特集

発展する食品機械と板金加工

売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調

チームワークで大田区の「優工場」認定を取得

佐藤工業 株式会社

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画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調組立途中の除水機

京浜島への移転が転機に

画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調佐藤勝喜会長

佐藤工業㈱は、1972年に佐藤勝喜会長が28歳で創業した。佐藤会長は宮城県気仙沼市の学校を卒業し、首都圏の金属加工企業に就職。その後、東京都品川区内の板金工場で若き工場長として活躍した。

佐藤会長は「会社勤めが性に合わなかったようで、一時はほかの職業に就いていた時期もあります。結婚し、28歳になったときに板金加工の仕事をするようになり、その後、佐藤工業㈱を設立、少しずつ設備を増やしてきました」。

画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調佐藤喜一社長

「ところが当時の工場周辺は住宅地で、騒音に対する苦情が出るようになりました。このままでは事業の継続が難しいと考えていたとき、東京都が京浜島(羽田空港の隣にある埋立地。面積は東京ドーム22個分の103ヘクタール)に近代化・高度化を目指した企業を移転させる計画があることを知りました」。

「当社を含む中小製造業者18社が京南工業協同組合を結成、国民金融公庫(現在の日本政策金融公庫)などからの融資を活用して、40年ほど前に現在地へ移転。80坪の土地に工場を建設し、板金加工業を本格的に始めました。工業団地なので騒音や振動を気にすることなく24時間稼働でき、仕事は順調に伸びていきました」と振り返る。

画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調左:レーザマシンFO-MⅡ 2412NT(左)とLC-1212αⅣNT(右)/右:大田区の「優工場」認定証のほか、社員の大半が各種技能検定に合格していることを示す認定証も掲示している

ステンレス加工に特徴 ― 除水機メーカーに

「当社はもともとステンレス加工を得意としていて、除水機メーカーから仕事を受注するようになりました。除水機は、出荷前に加工食品などのパッケージに付着した水滴を除去する機械です。加工食品にはレトルト食品・包装商品・パウチスタンド・ビン・カンなど、さまざまなパッケージがあり、食品の安全性と品質を担保するため、食品を密封包装し、出荷前に約120度の蒸気で1時間ほどかけて加熱殺菌、その後に熱を除去するために水で冷やします。このとき加工食品のパッケージに水滴がつきますが、出荷に際しては、それをきれいに取り除く必要があります」。

「そこで登場するのが除水機です。以前は手作業で水滴をぬぐっていましたが、加工食品の種類や量が増え、手作業では対応しきれなくなりました。そうして梱包・加熱殺菌・冷却・除水を一貫ラインで処理するようになり、除水機へのニーズが出てきました。今では全国各地の食品工場の生産ラインに導入されているほか、医薬品メーカーで点滴バッグの除水にも使われています」。

「当社が受注していた除水機は、ブロワーを使って風圧で水滴を吹き飛ばす簡便な方法でありながら、水滴を残さず吹き飛ばすことができる水切り効率の高い商品でした。当社はそれまで培ってきたステンレス加工技術を駆使して、さまざまなアイデアを提案しました」。

「ところが、お客さまである除水機メーカーが休業・解散することになり、これまで販売した除水機のメンテナンス対応、新規の引合い対応などの必要から、当社がその事業を継承、除水機メーカーになりました」と佐藤会長は除水機メーカーになるまでの経緯を語る。

  • 画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調SUS304のTIG溶接
  • 画像:売上の60%を占める“除水機”が食品・医薬向けに順調テスト用の除水機でサンプル商品の除水テストを行う

会社情報

会社名
佐藤工業 株式会社
代表取締役会長
佐藤 勝喜
代表取締役社長
佐藤 喜一
住所
東京都大田区京浜島2-4-17
電話
03-3799-0721
設立
1977年(1972年創業)
従業員数
10名
事業内容
除水機の製造・販売、食品機械関連製品の製造、ステンレス部品加工、ステンレス・アルミのレーザ加工、NC加工、アルゴン溶接、半自動溶接、スポット溶接、機械加工など
URL
http://www.satokg.co.jp/

つづきは本誌2019年9月号でご購読下さい。

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