特集2

コンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-AJ導入事例

スチール家具向け角パイプの加工にBREVIS-AJを活用

“パイプインデックス仕様”で導入 ― 平板の加工精度・切断面品質も改善

株式会社 三陽製作所

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画像:スチール家具向け角パイプの加工にBREVIS-AJを活用①2021年12月に“パイプインデックス仕様”で導入したコンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ/②角部分の穴あけ加工を行った角パイプ(30×30㎜)。従来はマシニングセンタで加工しており、生産性は40%程度改善した/③スチール家具(椅子)の座面の下に使用する部品。プレス絞りの後、BREVIS-AJで穴あけの追加工を行った

BREVIS-AJをパイプインデックス仕様で導入 ― Quattroに続く2台目

画像:スチール家具向け角パイプの加工にBREVIS-AJを活用左から水村隆取締役、水村滋社長、白畑武司製造係長

㈱三陽製作所は2021年12月、コンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJを“パイプインデックス仕様”で導入した。パイプインデックス仕様の小型レーザマシンとしては、2004年に導入したQuattroに続く2台目となる。

Quattroのパイプインデックス装置は丸パイプのみに対応しており、角パイプはQuattroのテーブル部分に治具で固定して加工したり、マシニングセンタで加工したりしていた。BREVIS-AJの導入により角パイプにも対応できるようになり、マシニングセンタで加工していた製品は段取り時間を含め、生産性が40%程度改善した。

平板の加工精度・加工品質も改善し、寸法公差+0.05/0㎜の精密加工にも対応する。端材板取り機能i-CASの活用により、主力のレーザマシンLC-3015F1NTで加工した後の端材をBREVIS-AJで加工するパターンが定着。さらに、Z軸ストローク200㎜を生かし、同社が得意とするプレス加工や、曲げ・溶接後の製品の追加工にも活用している。

画像:スチール家具向け角パイプの加工にBREVIS-AJを活用BREVIS-AJで加工した積層金型(左)。SPHC-P・板厚6.0㎜を5枚積層。切断面にテーパーが付かず、表面もなめらかで、曲げ加工後のワーク(右)にも跡がつかない

板金・プレス加工の技術開発型企業 ― CAD/CAE/CATに対応

同社は金属加工の総合メーカーとして、板金・プレス部品の受託加工を手がける技術開発型企業。試作・量産だけでなく、3次元CADによる設計、有限要素法(FEM)を用いたエンジニアリング(CAE)、3次元スキャナーによるリバースエンジニアリング(CAT)、ロボットによる自動化システム開発などにも取り組んでいる。

1953年の設立以来、薄板の深絞り加工を強みに、農業機械メーカー、スチール家具メーカーへ向けて金属プレス部品を供給してきた。1990年頃からは、金属プレス部品から耐熱樹脂による一体成形への工法転換や、メーカーの内製化が進んできたことから、精密板金加工やパイプ加工を強化。現在は精密板金加工事業(パイプ加工・溶接を含む)が売上全体の約70%を占めるまでになった。

2010年代に入ってからは水村滋社長が旗振り役となり、塑性加工技術の開発に力を注いだ。ファインブランキング並み(±10μm台)の超精密加工技術、トリムレスのネットシェイプを実現する特殊な絞り加工技術、高機能潤滑油を用いたボンデフリーの分流冷間鍛造技術、3次元複雑形状の代表格である精密ギアの精密冷間鍛造技術、3次元スキャナ ー の反射防止技術の開発による測定・評価の高精度化―などを開発・実現してきた。

これらの技術開発の要となっているのが、3次元CAD(現在13台保有)による設計技術と、有限要素法(FEM)による解析技術(CAE)だ。現在は、FEMによるCAEと3次元スキャナーによるリバースエンジニアリングを組み合わせ、仮想空間で工法検討を完結させるDX技術の開発にチャレンジしていこうとしている。

水村社長は「塑性加工の解析技術とロボットによる自動化システム開発 ― この2つを柱とする『エンジニアリング部門』を確立させるのが夢でした。10年くらい前から取り組みはじめ、5年くらい前からようやくかたちになってきました。今の時代、国内の部品サプライヤーはいつ立ちゆかなくなってもおかしくありません。他社には真似できない最先端のエンジニアリングと、部品加工からアセンブリーまでのトータライズを強みにできれば、仕事は自然とついてくると考えています」と語っている。

  • 画像:スチール家具向け角パイプの加工にBREVIS-AJを活用サーボプレスSDEシリーズを4台設備し、ファインブランキング並みの超精密加工やボンデフリーの分流冷間鍛造などに活用している
  • 画像:スチール家具向け角パイプの加工にBREVIS-AJを活用自社開発した双腕人型産業用ロボットによる自動化システム

会社情報

会社名
株式会社 三陽製作所
代表取締役
水村 滋
所在地
神奈川県横浜市金沢区朝比奈町138
電話
045-781-5873
設立
1953年
従業員数
50名
主要事業
スチール家具関係部品・農業用機械部品/小型エンジン部品/電力設備部品・建築関係部品/金型治工具設計製作・各種自動機械設計製作
URL
https://www.sanyoseisakusho.co.jp/

つづきは本誌2022年4月号でご購読下さい。

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