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「もの」売りから「こと」売りへの変革

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まずは、新年早々に起こった令和6年能登半島地震で犠牲となられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さまへ心からお見舞い申し上げます。

能登半島地震、羽田空港での航空機事故と、大規模災害と事故がたてつづけに発生し、不穏な年明けとなりました。不穏といえば政治状況も政治資金問題で国会議員が逮捕され、大揺れに揺れており、現内閣、政権与党自民党への支持率がいずれも30%を下まわりました。若者を中心に政治不信が広がるとともに支持政党がない、いわゆる「無党派層」が増えています。20代の若者の国政選挙での投票率は40%を下まわっています。

自民党一強時代が長く続き、世襲議員が増え、派閥が生まれ、派閥の領袖に対する「忖度」が行われる風潮になっています。国政選挙である衆・参議員選挙の予定がない今年は政治改革を進めると同時に、有権者である国民一人ひとりが参政権の重要性をあらためて強く認識する必要があります。

経済を見ると、政府が12月に発表した2024年度の実質成長率は1.3%プラスで、7月時点から0.1ポイント上方修正しています。しかし、2023年度の1.6%からは0.3ポイントの減速が見込まれています。自動車も電動化への対応の遅れなどから、欧米や中国に先を越されています。必要な衝突試験を行わずに不正なデータを使って国の認証を取得していたダイハツ工業の問題発覚などもあり、「Made in Japan」への信頼も根底から揺らいでいます。

工業製品のコモディティー化が進み、自動車のみならずあらゆる分野において日本製と比べても遜色のない外国製品が海外市場でシェアを拡大しています。そのうえ日本製品の半値以下で販売されているケースを目にすることも多く、「Made in Japan神話」は崩れつつあります。

レーザマシンなどでも、世界市場のトップは中国製になっています。10年ほど前までは海外製の発振器を搭載して安全対策も十分ではないマシンが「道具」代わりに販売されていましたが、今では中国製の高出力・高品質な発振器を搭載し、安全対策も万全で、価格も安いマシンが世界中でシェアを拡大。少なくともミドルトップクラスまでは圧倒的な強さを持っています。

日本の製造業は「ものづくり」から「ことづくり」、「もの」の販売から「こと」の販売にシフトしないと世界で生き残れない状況になっています。

マーケティングの世界では以前から「もの」売りではなく「こと」売りをしなくてはいけないといわれてきました。人々の生活が豊かになり、お金を使えるという状況では、単純に「もの」を増やしていくことより、「もの」から得られる体験を重視する志向が強まっていくといわれます。よって、「もの」売りから「こと」売りへの転換 ― すなわち人々が求めている体験=「こと」を、自社の商品やサービス ― すなわち「もの」でどう具現化することができるか、という視点を持つことが重要になっています。

そのためには一にも二にも利用者の視点に立つことです。プロダクトアウトの発想をやめ、商品を検討しているユーザーがどのような体験を望んでいるのか、商品価値そのものの視点を変えていくことで、マーケットインの発想を持つことが大切です。

このままでは日本は世界から取り残され、ガラパゴス化してしまいます。それを回避するために日本全体、日本で暮らす私たち一人ひとりが考え方も含め、大きく変わる必要があります。あらためて「変革」の2024年にしなければいけないと強く感じています。

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