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「MF-TOKYO 2025」開催

人手不足・人材多様化に対応する自動化・工程統合ソリューションの提案が活発

ブランクは高出力化と工程統合、曲げ・溶接はロボット化がトレンド

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過去最大規模で開催、コロナ前の来場者数を超える

塑性加工技術の総合展示会「MF-TOKYO 2025」(第8回プレス・板金・フォーミング展)が7月16日から19日までの4日間、東京ビッグサイト東4~8ホールで開催された。

出展者数は内部出展・共同出展を含め329社・団体(前回比21.4%増)、出展小間数は1,736小間(同3.5%増)で、過去最大規模での開催となった。期間中の来場者数は3万1,207名で、前回の2万8,219人から10.6%増えた。コロナ前に開催された「MF-TOKYO 2019」の3万113名を超え、過去2番目の来場者数となった。

自動化・工程統合のソリューション提案が活発

板金機械は省エネに貢献するファイバーレーザ加工機のほか、生産年齢人口・熟練技能者の減少に対応する自動化・スキルレス化・工程統合の提案が目立った。

ブランク工程では、アマダ、トルンプ、村田機械、ヤマザキマザックが複合マシンを出展し、工程統合を提案した。コマツ産機も複合マシンの映像展示を行った。また、全体の傾向として、ファイバーレーザの高出力化などにともない、中厚板の加工能力・加工品質が高まってきた。

曲げ工程では、アマダ、トルンプ、村田機械、コマツ産機、バイストロニックジャパン、吉野機械製作所がロボットによる自動化ソリューションを提案した。サルバニーニジャパンと協和マシンはパネルベンダーを出展した。ロボットやCAMの進化にともない、自動化の提案内容もレベルが高まり、バリエーションが充実してきた。

一方、今回はレーザ加工機(切断・溶接)をはじめ新興国(中国・台湾・韓国・トルコ)の製品の出展が目に見えて増えた。新興国のレーザ加工機メーカー、新興国製レーザ加工機を代理店販売する日系企業、新興国製レーザ発振器などを組み込んだ日系メーカーは、確認できただけでも20社以上におよんだ。

日欧メーカーは先進技術を採り入れた自動化・工程統合ソリューションを提案し、新興国メーカーなどは単体機を中心にコストパフォーマンスを訴求する構図となった。本稿では日欧メーカーが出展した板金機械を中心にレポートする。

板金全工程の自動化・最適化ソリューションを提案

アマダグループは「自動化との出会いが、モノづくりの未来を変える」をコンセプトに、①板金・微細溶接事業(アマダ)、②プレス自動化ソリューション事業(アマダプレスシステム)、③ばね成形機事業(同)、④大型プレス事業(エイチアンドエフ) ― が、それぞれブースを構えた。

「板金事業」からは、ブランク・曲げ・溶接の全工程で最新ソリューションを出展した。国内初披露のマシンは、高輝度・高品質・高出力ファイバーレーザマシン「VENTIS-3015AJe」(9kW)、ファイバーレーザマシン「ENSIS-3015AJe」(6kW・単体仕様)、協働ロボット付きベンディングマシン「EGB-8025e+CR-010B」、小物サーボベンディングマシン「EGB-4010e」の4機種。また、製造DXソリューション「LIVLOTS」による工場全体の最適化 ― 生産管理システム・CAD/CAM・各マシンと「LIVLOTS」の連携による情報の一元管理と工場運営の最適化も提案した。

「VENTIS-3015AJe」(9kW)は、新型の高輝度・高出力シングルモジュール発振器と「LBCテクノロジー」(軌跡ビームコントロール技術)を搭載。従来は複数のモジュールをつないで高い出力をつくり出したが、ひとつのモジュールで9kWの出力を生み出すことによりレーザ光の品質を高め、中厚板の高速切断と安定加工を実現した。出展機はパレットチェンジャー「AS-3015C」(10段)と接続し、中厚板加工の長時間連続運転も提案した。

ベンディングマシン用の協働ロボット「CR-010B」は、コンパクトで脱着可能なスポット自動化システムで、手曲げとロボット曲げをフレキシブルに切り替えられる。最大可搬質量10㎏で、最大ワークサイズは400×400㎜。ベンディングマシンのNC装置と連携し、CAM不要でロボット用プログラムの作成が可能な「ロボットプログラム簡易作成ツール」を搭載する。外力検知機能を持つ協働ロボットと、人の接近を監視するレーザスキャナーの採用で、進入防止柵が不要となり、限られたスペースにも設置できる。「AMNC 3i」以降のNC装置を搭載した既存のベンディングマシンへの後付けも可能だ。会場では、協働ロボット付きベンディングマシンと、自動金型交換装置付きベンディングマシンの2台をオペレータ1名が操作する「多台持ち運用」を実演した。

  • 画像:人手不足・人材多様化に対応する自動化・工程統合ソリューションの提案が活発アマダは新型の高輝度・高出力シングルモジュール発振器と「LBCテクノロジー」を搭載したファイバーレーザマシン「VENTIS-3015AJe」(9kW)を出展した
  • 画像:人手不足・人材多様化に対応する自動化・工程統合ソリューションの提案が活発手曲げとロボット曲げをフレキシブルに切り替えられる協働ベンディングロボット「CR-010B」。会場では自動金型交換装置付きマシンとの「多台持ち運用」を実演

画像:人手不足・人材多様化に対応する自動化・工程統合ソリューションの提案が活発
左:ファイバーレーザ複合マシン「EML-2512AJe」。端材認識カメラによる端材への割付とジョイントレス加工を実演/右:ファイバーレーザ溶接システム「FLW-3000ENSISe」。熱ひずみに合わせて倣う「i-Seam Tracking」の機能を披露

切削工程を統合した中厚板向け複合加工機

ファイバーレーザ発振器の高出力化などにともない、中厚板の工程統合ソリューションが登場し始めた。

村田機械は、ファイバーレーザ複合加工機「LS3015MC」を出展した。フライングオプティクス方式のレーザ加工機をベースに、レーザ加工・切削加工の2つのユニットを同一エリアに搭載し、中厚板の切削加工を統合した。出展機は8kWファイバーレーザ発振器を搭載し、板厚25㎜(軟鋼・酸素切断)まで切断可能。切削加工(ドリル・タップ・深ザグリ・皿ザグリ)との複合加工は板厚16㎜まで対応する。

ヤマザキマザックは、高出力ファイバーレーザ加工機「OPTIPLEX 3015 HP」(20kW)を出展した。切断用途に最適化された自社ブランドの新型高出力発振器を搭載し、素材供給・タップ加工・仕分け作業を自動化する「MAZAK LASER FA SYSTEM」と組み合わせた。タップ加工セルは機外に配置され、レーザ加工と並行して加工できる。出展機は工具24本を収納し、タップ・ドリル・ヘリカル切削・ザグリ・面取りなどに対応する。また、アングルなどのベベル加工に対応して発振器の出力を4kWから5kWに引き上げた3次元レーザ加工機「FG-400 NEO」も出展した。

  • 画像:人手不足・人材多様化に対応する自動化・工程統合ソリューションの提案が活発村田機械は切削加工を統合したファイバーレーザ複合加工機「LS3015MC」を出展した
  • 画像:人手不足・人材多様化に対応する自動化・工程統合ソリューションの提案が活発ヤマザキマザックは高出力ファイバーレーザ加工機と素材供給・タップ加工・仕分け作業の自動化システムを提案した

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