最新ファイバーレーザプロセッシング
【特集3】 FLW-ENSIS
サーマルエンジニアリング技術に特化した製品を開発・製造
熱技術開発 株式会社
①ファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISのティーチング作業。操作に習熟しているため短時間で対応できる/②治具にセットすることで、一度に多数の部品を溶接することができる
サーマルエンジニアリング業界のパイオニア
木村孝行工場長(左)と井上善也社長(右)
熱技術開発㈱は創業以来、「熱技術を核とした新たな価値の創造」をスローガンに、プラスチックフィルム・シート、金属箔、紙・板紙、不織布、繊維、鋼板、ガラスなどの比較的薄い基材にコーティング、ラミネーティング、プリンティングなどのプロセスを加え、新たな機能材を生み出す印刷業界やコンバーティング業界向けの乾燥装置・排ガス処理装置・省エネ設備の専業メーカーである。
ノズルから熱風を吹きかけてコーティングした溶剤を蒸発させ、固形成分を基材に固定させる熱風乾燥装置や加熱装置を設計・製作。液晶パネルで使用される機能性フィルムの製造ラインやリチウムイオン電池に使われるセパレータフィルム製造ラインの乾燥装置・加熱装置に使用されている。サーマルエンジニアリング技術を駆使した排気ガス処理装置、創薬分野で使用される極低温冷凍保管庫、さまざまな気象条件を再現して製品の品質保証のための耐久試験などが行える環境試験室なども提供している。
さらに、コンバーティング業界向けにエネルギーコストやCO2排出量を削減する省エネトータルシステムを提供するエンジニアリング会社としても事業展開し、サーマルエンジニアリング業界ではパイオニア的存在となっている。
熱技術に特化した装置を一貫生産
2020年9月に3代目社長に就任した井上善也氏は、自社について「現在は41期目で、熱技術に特化した装置を開発・製造しています。お客さまがどのような装置を求めているかヒアリングし、アイデアを出しながら仕様を固めて設計し、装置をつくり上げています。お客さまの承諾をいただけたら、材料の加工から溶接組立、塗装までは大阪にあるグループ会社の㈱ティー・イー・ディーが担当し、据付は当社が担当します。そのため、『機械器具設置工事業』の認可も得ています」。
「グローバル化に対応するため、1989年には米国、2015年には中国に子会社を設立しました。最近は液晶やリチウムイオン電池の製造が中国にシフトし、中国ビジネスは忙しくなっています。中国の子会社はファブレス化し、日本で設計した図面に基づき、中国子会社で部品・資材を調達して、ローカルの協力会社で製造します。そうすることにより日本の技術・品質と同等の製品を、中国メーカーと同等の価格で、中国の日系のお客さまや中国ローカルのお客さまに納入しています」。
「中国の子会社は、輸出・輸入事業も手がけています。中国は競争が激しくプライスダウンの要求が激しい。日本で製造した装置を中国に持っていくと3~5倍も高く、ハイエンドなお客さまにしか買っていただけません。コモディティー化に対応して価格破壊が進んでいくので、どこまで対応できるかが勝負になっています」と語っている。
SUS443の板厚3㎜を4枚重ねて溶接することで板厚12㎜として使うことができた
ファイバーレーザ溶接したフローターノズルの通風試験を行っている様子
会社情報
- 会社名
- 熱技術開発 株式会社
- 代表取締役
- 井上 善也
- 本社
- 神奈川県横浜市港北区新横浜3-18-14
住生新横浜第2ビル2F
- 製造工場
- 大阪府堺市美原区多治井209(㈱ティー・イー・ディー)
- 電話
- 072-361-7127
- 設立
- 1981年
- 従業員数
- 38名
- 主要事業
- 印刷業界、コンバーティング業界向けの乾燥装置・脱臭装置の設計・開発
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