特集

2025年を展望する

新春景気見通しアンケート調査

「現状以上」が70%超を維持 ― 懸念材料は「コスト上昇」と「人手不足」

設備投資のターゲットは「工場拡張」「複合機」「レーザ溶接ロボット」が上位

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毎年恒例の「新春景気見通しアンケート調査」を2024年11月下旬に実施した。これまで取材などで訪問した企業の中から599社を選定して調査を行った。回答数は136件(回答率22.7%)だった。

結果を見ると、2025年の国内景気の見通しは「横ばい」が2年連続で40%超えとなり、停滞感が続いている。簡易DI(好転-悪化)は2年ぶりに前年を下まわった。

プラス要因としては「デジタル化投資・半導体投資」、マイナス要因としては「コスト上昇」「人手不足」が多数を占めた。経営上の課題も「収益性改善」「人材確保」「人材育成」が上位を占めた。その一方、脱炭素化やグリーン調達に対する危機意識は後退する傾向が見られた。

設備投資のターゲットは「工場拡張」「ブランク(複合機)」「レーザ溶接(ロボット)」などが上位。課題となる人材は、工場運営を担うリーダー・管理職のほか、溶接作業者や営業担当者も上位となった。

今回は「取引適正化(取引条件の改善)」(Q9)、「採用を実施・計画している人材の属性」(Q15)、「人材育成の取り組み」(Q16)に関する設問を追加した。

以下、集計結果と業界展望をまとめた。

Q1. 2025年の国内景気の見通し

「現状以上」との予想は70%超 ― 景況感はやや悪化

「現状と変わらない横ばいが続く」が前回比△0.7ポイントの44.1%で3年連続最多となった。2年連続の40%超えは、2012年の定期調査開始以来2回目、コロナ禍以降では初めてで、停滞感が続いている。

「好転する」は△2.7ポイントの27.2%、「悪化する」は+4.2ポイントの16.9%、「見通しがつかない」は△0.9ポイントの11.8%だった。「好転」と「横ばい」の合計は前回比△3.4ポイントの71.3%で、全体の70%超が「現状以上」になると見ている。

前回調査(2023年11月実施)から大きな変動はなかったものの、「好転」「横ばい」「見通しがつかない」が微減、「悪化」が微増で、景況感としてはやや悪化している。「見通しがつかない」は2年連続の減少で、不透明感は薄れている。

DIは5年連続でプラス域 ― 過去10年で7番目

簡易的に算出したDI値(好転-悪化)は+10.3ポイントだった。5年連続でプラス域となったものの、2年ぶりに前年を下まわり、過去10年(2015年調査以降)で7番目の水準となった。

画像:「現状以上」が70%超を維持 ― 懸念材料は「コスト上昇」と「人手不足」

Q2. 2025年の国内景気のプラス要因として注目していること

画像:「現状以上」が70%超を維持 ― 懸念材料は「コスト上昇」と「人手不足」

「プラス要因」が少ない ― 回答数が減少

回答者1人あたりの平均回答項目数が前回の「4.3」から0.8減少し、「3.5」となった。これまで平均回答項目数の変動幅はおおよそ±0.1~0.3にとどまっており、今回もQ3はその範囲におさまっている。「プラス要因なし」との回答も複数寄せられ、プラス要因が不明または少ないと見ていることが推察される。

「デジタル化投資・半導体投資」が2年連続最多

「DXに伴うデジタル化投資・半導体投資」が39.7%で突出し、2年連続で最多となった。本格回復と中長期的な高成長が予想される半導体産業への期待が大きい。

全体の回答項目数が減少する中で伸びが目立ったのが、「国土強靭化、防災・減災に関連したインフラ投資」(+8.7ポイント)と「米国の経済成長」(+6.4ポイント)の2項目。新設の回答項目「トランプ次期大統領の経済政策」は31.6%で2番目となり、米国経済の動向に対する注目度は高い。

一方、ほかの回答項目と比べても減少幅が大きかったのが「脱炭素化・SDGsに対応したグリーン投資」(△10.7ポイント)と「都市再開発などの建設投資」(△12.9ポイント)。どちらも足もとでは実需が振るわず、期待感が薄れている。

つづきは本誌2025年1月号でご購読下さい。

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