「日本ものづくりワールド2023」開催
10年先、20年先を見据えたサプライヤー選び
塗装までの一貫生産や、仕上げレスのファイバーレーザ溶接に注目が高まる
板金加工企業約90社が出展
「日本ものづくりワールド2023」が6月21日から23日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された。主催はRX Japan。同展は、「設計・製造ソリューション展」「機械要素技術展」「航空・宇宙機器開発展」など、10の専門展示会から構成される。出展者数は前回比52.6%増の1,847社・団体。会期中の来場者数は同35.8%増の6万6,895名となった。いずれも新型コロナ前(2018年6月開催時:出展者数2,522社・団体、来場者数8万8,679人)にはおよばなかったものの出展者、来場者の関心の高さが目立った。
板金加工企業は「機械要素技術展」を中心に出展していた。取材で確認できただけで国内・海外を合わせて約90社が出展した。
分野・企業・製品によってバラツキ
出展者に話を聞くと、好調な業種としては医療機器、食品機械、検査装置、建築金物、イベント機材、半導体製造装置などが挙げられたが、企業・製品によってバラツキが大きいようだ。特に半導体製造装置は、前工程・後工程、得意先のメーカーによって好不調の差が大きかった。建築金物、イベント機材などは、コロナ禍で中断していた仕事が動きはじめている。イベント機材については「各地でイベントが復活しはじめており、3~4年先までの仕事が決まっている。お客さまからは5~6年先まではキャパシティーを確保してほしいと言われている」といった声も聞かれた。
出展の狙いとしては「新規得意先の開拓」を中心に「認知度向上」「既存の得意先へのPR」などを挙げる企業が多かった。先行きが見通せない中で、業種・得意先を増やし、リスクの分散とさらなる成長につなげようとする姿勢が見られた。また、コロナ前の活況に戻りつつある中、「イベント出展の手ごたえを感じている」と回答する企業も多く、実際に来場者から図面を見せてもらい、相談を受けたという企業も多かった。
来場者からは「後継者不足などで今後、現在の発注先が廃業する可能性がある。10年先、20年先を考えると、将来性のある企業に仕事を発注したい。こういったイベントに出展している企業は先々を考えている企業が多いので期待したい」といった声も聞かれた。
溶接・塗装までの社内一貫生産体制をPR
強み・差別化のポイントとしては、「社内一貫生産」による対応・提案力を掲げている企業が多かった。
㈱エー・アイ・エス(東京都)は、一貫生産体制を強みに「お客さまの困りごとを一緒に解決できる」とPRした。「板金バナナ」は溶接後に耐圧試験機を利用することでふくらませ、成形した製品で、7種類の塗装で加工のバリエーションを持たせた。また、ブロック状に積み上げられた宅配ロッカーは塩害などを加味した加工、断熱構造への設計変更など、想定しうる特殊案件にも対応している。
精密板金加工を手がける㈱スズミ(福島県)は、ブランク加工から曲げ、溶接、塗装、シルク印刷までの一貫生産を行った通信機器のカバーなどを展示。「業者の廃業などもあってか塗装の需要が高まっているように感じる。同業者からの『塗装だけでもお願いしたい』という案件も増えている」という。
初出展の飯島プレス㈲(茨城県)は、「第33回優秀板金製品技能フェア」で日刊工業新聞社賞を受賞した「クラシックカメラ」を出展、技術力の高さを示した。「公共展などでは実際にカメラをつくっている会社だと勘違いされることもある。」という。
つづきは本誌2023年8月号でご購読下さい。