特集

“withコロナ”に対応する板金業界

“withコロナ”へ向けた新規板金需要に対応

ピンチをチャンスに ― 新規需要を創出する板金工場の事例

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画像:“withコロナ”へ向けた新規板金需要に対応左:㈱ハイサーブウエノが開発した「飛沫防止ガード」 /右:カウンター席を間仕切るパーテーションタイプの「飛沫防止ガード」

“ポスト・コロナ”“withコロナ”へ向けた新規板金需要

新型コロナウイルスの感染拡大に対応した緊急事態宣言の発出によって、日本国内の経済活動は大きく収縮した。板金業界では、工作機械や建設機械など、景気の先行指標といわれる業界からの発注が大幅に減少。小誌が実施した緊急アンケート調査(6月号に掲載)によれば、4-6月期は60%超の企業が10~30%の受注・売上減を見込んでいる。

その一方で、業界によっては一時的に大きく落ち込んでも、下期へ向けて回復のテンポが上がるとの見方も増えている。

テレワークや“巣ごもり”によって使用量が大幅に増えている情報通信産業の関連産業として、半導体製造装置やデータセンター向けサーバーラックなどの需要が増え、7-9月期の受注はプラスに転じるとの見方もある。

また、感染拡大に対応する緊急経済対策の一環で、小中学生全員にパソコンやタブレット端末を1台ずつ配る政府の「GIGAスクール構想」が前倒しされ、今年度内に一気に配られる見通しとなり、少なくとも600万台にのぼる空前の特需が生まれている。これにともない、学校内にサーバーや専用の保管庫を設置する必要が生じ、サーバーラックや保管庫などの板金需要が新たに創出され、この6月からすでに量産が始まっている。

さらに、パンデミックによってグローバルサプライチェーンが分断されたことから、大手企業を中心に、コア部品の内製化や、海外調達を国内調達に切り替える動きも生まれている。経済産業省は、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を実施するため、国内投資促進事業基金を設置して令和2年度補正予算で2,200億円の予算を計上。生産拠点の集中度が高い製品・部素材等の国内での生産拠点の整備などを進め、サプライチェーンの分断リスクを低減させる取り組みを始めている。こうした動きを受けて、すでに海外工場の縮小と国内工場への設備投資を計画する板金企業も出てきている。

画像:“withコロナ”へ向けた新規板金需要に対応左:マスクの素材(布)に型紙のように金型を当てて写す。この後、裁断する/右:マスク金型を使って製作した手づくりマスク

感染防止で新規ビジネス開拓

感染防止のためのさまざまなオリジナル製品を展開する板金企業も現れている。

たとえば㈱ナダヨシ(福岡県)は、感染予防のマスクが不足している状況で、手づくり布マスクの製作に役立ててもらおうと、ステンレスの薄板をレーザ加工して布を切り出す際に必要な金型を製作。配送費を実費負担してもらい、全国へ無償提供した。

厨房機器の製造・販売を手がける㈱ハイサーブウエノ(新潟県)は、飛沫防止ガードを開発し、大手飲食チェーンなどから大量注文を受け、繁忙となっている。

以下、ナダヨシとハイサーブウエノの事例を紹介する。

つづきは本誌2020年7月号でご購読下さい。

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