高度化するQ,C,D要求に対応するVENTIS-AJ
高輝度レーザによるステンレス材の高速・高精度加工を実現
VENTIS-AJの国内1号機を導入 ― 稼働率62%を達成
武蔵工業 有限会社
事業の柱は4本 ― 4月までは順調
武蔵工業㈲は、板金加工・機械加工・溶接の複合加工によるワンストップ体制を確立し、納期短縮・コスト低減に対応する部品メーカー。事業の柱は4本 ― 主力の高所作業車両部品が売上全体の40~50%、フェンダーなどのトラック車体部品とコンベヤーなどの輸送機器部品が合わせて20~30%、厨房機器部品が10%弱となっている。
2018年に大手総合厨房メーカーが伊勢崎市の伊勢崎宮郷工業団地内に群馬工場を開設したことで、厨房関連機器に使われるステンレス部品の仕事を新規受注。同メーカーの他工場からも受注するようになり、今では同社の売上構成比4位に成長した。輸送機器関連では物流倉庫向けの需要が増える傾向で、受注環境は恵まれている。
3月時点で新型コロナウイルスの感染拡大による影響は見られず、4月までの生産量の落ち込みは少ない。しかし、5月以降に関しては「見通しは立っていません。今期(2020年7月期)の通期業績は10%前後の落ち込みを想定しています」と阿久津光康社長は語っている。
総合厨房メーカーの仕事を新規開拓
新型コロナウイルスの感染拡大に対応して政府は4月7日に「緊急事態宣言」を発出し、日本全体で経済環境は一段ときびしさを増しているが、同社にとってさいわいだったのは、厨房機器の仕事が増える傾向にあることだ。
2018年末、大手総合厨房メーカーの群馬工場が伊勢崎市内に開設すると知り、営業活動を推進した。ステンレス加工の経験が浅く、当初は得意先のQ,C,D要求に対応できるか不安もあったという。しかし、この話を耳にする前から、同社はステンレスやアルミの仕事を増やしていく方針を固めていた。そのために2018年8月にファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ+ASFH-3015Gを導入し、ブランク加工の対応力はすでに備わっていた。
課題は、ステンレスの高品位な溶接ができる技術の確立と、作業者の育成だった。厨房機器部品も、ブランク加工と曲げ加工は問題なく対応できたが、TIG溶接ではさまざまな課題が残った。溶接後のひずみ除去・ビードカットの作業に多くの手間がかかった。
こうした課題に対応するため、2019年9月にはファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISを導入した。FLW-ENSISは、溶接線をヘッドと同軸のカメラが倣い、その画像を見ながら作業者が溶接線をトレースすることでロボット操作プログラムを手軽にティーチングできる。溶接ビード・溶接焼けも少なく、経験の浅い社員でも高品位な溶接を実現できるようになった。また、“切断ヘッド”をオプションで導入することで、フランジなど立体化した製品の追加工にも対応できる仕様となっている。
会社情報
- 会社名
- 武蔵工業 有限会社
- 代表取締役
- 阿久津 光康
- 専務取締役
- 小林 良輔
- 住所
- 群馬県伊勢崎市波志江町4734-1
- 電話
- 0270-26-1681
- 設立
- 1970年
- 従業員数
- 37名
- 主要事業
- 高所作業車などの工事用車両、トラックの車体架装、コンベヤーなどの輸送機器、厨房機器などの部品製造
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