好調な台湾板金業界
穀物乾燥機の品質向上を目指して板金内製化を決断
ファイバーレーザ複合マシンLC-C1AJやベンディングマシンHGなどを導入
亞電 股份有限公司
①同社が製造する穀物乾燥機の模型/②3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで設計された連続送り式乾燥機
日本と馴染みが深い宜蘭(イーラン)で起業
林加偉総経理と黃珠玲夫人をはさんで、右が長女の林巡宇さん、左が長男の林巡安さん
亞電股份有限公司の本社工場がある宜蘭県は台湾北東部に位置する。宜蘭は海岸まで山が迫り交通の不便な場所だったが、2006年に北宜高速道路の雪山トンネルが開通し、台北市内まで1時間で行けるようになった。また、雨が多く地層には厚い石灰岩層がある宜蘭には、アジアで唯一と言われる冷泉もある。そのため自然の炭酸水が湧き出ており、戦前の日本統治時代には、花蓮(ファーレン)県で収穫されたサトウキビから生成した砂糖を炭酸水に混ぜ、サイダーやラムネを製造し、日本へ出荷していたという。
近在には温泉が湧き出ていて、2010年には石川県の老舗旅館「加賀屋」と台湾企業の共同出資により温泉旅館「日勝生加賀屋」がオープン。日本人観光客にも人気の温泉場となっている。
2016年に導入したファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ
LC-C1AJに材料を供給する材料棚
穀物乾燥機の製造・販売メーカーとして設立
亞電股份有限公司を創業した林加偉総経理は、もともと電気回路設計のスペシャリストとして活躍していた。
林総経理は1996年、収穫した米を精米後に乾燥させるための熱風式穀物乾燥機を設計・製造・販売する目的で同社を設立。収穫した穀物には、米は24%、小麦は28%程度、水分が残っている。貯蔵性向上や品質の保持のためには、米は15%、小麦は12.5%まで乾燥させる必要がある。水分20%の米を積み上げたまま保存しておくと4時間でカビが発生するため、収穫後の乾燥は重要で、脱穀・精米・乾燥・貯蔵を一貫で行う必要がある。
穀物乾燥機には、穀物を動かさない「静置式乾燥機」、穀物を循環させる機構を持つ「循環式乾燥機」、穀物を連続的に供給し乾燥されたものを連続的に排出する「連続送り式乾燥機」がある。同社は創業当初は静置式乾燥機を手がけていたが、現在は6機種の乾燥機をシリーズ化している。
左:ベンディングマシンHG-1303による長尺製品の曲げ加工/右:Webカメラを通じて工場の様子はいつでもスマートフォンで確認できる
会社情報
- 会社名
- 亞電股份有限公司
- 総経理
- 林加偉
- 住所
- 台湾・270宜蘭縣蘇澳鎮仁愛路18號
- 電話
- +886-3-9909179
- 設立
- 1996年
- 従業員数
- 10名
- 主要事業
- 穀物乾燥機、サイロなどの製作
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