拡大がつづく半導体・FPD製造装置市場
開発から製造・完成品まで一貫した生産体制を構築
フル生産が続く半導体・FPD製造装置
コトヒラ工業 株式会社
2万坪の工場用地に次々と大型工場を建設
コトヒラ工業㈱は1940年、東京都品川区五反田で、軍事用金属加工品を製作するコトヒラ製作所として創業。1945年、戦況激化にともない長野県上田市へ工場を疎開、コトヒラ工業㈱として設立された。
1969年、工場誘致により東部町(現在の東御市)に東部工場を開設。1971年、現在の売上の60%を占めるユニットバスパネルの受託製造事業を開始した。
1984年に本社を東部町に移転し、1987年にユニットバスパネル専用工場として佐久工場を開設。現在は本社工場と佐久工場で1日1,000室のユニットバスパネルを生産する。
2007年に組立と機械加工工場、2008年に板金加工工場と機械加工工場を増築。2016年には大型の粉体塗装工場を完成するとともに、2017年度末の完成を目指して、新たに大型製缶工場の建設を進めており、2万坪の工場用地に次々と大型工場を建設、事業拡大を行っている。
今期は110億円の売上を目指す
2017年6月末の従業員総数は322名で関連会社を含むグループ社員の総数は400名を超え、長野県を代表する中堅企業に発展。2016年11月期の売上高が102億円、2017年11月期の見込みは110億円で前年度比9%増を見込んでいる。
売上全体の60%を占めるユニットバスパネル生産が月産2万室、年間で24万室と安定、30%を占める産機事業―半導体検査装置などの産業機械装置、板金筐体、切削部品等の製造受託事業。残りが自社製品であるクリーンルーム機器、集塵機、電解次亜水生成装置、バイオトイレ、スキー関連什器などの開発、製造、販売となっている。
年内はフル生産が続く半導体・FPD製造装置
2016年12月に新社長に就任した手塚久仁彦社長は「昨年秋口から産機事業の主力得意先である半導体・FPD製造装置・検査装置メーカーのお客さまの生産が増加。当初は『2017年春頃まで』といわれていましたが、現在では『年末までは増産体制でいく』という話をいただいています」と語る。
半導体産業を取り巻く環境は、電子機器市場ではPCの需要が低迷しているが、サーバー・ストレージ関連の成長、スマートフォンの高機能化のほか、ビッグデータや自動運転、AIなどにより活況となっており、2018年度までは需要拡大が続くといわれている。FPDも4Kテレビが堅調で、半導体製造装置、有機ELを主体としたFPD製造装置、検査装置が超多忙となっている。
同社では一部の工程で2交代制を導入し、フル生産が続いている。豊富な板金・切削加工設備により、大型製缶品だけではなく、その周辺部品となる板金部品、切削部品のすべてを社内で生産可能で、さらに注文書1枚で製品ができあがる一貫生産体制を整えている。
最近は半導体・FPD製造装置や自動車の製造ラインの架台・フレームとして使用される「大型製缶」に力を入れてきた。すでに大型構造物の塗装ができる粉体塗装ラインが稼働しており、年度末までには新たな大型製缶工場も竣工する。こうしたことで今期は産機事業が売上増に大幅に貢献している。
会社情報
- 会社名
- コトヒラ工業 株式会社
- 代表取締役社長
- 手塚 久仁彦
- 住所
- 長野県東御市滋野乙1320
- 電話
- 0268-63-0001
- 設立
- 1945年(1940年創業)
- 従業員数
- 322名
- 主要事業
- ユニットバスパネルの製造/半導体検査装置などの産業機械装置、板金筐体、切削部品などのOEM製造/集塵機、電解次亜水生成装置、バイオトイレ、スキー関連什器の開発・製造・販売
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