特集

新たな市場創造を目指す食品機械業界

「FOOMA JAPAN 2022」開催

食品製造プロセスの最重要課題は「自動化・省人化」

ロボットの活用、内食・中食向け自動化ソリューションが目立つ

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画像:食品製造プロセスの最重要課題は「自動化・省人化」「FOOMA JAPAN 2022」の会場は、コロナ禍以前に匹敵するにぎわいを見せた

3年ぶりの大規模開催 ― コロナ禍以前に匹敵するにぎわい

アジア最大級の「食の技術」の総合トレードショー「FOOMA JAPAN 2022」(2022国際食品工業展)が6月7日から10日までの4日間、東京ビッグサイトで開催された。主催は一般社団法人日本食品機械工業会。食品機械・装置および関連機器を中心に、食品製造プロセスに関わる企業が集結し、最先端の技術・製品を披露した。

東京ビッグサイトでの開催は2019年以来3年ぶりで、コロナ禍以前に匹敵するにぎわいとなった。

出展者数は過去最多の874社で、新規出展者は2014年以来8年ぶりに100社を超えた。会期中の来場者数は9万2,717人で、2019年の10万680人にはおよばないものの、前年比4.1倍の大幅増となった。ただし、入国制限により海外からの来場者数は伸び悩み、2019年の5,134人に対して今回は395人だった。

受注環境は劇的に改善も「回復途上」 ― 懸念は部品不足

会場では、出展各社が口をそろえて「2020年、2021年と比べると受注環境は劇的に改善した」とコメント。「海外の大型案件が動き出した」「コンビニベンダーの設備投資意欲が引き続き高い」「冷凍食品関係の需要が好調」といった明るい声が随所で聞かれた。

ただし、「コロナ前(2019年)を上まわる」と回答した企業は一握りで、大半は「回復途上」としていた。また、メーカーや機種、製造する食品のタイプによって、回復の程度には大きな差が見られた。

最も顕著なのは菓子製造機械で、スーパー・コンビニ・ドラッグストアなどで販売する流通菓子向けは好調だが、土産菓子向けは引き続き低調が続いている。「コロナ前の70%程度」「旅行客は増えているが、コロナ禍で周囲の目を気にしているのか、土産物の購入金額は増えていない」「外国人観光客が増えなければ本当の回復とはいえない」といった声が聞かれた。

冷凍食品の製造に欠かせないトンネルフリーザーも例外ではなく、家庭用の市販品向けは引き続き好調だが、業務用はまだら模様。「業務用は家庭用よりも市場規模が大きい。外食産業の回復が待たれる」「地域差が大きい。都市部は好調だが、地方は回復が遅い」といった声が聞かれた。

ほかの機械産業と同様、電子部品の供給制約も回復の足を引っ張っている。供給が滞っている電子部品は、会場で聞かれただけでも半導体、モーター、インバーター、シーケンサー、リレー、センサー、コネクター、ボタンなど多岐にわたり、納期が1年以上かかるものもあるという。また、機械・装置は完成していても、食品工場や、飲食店が入居する商業施設などの建設工事が遅れ、納入がずれ込むケースも発生している。

  • 画像:食品製造プロセスの最重要課題は「自動化・省人化」前川製作所は、豚もも肉用の脱骨ロボット「セルダスシステム」を出展した
  • 画像:食品製造プロセスの最重要課題は「自動化・省人化」大和製衡は、自社の計量システムとアールティの人型協働ロボットを組み合わせた弁当製造ラインを出展

「自動化・省人化」への対応が最重要課題 ― ロボットの活用が進む

今回のFOOMA JAPANでは「自動化・省人化」への対応がとりわけ大きなテーマとなっていた。AI・ロボット・IoTなどのデジタル技術を採り入れた製品・ソリューションが多数出展され、中でもロボットを活用した事例が目立った。

前川製作所は、豚もも肉用の脱骨ロボット「セルダスシステム」を出展した。3Dセンサーで立体形状を、X線で骨の配置を認識し、AIが骨の形状や向きなどの個体差を識別する。同社独自の自動脱骨・除骨技術「DAS」を採用したシリーズのひとつで、「第1回FOOMAアワード」の最優秀賞を受賞した。

大和製衡は、自社の自動軽量供給システムとアールティの人型協働ロボットFoodlyを組み合わせた弁当製造ラインを出展。人とロボットが協働で食材を計量器に投入したり、ロボットがトングで唐揚げを弁当に盛り付けたりする実演を行った。アールティは自社ブースでもFoodlyによる盛り付け作業の自動化を提案した。

つづきは本誌2022年8月号でご購読下さい。

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