薄板から厚板まで加工領域を拡大するENSIS-AJ
精密製缶の一品一様生産に対応
9kWファイバーレーザマシン導入で加工領域拡大
株式会社 板垣鉄工所
①2020年1月に導入したファイバーレーザマシンENSIS-4020AJ(9kW)+LST-4020G/②ENSIS-AJで加工したSS400・板厚22㎜の切断面の品質は良く、テーパー(ベベル角)も目立たない
一貫生産体制が強み
左から瀬賀晴巳取締役工場長、板垣幸雄社長、板垣智取締役製造課長
㈱板垣鉄工所は通信機器を周囲環境から守る機器収容局舎(シェルター)のベース、産業用洗浄装置、トラック、特装車、斎場に付帯する製品、クリーンブース・クリーンチャンバー空調機のフレーム、開閉器、産業機械フレームなど、一品一様で製作する精密製缶事業を行っている。
0.8㎜の薄板から25㎜、35㎜といった厚板まで、切断・穴あけから組立までを行う加工設備を備えた一貫産体制が同社の強みとなっている。
設立から30年、売上は毎年右肩上がりで伸び、優良法人として成長してきた。コロナ下でも業績は安定している。
結婚を機に東京から転居し、会社創業
創業者の板垣幸雄社長は東京都出身で、義兄が経営する鉄工所で製缶の仕事に携わり、ひととおりの仕事に習熟した。しかし、都会よりも田舎で、のびのびとした生活を望む中で知り合い、結婚したのが新潟県村上市出身の奥様。農家の一人娘だったということもあって結婚後は村上市に転居。農閑期には東京の知り合いから紹介された溶接の仕事を物置で始めるようになった。次第に東京の仲間から頼まれる仕事が増えてきたため、1987年に板垣鉄工所を個人創業、1990年に㈱板垣鉄工所を設立した。
板垣社長は「創業当時はバブルで、さまざまな仕事が来ました。一人親方だったので休む暇もないほどに働きました。品質管理を含めて仕事に責任を持つためにはしっかりとした工場で対応しなければいけないと考え、貸し工場を借りて会社を設立。農閑期には地元の人に手伝ってもらうようになり、社員も増えました。しかし、間もなくしてバブルが崩壊、東京からの仕事がまったくなくなりました」。
「そこでワゴン車に溶接機などの道具を載せて、周辺の工場から頼まれる仕事を受け取りでこなすようになりました。地方にはまだ仕事がありました。やがて、大手電機メーカーの協力工場から仕事が来て、当社採用の社員を派遣して仕事をさせていただくなど、地元の企業からも認めてもらえるようになりました」と、会社設立の経緯を語る。
形鋼の加工も行うレーザマシンFO-MⅡ 3015NT+LST-3015FMⅡ
板厚16㎜、19㎜の曲げ加工にも対応するHD-3504NT
特装車、産業用洗浄装置などの仕事も受注
仕事が増え始めるとアマダから新たにアイアンワーカーを導入した。
「昔の仲間がアマダに入社していたこともあり、直販・直サービスで全国にネットワークを持っているアマダの製品なら安心して使えると考えました」(板垣社長)。
設備を拡充していく中で、東京に本社がある企業が主力得意先となり、精密な通信機器などを格納する機器収容局舎(シェルター)の仕事を受注するようになった。最初は溶接の仕事から始まったが、丁寧な仕事ぶりが評価され、シェルター以外にもトラックをベースにした特装車、産業用洗浄装置の仕事も受注できるようになった。
そこで導入したのがプラズマ切断機の「スピンガー」だった。当時はまだ新潟県内にも導入している企業は少なく、薄板から中・厚板までの切断ができることから、いろいろな仕事を受注することができた。しかし、ノズルの消耗が激しくトラブルが多かったこともあって、2009年に3軸リニア駆動のレーザマシンLC-3015F1NT(4kW)を導入。19㎜までの厚板切断に対応できるようになった。
五面加工機や各種マシニングセンタが並ぶ機械加工工場
トラックの荷台のベース架台
会社情報
- 会社名
- 株式会社 板垣鉄工所
- 代表取締役社長
- 板垣 幸雄
- 所在地
- 新潟県村上市岩沢542-1
- 電話
- 0254-60-2230
- 設立
- 1990年(創業1987年)
- 従業員数
- 45名
- 主要事業
- 諸機械製作、製缶、ステンレス溶接、トランス部品、機械部品加工、各種製造、組立
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