普及が加速するファイバーレーザマシン
東京五輪・都市再開発計画へ向けた積極投資
ファイバーレーザマシン3台を導入/設計・加工・塗装・組立・施工までのワンストップ対応で成長目指す
株式会社 竜洋
ファイバーレーザマシンが3台並ぶ。左が4×2m材対応のFLC-4020AJ(2kW・シャトルテーブル仕様)、奥が同社初のファイバーレーザマシンとなるFOL-3015AJ(2kW・シャトルテーブル仕様)、手前が棚付き仕様のFLC-3015AJ(2kW・棚仕様)
屋根板金から工場板金へシフト
㈱竜洋は1926年(大正15年)の創業で、今年90周年を迎える老舗企業。創業以来、半世紀以上にわたって屋根板金を中心に手がけてきたが、1981年に鈴木博之社長が3代目社長に就任して以来、一般工場板金へと業態をシフトしてきた。
鈴木社長は静岡県竜洋町(現・磐田市)内で工場の拡張・増設を繰り返し、生産設備を増強。2011年には現在地の磐田市南平松に本社工場を移転し、分散していた生産拠点を統合した。現在も現場施工まで請け負うが、割合としては低く、工場板金が事業の中心となっている。
鈴木社長は「1990年代前半までは、まだまだ現場施工の仕事が多かったのですが、今ではごくわずか。とはいえ工場板金の仕事も建築関連の仕事が多く、建物の構造材、屋根などの被覆材、装飾パネル、空調ダクトのほか、自動車用の塗装プラントなどの設備関連も含めると売上全体の70%程度になります。残り30%は、温室・ハウス部品などの農業資材、特殊車両、医療・福祉機器関連、太陽光発電システム関連、道路環境製品など様々です」と語る。
また、2008年に東京事務所、2012年に三河事務所(愛知県)、2015年に大阪事務所を開設し、東京圏・中京圏・大阪圏の三大都市圏での営業活動を活発化。さらに、2015年にはコーポレートサイトとは別に自社の保有技術や製品サンプルを紹介する開発者・設計者向けのWebサイト「金属板金加工.com」を開設し、Web 経由での引合いも増加している。今では静岡県内の仕事は20%以下となり、商圏は全国へと広がっている。
得意先は約300社。そのうち毎月定期的に受注する得意先は100社。売上に占める割合が15%を超える得意先はなく、業種・得意先ともにバランスよく分散されている。
「2011年に現在地に工場を移したことで工場スペースが広くなり、新しい設備の導入、スタッフの増員ができ、若手社員が順調に育ってくれています。移転後5年間で売上は倍増、先期は20億円超えを達成しました」(鈴木社長)。
左:鈴木博之社長/中央:鈴木恵(めぐむ)取締役/右:製造部の木村哲也部長
東京五輪・都市再開発計画にかける期待
「足もとの受注状況は決してよくありませんが、嵐の前の静けさと捉え、静観しています。まずは、2020年の東京五輪開催へ向け、訪日外国人の増加を想定した宿泊施設や店舗、公共交通機関などの整備計画が、今年の秋頃から本格的に動き始め、2018年くらいまで続くとみています。私は毎週3日間、東京に出張し、いろいろな方とお会いして情報を収集しています。そこでお聞きする案件の内容や数を踏まえると、今後、いっせいに本格化したら需給バランスは大きく崩れると思います。そこでオーバーフローした仕事は、当社で受注できるチャンスがある。今は情報を収集しながら人脈を拡げ、辛抱強くタイミングを見計らっています」。
東京五輪以外にも、首都圏では国土強靱化とも関連した大規模な社会インフラ整備計画が2030年くらいまでのスパンで具体化してきている。名古屋駅周辺でも、2027年のリニア中央新幹線の開業に合わせて、再開発計画が持ち上がりつつある。こうした市場の動向についても、三大都市圏の営業所をアンテナに、情報収集を続けている。
ファイバーレーザによる加工製品。右:ステンレス・板厚4.0㎜の製品。スリット加工や微小・多様な穴加工を行っている/中央:ZAM・板厚1.6㎜の空調ダクト/右:ボンデ鋼板・板厚1.6㎜の農業ハウス用製品。上に乗っているバーは集水枡の端部に溶接する樋受け材
会社情報
- 会社名
- 株式会社 竜洋
- 代表取締役
- 鈴木 博之
- 住所
- 静岡県磐田市南平松10-1
- 電話
- 0538-66-2808
- 創業
- 1926年
- 従業員数
- 92名
- 事業内容
- 建築・建設関連、工場設備、医療機器、農業資材、特殊車両、環境設備などの金属製品全般の製造・販売・施工
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