特集

グローバル化が加速する鉄道ビジネスと板金

可動式ホームドアの大幅増産計画に対応する

大手駅務機器メーカーの主力サプライヤー

株式会社 東和製作所

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画像:可動式ホームドアの大幅増産計画に対応する①2015年に導入したACIES-2512T(左)と自動倉庫MARS(右奥)。TK(テイクアウトローダー)付きで製品の整列・積載を自動で行う/②ATC(自動金型交換装置)付きのベンディングマシンHG-1003ATC

大手駅務機器メーカーの主力サプライヤー

画像:可動式ホームドアの大幅増産計画に対応する代表取締役の渡邉恒雄氏

㈱東和製作所は、大手駅務機器メーカー向けの仕事 ― 自動券売機・自動改札機・ホームドアなどの部品加工をメインで手がける精密板金企業。1962年に渡邉恒雄社長の父親が福島県伊達郡(現・伊達市)で創業し、昨年55周年をむかえた。

創業間もなく、大手駅務機器メーカーの2次サプライヤーとなり、鉄道事業者の運転司令室や駅務関係で用いられる複雑・難加工形状の操作盤や筐体などを生産。1975年からは駅務機器メーカーとの直接取引をスタート。1次サプライヤーとして、自動券売機や自動改札機、最近ではホームドア、オフィスビルや空港に設置されるセキュリティーゲートなどを手がけるようになっていった。

2000年以前は、このメーカー向けの売上比率が90%を超えた時期もあったが、現在は65%程度に落ち着いている。得意先社数は20社ちかく(主要7~8社)となった。分野としては、高い溶接品質が求められる鉄道車両向けの電気機器のほか、業務用印刷機、情報通信機器関係、配電盤関係なども手がけるようになっている。昨年度は、大手半導体製造装置メーカーとの商談に成功し、好況に沸く半導体製造装置関連の仕事もスタートした。

渡邉恒雄社長は現在の受注環境について「ホームドアと半導体製造装置関連は、大幅増産の打診を受けています。2020年の東京五輪を控え、首都圏の鉄道事業者は駅務関係の機器の入れ替えを進めており、自動券売機は昨年から、自動改札機も昨年夏から仕事量が増えてきています。オフィスビルや空港に設置されるセキュリティーゲートも、2020年までは好調に推移すると思います」と語っている。

  • 画像:可動式ホームドアの大幅増産計画に対応する曲げ工程には、自動金型交換装置付きのHG-1003ATC、HDS-1303NT×2台(1台は追従装置付き)の計3台のベンディングマシンを設備
  • 画像:可動式ホームドアの大幅増産計画に対応するHG-ATCによる曲げ加工。曲げ順序などの加工支援情報がAMNC 3i(左)の大画面に表示され、経験の浅い作業者でも熟練技能者と同じ品質で加工できる

ホームドアは大幅増産の見込み

なかでも好調なのが、鉄道駅のプラットホームに設置される転落防止のホームドア。「欄干のない橋」ともいわれる鉄道駅のプラットホームは、視覚障害者をはじめ、転落による人身事故が後を絶たず、対策が求められている。国土交通省は1日平均利用者数5,000人以上の鉄道駅(約2,800駅)で、ホームドア・可動式ホーム柵の整備を義務化することも検討。2016年12月には、1日平均利用者数10万人以上の鉄道駅(約260駅)について、原則として2020年までにホームドアを整備するとの数値目標を示している。

これを受け、主に首都圏の鉄道事業者各社はホームドアの整備計画を打ち出している。東急電鉄は2020年を目標に東横線・田園都市線・大井町線の全64駅にホームドアを設置すると発表。東京メトロも、2020~2022年度までとしていたホームドア整備計画を、2018~2019年度末までに前倒しするなど、ここへきてホームドア整備が加速している。

東和製作所も、これまで週10台ペースでホームドアの板金部材を生産していたが、こうした状況を反映して、得意先からは大幅増産の計画を打診されている。

渡邉社長は「ホームドアの仕事は2010年頃から手がけはじめましたが、2011年の東日本大震災で環境が大きく変わり、いったん止まってしまいました。仕切り直して本格的にスタートしたのは2015年頃。需要先は首都圏を中心に、JR・私鉄・地下鉄などの鉄道事業者です」と語っている。

画像:可動式ホームドアの大幅増産計画に対応する左:バッファーエリアに部材が集積され、溶接工程へと受け渡される/右:溶接作業

会社情報

会社名
株式会社 東和製作所
代表取締役
渡邉 恒雄
取締役統括事業部長
渡邉 剛
取締役生産管理部長
三浦 俊広
住所
福島県伊達市梁川町字丹波塚6
電話
024-577-0468
設立
1962年
従業員数
49名
主要事業
駅務機器、半導体製造装置、業務用印刷機などの精密板金加工部品の製造
URL
http://www.towa-ss.com//

つづきは本誌2018年2月号でご購読下さい。

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