第31回優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介
CAD技術を駆使した529枚の部品からなる積層構造
「重なる!いのしし鏡餅」で神奈川県知事賞を受賞
株式会社 インスメタル
初めての応募で神奈川県知事賞を受賞
㈱インスメタルが「第31回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「造形品の部」に応募した「重なる!いのしし鏡餅」が神奈川県知事賞を受賞した。
審査委員の安田克彦副委員長は講評で「今回のフェアでは積層板金による組立品が高い評価を受けた。これはその中のひとつ。モデルを粘土でつくり、3Dスキャナーで3次元データとして取り込んでいる。そのデータを利用して、各板の形状を決定し、レーザ切断して積層している。板厚0.5㎜のステンレス鋼板を使い、表面の模様も非常になめらか。従来の積層の簡易金型が、さらに高精度なものに移行していく可能性を秘めている」と作品を評した。
この作品は、板厚0.5㎜のステンレス(SUS304)の部品529枚からなる積層構造のため、レーザ加工用プログラムを529件、作成しなければならない。また仕上げ加工を行わないことを定めていたため、3Dスキャナーで取り込んだ3次元データの外周や切断面をCAD上でなめらかに整える必要があった。そのような難易度の高い作業にもかかわらず、一回でこの作品を完成させたということからも、同社が高度なCAD技術を有していることがわかる。
同社が板金フェアに応募するのは今回が初めて。初めての応募で神奈川県知事賞受賞という快挙を成し遂げた。
国内で5指に入るレーザジョブショップ
インスメタルは国内で5指に入るレーザジョブショップ。国内5カ所に製造拠点を持ち、毎年積極的な設備投資を行うことで生産能力を拡充。切断面品質や加工速度など顧客の多様なニーズに対応する「レーザ加工のコンビニ」を標榜する。
売上・加工量は毎年増加し、昨年は過去最高の年商31億7,000万円を達成した。今年度の売上は、半導体製造装置関連の仕事が減少しているほか、働き方改革による残業時間規制の関係もあり、微減を見込んでいる。
しかし、1-3月期の売上高は前年同期比であまり落ち込んでおらず、“ちょうど良い”稼働状態が続いている。5月の連休明けからは建築関連の需要が伸びると見込まれることから、福井英人社長は「大きな心配はしていません。ハイテンボルトなどの建築資材が品薄で、どこの建設現場でも工期が遅れ気味。しかも来年に迫った東京五輪の関連施設の建設を優先させているため、中小の工事は進んでいません。戦後73年が経過して、国内の社会インフラは大規模修繕や建て替えが必要になっていることを考えると、ポスト五輪も仕事が大きく落ち込む不安はあまりありません」。
「当社の今年度の売上は昨年度に比べて微減しますが、2016年度、2017年度と比較するとプラスになると思います。後退ではなく現状維持だと思っています」と語っている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 インスメタル
- 代表取締役社長
- 福井 英人
- 本社・浦安工場
- 千葉県浦安市鉄鋼通り1-7-1
- 電話
- 047-355-6511
- 設立
- 1967年(創業1962年)
- 従業員数
- 130名
- 事業内容
- レーザ切断加工、折曲加工、ウォータージェット加工、溶接加工一式
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