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自動車産業向け「ホースバンド」と「小物プレス部品」の2本柱

初のサーボプレス順送ラインで生産性25%改善

株式会社 マルマツ

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画像:自動車産業向け「ホースバンド」と「小物プレス部品」の2本柱サーボプレス順送ラインSDE-2025iⅢ+LCC HF2。振り子モーションの活用で生産性は25%改善し、金型段取りの効率化にも貢献した

「ホースバンド」と「プレス部品」の2本柱

画像:自動車産業向け「ホースバンド」と「小物プレス部品」の2本柱江頭優貴取締役技監(左)と第2製造部の山田浩介係長(右)

愛知県常滑市の㈱マルマツは、金型設計・製作から金属プレス加工、溶接、アセンブリーまでの一貫生産体制を構築。主に自動車産業向けに「ホースバンド」と「プレス部品」の2本柱で事業を展開している。

青山盛二社長は座右の銘として「一念通天」(強い信念をもってたゆまず努力を続ければ必ず成し遂げられる)を掲げ、社員の自主性を重んじる「自主自由主義」と「内製主義」を徹底してきた。これにより30~40代の生え抜き社員、生産技術・プレス金型・情報システムの各分野に配置された専任エンジニアが躍動するユニークな企業体質を築き上げた。

業績はリーマンショック以降、右肩上がりで堅調に推移してきた。材料使用量は直近5年間で30~40%増加している。前々期(2021年9月期)と前期(2022年9月期)はコロナ禍と部品不足にともなう生産調整の影響でやや低迷したが、今期はコロナ前の水準まで回復を見込んでいる。

自動車産業向けが90%以上を占める

売上構成比は、ホースバンドが60~70%、プレス部品が30~40%。主要得意先は5社で、ホースバンド、プレス部品とも、自動車産業向け(二輪車含む)が90%以上を占める。

「ホースバンド」は、自動車を構成する各種ホース―冷却系(ラジエーター)ホース、吸気・排気系ホース、燃料系(フューエル)ホース、空調系ホースなどを適切なトルクで継ぎ手に固定する。ホース内の流体や内圧によって必要な形状・サイズ・トルク性能・シール性能などが変わるため、品種が多く、性能面・品質面で高い信頼性が求められる。

「プレス部品」は、排気系のブラケット類をはじめとする手のひらサイズの自動車部品が中心だ。マフラー部品のように、平板から筒形状に加工する製品もある。スポット溶接機、多軸ロボット溶接機(TIG・MAG・MIG)などを備え、プレス加工後の溶接・アセンブリーまで自社内で対応している。

画像:自動車産業向け「ホースバンド」と「小物プレス部品」の2本柱左:ホースバンドの製造工程。大型モニターには生産状況がリアルタイムで表示される/右:協働ロボットがホースバンドにマーキングするペイント自動機

「ホースバンド」 ― 独自のノウハウを確立

同社の最大の強みは、50年以上かけて培ってきたステンレス製ホースバンドの金型製造技術と量産製造技術だ。

ホースバンドは「バンド」「ハウジング」「ボルト」の3部品で構成される。「バンド」と「ハウジング」は平板からプレス機で加工しており、多品種・高品質・安定加工に対応する高度な金型製造技術が欠かせない。特に、バンドの溝穴加工は上下金型の微妙なクリアランスが、ハウジングは高速加工と高精度加工の両立が必要になる。

また、同社ではステンレス製ホースバンドの製造に特化した専用機を独自開発している。プレス加工後にバンドを円形に加工する「リング加工機」や、バンドとハウジングを組み合わせてボルトを取り付ける「組立機」はすべて自社製だ。ボルトのネジ穴の状態を画像でチェックして自動で仕分ける検査装置や、個々の製品に工業用マーカーでマーキングをするペイント自動機も社内で開発した。それぞれ最新技術を採り入れながら日々アップデートしており、ペイント自動機の中には多関節の協働ロボットを採用したものもある。

独自のノウハウにより安定供給を実現している同社のホースバンドには定評があり、複数の自動車メーカーに採用されている。

江頭優貴取締役技監は「ホースバンドは高い信頼性が求められます。高トルクの製品であればなおさらで、当社は質・量ともに実績があるホースバンド製造企業としてお客さまからご評価いただいています」と語っている。

画像:自動車産業向け「ホースバンド」と「小物プレス部品」の2本柱同社の主要製品。左からホースバンド、自動車向けを中心とした小物プレス部品

会社情報

会社名
株式会社 マルマツ
代表取締役
青山 盛二
所在地
愛知県常滑市末広町1-33
電話
0569-36-3380
設立
1988年(1965年創業)
従業員数
155名
主要事業
各種プレス加工、各種溶接加工、各種アッセンブリ、プレス金型設計製作
URL
https://www.marumatu.net/

つづきは本誌2023年1月号でご購読下さい。

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