続伸する半導体製造装置向け板金需要のこれから
「変化対応型企業」の100年企業に向けての挑戦
30年以上にわたり半導体製造装置部品を製造
有明技研 株式会社
顧客の要望に応じて幅広い材質の加工に対応
有明技研㈱は半導体製造装置を中心とした装置関連製品の総合企業。板金加工からパイプ・形鋼の切断やタップ加工、小物部品から5mまでの長尺加工や複合旋盤加工などの機械加工、樹脂の切削加工や溶接など幅広い加工に対応している。
それを可能としているのは3つの強み―マシニングセンタ、複合旋盤などのNC工作機械を90台ほど保有し、金属・樹脂の切削加工から精密板金加工・製缶溶接・樹脂の接着・溶接までの「充実した設備」。品質管理体制を確立、最先端の画像測定機や3次元測定機を駆使し、さまざまな業種の得意先の品質基準に対応する徹底した「品質の追求」。迅速なレスポンス、最新設備を用いてのコストダウンを提案する「提案力の高さ」。品質の追求はもちろん、製造コスト1/2、納期1/3を目標に業務改革を行っている。
半導体製造装置部品を30年以上も製造
同社は1947年に農機具関連の水揚げポンプなどを製作する有明鉄工所として創業した。その後、炭坑の防爆関連機器や農機具部品、炭坑関連機器の機械加工から組立までを手がけるようになった。1988年には社名を㈲有明技研に変更、半導体製造装置用樹脂加工を手がけるようになった。1990年には株式会社へ組織変更した。機械加工に参入したきっかけは、大曲和彦社長が知り合いから誘われて行った工場でマシニングセンタを初めて見たことだ。「この先はこれがないと生き残れない」と感じた大曲社長は、先代社長にマシンの必要性を述べ、購入要望を伝えた。
先代から「月100万円の仕事を持ってきたら考える」と言われた大曲社長は無事に仕事を獲得、周囲の応援を得てマシンを導入―これが同社の転機となった。大手半導体製造装置メーカーが熊本県に事業所を開設し取引先を探していて、マシニングセンタを所持している同社に仕事の話がきたのだ。以来30年以上にわたり半導体製造装置部品の製造を続けている。
「お客様第一主義」で顧客の要望に対応する
2005年には「1台あれば絶対伸びる」との考えで同社初のパイプ・形鋼加工用のレーザマシンを導入、故障などのリスクを避けるため、すぐに2台目も導入した。2011年にはアマダ製のレーザマシンLC-3015F1NT+AS-3015F1を導入。当時はまだ板金加工の仕事も利益も少なかったが大曲孝彦副社長と熊本工場製造課の宮﨑大輔課長で、『これがないと絶対に利益が出ません』と大曲社長に懇願した。
「LC-F1NTを導入してから熊本工場も利益が出るようになっていきました。当社は『お客様第一主義』を経営方針に掲げています。そのため加工スピードはすごく影響します。以前、お客さまから『困った案件があって今日中にどうにか対応できないか』と依頼がきました。当時は板金の仕事はほとんどなく、その時も仕事が終わり早めに工場を閉めていました。しかし、『お客さまが困っているなら』と、マシンの電源を入れ、図面をもらって1時間半後には製品が完成しました。これにお客さまが感動され、それがきっかけで今でも毎月大口の仕事をいただいています」(大曲副社長)。
同社には柳川本社工場、熊本工場、大牟田工場と3カ所の製造拠点がある。「柳川本社工場」では小物全般や複合旋盤、大型ベース加工、5軸加工、長尺加工、金属加工を主に行う。「熊本工場」では鉄・ステンレス・アルミなどの板金加工やパイプ・形鋼加工用レーザマシンによる切断・タップ加工、製缶品の溶接、装置筐体をはじめとしたステンレスタンク、手すりや足場などの製作や、溶接後の機械加工にも対応している。「大牟田工場」ではさまざまな種類の樹脂をマシニングセンタや複合旋盤などで多種の加工に対応。樹脂の接着・溶接も行っており、塗装後の製缶品に樹脂巻といわれる高い技術力が必要な製品にも対応している。
会社情報
- 会社名
- 有明技研 株式会社
- 代表取締役
- 大曲 和彦
- 本社
- 福岡県柳川市西浜武500-1
- 熊本工場
- 熊本県菊池郡大津町大字杉水3739-8
- 電話
- 096-294-0511(熊本工場)
- 設立
- 1990年(1947年創業)
- 従業員数
- 287名(パート・派遣社員含む)
- 主要事業
- 樹脂精密切削・曲げ溶接加工、金属精密切削加工、精密板金・フレーム製作加工、半導体・液晶製造装置関連設計・製作、産業機械関連設計・製作
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