特集

続伸する半導体製造装置向け板金需要のこれから

モノ不足で生産調整続くバーンインテスタのOEM生産

半導体製造装置に特化したビジネスモデルが成功

福田計器 株式会社

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画像:モノ不足で生産調整続くバーンインテスタのOEM生産左:バーンインテスタの筐体のフレームはHG-ATCで曲げ加工して製作している/右:形鋼から板金フレームに工法転換したVA提案の成果

OEMメーカーの立ち位置で付加価値改善

画像:モノ不足で生産調整続くバーンインテスタのOEM生産福田治社長

2008年に41歳で福田計器㈱の2代目社長に就任した福田治社長を待ち構えていたのはリーマンショック、東日本大震災などの外部要因で、事業は大きく影響を受けた。それまでは半導体製造装置、医療機器、各種計測器などの精密板金製品を手がけ、得意先の数も多かった。以来、さまざまな業種から幅広い仕事を受注することで景気変動に影響されることなく、仕事を平準化することで企業体質の強化を目指してきた。

しかし、業種ごとに品質基準や図面の書き方、遵守性も異なる。福田社長は2011年頃から単に得意先を増やすのではなく、期待できる業種・得意先に的を絞り、板金加工のみならず加工から組立、電装組み込みまでを行い、川上から川下まで一気通貫で受注する、OEMメーカーの立ち位置で付加価値改善を実現するビジネスモデルを考えた。

半導体製造装置に的を絞る

それまでお世話になってきた得意先を絞り込むのは大変だったが福田社長は「産業の米」と言われる半導体にた半導体検査装置向けの仕事を拡大することを決断した。

福田社長の決断はファイバーレーザ溶接ロボットFLW-4000を導入した2013年からはじまる。2016年にはファイバーレーザ複合マシンACIES-2515T-AJ+AS-3015NTK+ULS-3015NTK、2018年にはベンディングマシンEG-6013と、ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ+LST-3015G。2021年には自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-2204ATC、2022年には超精密ファイバーレーザマシンPRELAS-1212AJなど、設備を次々と導入して「半導体シフト」の姿勢を鮮明にしていった。

  • 画像:モノ不足で生産調整続くバーンインテスタのOEM生産導入して6年目を迎えるACIES-2515T-AJは24時間フル稼働で稼働率は90%台となっている
  • 画像:モノ不足で生産調整続くバーンインテスタのOEM生産2021年に導入した自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-2204ATC

半導体の需要は2030年まで好調 ― 製造装置も過去最高を更新

1985年以降、半導体市場で日本の地位は年を追うごとに低下している。現在では世界シェアは6%になり、上位を米国や韓国、台湾が占めている。

日本にもフラッシュメモリーのキオクシアやイメージセンサーのソニーグループ、パワー半導体ではルネサスエレクトロニクス、三菱電機、東芝、富士電機など特定分野に強い企業がある。特にパワー半導体は自動車のEV化や自動走行には欠かせないこともあり、政府はオールジャパンで半導体産業の振興・発展を目指している。

世界半導体市場統計(WSTS)が2030年までの半導体需要を予測した資料では、半導体出荷額は2021年の5,559億ドルから、2030年には2.4倍の1.35兆ドルになると予測しており、今後も需要見通しは明るい。

半導体需要の拡大にともなって半導体製造装置の市場拡大も継続すると予測され、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が発表した「2022年の半導体製造装置市場」は、過去最高の1,175億米ドル(前年比14.7%増)に達するという。2023年も続伸し、1,208億米ドル(2.8%増)規模と予測している。

また、日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表している2022年度~2024年度の日本製の半導体・FPD製造装置の需要予測によると、ウクライナ危機や物価・エネルギー価格の高騰、サプライチェーンの混乱、部品不足などが続くものの、半導体メーカーの積極投資は継続しており、2022年度には過去最高の4兆5,133億円になる見込み。2023年度以降も成長は続き、2024年度には4兆9,312億円に達すると予測している。

2021年に世界の半導体出荷数は1兆1,353億個と過去最高になった。世界人口を80億人とすると、単純計算で1人あたり年間約142個を消費したことになる。スマホやパソコン、車をはじめとしたあらゆる家電製品、電子機器などに内蔵される半導体を抜きにしては現代人の生活は成り立たなくなっている。

  • 画像:モノ不足で生産調整続くバーンインテスタのOEM生産半導体検査装置のステンレス製部品
  • 画像:モノ不足で生産調整続くバーンインテスタのOEM生産第4工場では、3社が連携してOEM生産するバーンインテスタの組立作業が行われている

会社情報

会社名
福田計器 株式会社
代表取締役
福田 治
所在地
埼玉県熊谷市葛和田1740
電話
048-588-0277
設立
1967年
従業員数
42名
主要事業
半導体検査装置・大型板金加工・微細加工・組立配線など
URL
http://www.fukudakeiki.com/

つづきは本誌2022年10月号でご購読下さい。

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