と総合力が強み
同社の得意先の90%弱が洋菓子などの食品加工メーカー。阪神・淡路大震災やリーマンショックの影響で売上が落ち込んだ時期もあったが、今回のコロナ禍では大きな影響は出てない。2020年度の年間売上高は30億円弱を見込んでいる。
以前は従業員数が107名まで増えた時期もあったが、宮坂社長の代になってからは自然減で20%程度減少し、現在は86名になっている。従業員数が減っても売上の落ち込みはなく、従業員1人あたりの売上高・付加価値額は大きく改善している。
同社のビジネスの強みは、食品工場の設備全般の企画・提案・設計・製作・現地工事・設置・調整・メンテナンスを自社で行うことによる機動力と総合力だ。
「ただ『計る』だけのビジネスではありません。当社は、製造ラインの企画から機器販売、機器の設計・製造、据付、稼働、メンテナンスまでを自社で一貫して行える総合力を備えています。つまり、計量器を中心とした『包装』『検査』『箱詰め』『搬送』の生産ラインすべてが当社の事業フィールドで、計量・包装・異物検査の各機器の販売から、周辺機器の設計開発・製造・オーダーメイドまで手がけるものづくり企業を目指してきました」(宮坂社長)。
ハンディファイバーレーザ溶接機FLW-600MTと溶接テーブルと治具
基準天秤に使用する分銅を秤量ごとに校正する自動機。重量が異なる各種分銅を1台で校正できる
会社情報
- 会社名
- 神戸衡機 株式会社
- 代表取締役社長
- 宮坂 善仁
- 所在地
- 兵庫県神戸市中央区楠町1-10-1
- 電話
- 078-351-1281
- 創業
- 1947年
- 従業員数
- 86名
- 主要事業
- 各種計量器の製造・販売・修理、JCSS質量校正事業(分銅・おもり・はかり)、省力化産業機器および異物混入検査装置の販売・修理など、一般鉄工器具の設計・製造・修理
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