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好調を継続する板金企業の暑い夏

メカ・電気・制御の開発設計からモノづくりまでワンストップで対応

工作機械用の制御盤と自動化装置がメイン/生産合理化で板金工程の内製化率90%

株式会社 日成電機製作所

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画像:メカ・電気・制御の開発設計からモノづくりまでワンストップで対応工作機械向けのガントリーローダー(左)とワークストッカー(右)

メカ・電気・制御の開発設計からモノづくりまでワンストップで対応

画像:メカ・電気・制御の開発設計からモノづくりまでワンストップで対応代表取締役社長の船橋晋吾氏(左)と生産部加工課課長の生川(なるかわ)哲也氏(右)

㈱日成電機製作所は「メカトロシステム一括製作」を強みに、主に工作機械向けの制御盤と自動化装置の設計から製作までをワンストップで手がける。メカ・電気・制御―すべての領域で設計開発から対応できる技術力をもち、モノづくりの面でも板金加工から溶接組立、ワイヤーハーネス製作、電気配線、運転調整・検査まで一貫対応できる能力を備えている。

同社は1958年の創業以来、60年にわたって制御盤の設計・製造を手がけてきた。1961年から板金部門を新設して内製化、屋内・屋外向けのカスタム盤や工作機械用制御盤・操作盤などを生産してきた。

自動化装置は2005年頃からスタート。制御盤事業を通じて培ってきた工作機械などの制御システム設計やモノづくりノウハウを生かし、事業を拡大してきた。

1997年に2代目社長に就任した船橋晋吾社長は「工作機械の周辺装置を中心とした自動化装置のシステム提案と設計から対応することで、付加価値を高めたいと考えました。メーカーになりたいというわけではなく、設計込みの提案型ビジネスを展開したかった」と語る。

ターニングポイントは2013年。自動化装置の事業が軌道に乗ってきたことで、名古屋市内の本社・工場を現在地(愛知県知多郡阿久比町)へ移転し、三重県桑名郡にあった板金工場(三重工場)を統合した。それと同時期に、自動化装置の受注量も一気に拡大した。

船橋社長は「自動化装置の設計から製造まで一貫で対応するとなると、設計と製造の“すりあわせ”がこれまで以上に必要になることから、統合・集約を決断しました」と振り返る。

  • 画像:メカ・電気・制御の開発設計からモノづくりまでワンストップで対応パンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT(マニプレーター付き)
  • 画像:メカ・電気・制御の開発設計からモノづくりまでワンストップで対応ベンディングマシンHG-1303(追従装置付き)による曲げ加工

売上構成は工作機械向けの制御盤が60%、生産自動化装置が40%

現在の売上構成は、制御盤が60%、自動化装置が40%。両者の比率が逆転するのは時間の問題だ。

制御盤の生産数量は、肩幅サイズ以下の小型のものも含めると月200~300面。工作機械を1台コントロールするような中・大型サイズのものだと月60~80面を生産している。

自動化装置は主に工作機械向けの周辺装置で、とくにガントリーローダー(工場の製造ラインでワークの搬送を行うロボットアーム)と、ワークストッカー(工作機械の前後で加工前・加工後の材料・ワークをストックしておく装置)は毎月20台ずつ生産。ほかには、電子部品形状測定器や電子部品搬送装置などの製作実績もある。設計からの対応となると、受注から据付までのリードタイムは6カ月程度になる。

自動化装置の事業を立ち上げようとしたとき、最初は得意先の工作機械メーカーが設計したガントリーローダーを製作。その受注が今も続いている。ワークストッカーは、同社が設計込みで受注。ストックするワークのサイズや形状もさまざま、ストックパレット数のバリエーションも増え、さらに右仕様・左仕様とある。ガントリーローダーはほぼ共通仕様だが、ワークストッカーは大半が一品一様。同社がこれまでに手がけた最大サイズのワークストッカーは、W4,000×D1,500×H2,400㎜にもなるという。

船橋社長は「制御盤も自動化装置も、工作機械向けがメインで全体の70%を占めます。一口に工作機械といってもエンドユーザーはさまざまですが、当社の場合は自動車部品工場向けが多い」。

「業界全体でみると工作機械受注は2017年初頭から高水準で推移していますが、当社が繁忙になってきたのは2017年後半からで、今年中は目一杯受注を確保できそうです。とくに自動化装置は、リニアガイドやボールネジといった要素部品の調達難が続いていたため、一時的に受注残が積み上がってしまいました。この状況は今も解消されていません。2018年の受注量は、前年比25%と大きく伸びています」と語っている。

画像:メカ・電気・制御の開発設計からモノづくりまでワンストップで対応左:LC-C1NTにより、すべての部材に図面番号がレーザマーキングされている/中:レーザによりタブ・ノッチを加工し、組立工数を大幅に削減/右:溶接工程

会社情報

会社名
株式会社 日成電機製作所
代表取締役社長
船橋 晋吾
住所
愛知県知多郡阿久比町大字草木字日成1
電話
0569-49-0200
設立
1965年(1958年創業)
従業員数
125名(連結)
事業内容
機械装置・制御装置・部品・ソフトウエアの設計・製作
URL
http://www.nis-ele.co.jp/

つづきは本誌2018年9月号でご購読下さい。

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