「デジタル板金工場」のブランドを確立
「板金ジョブショップ」「ユニット」「Web受発注サービス」の3本柱で躍進
株式会社 フジムラ製作所
事務所の壁面に設えられた大型スクリーンには、ネットワークカメラのライブ映像と、工程管理板KAIZENが収集するマシンの稼働状況がリアルタイムに表示される
3本柱の成長で年商10億円達成目前
代表取締役の藤村智広氏
2000年に創業した㈱フジムラ製作所は、藤村智広社長が入社した2002年以来、Web上のジョブマッチングサイトからの受注を中心に事業を拡大してきた。創業当初に数社だった得意先は、2005年には50社、2010年には200社、2015年には400社、現在は500社と、右肩上がりで増加。業種を問わず多くの得意先から多品種少量・短納期の仕事を受注する「板金ジョブショップ」としてのビジネスモデルを確固たるものにしていった。
その一方で、2010年以降は3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを活用し、アセンブリーまで考えた設計提案から溶接組立、電装組込（外注）まで一貫して対応できる生産体制を構築。第2の柱として、より付加価値の高い「ユニット・アセンブリー製品」にも対応するようになった。
さらに最近は、普及が進む「Web受発注サービス」を通じて受注する仕事量が急増。売上全体の10%を占めるまでになり、第3の柱として育ちつつある。
売上高は2018年6月期の約7億6,000万円から、2019年6月期は約9億円に増加。今年3月からは月商が9,000万～1億円強で推移しており、今後は新規の大型案件や新事業の成長が見込まれることから、今期（2020年6月期）は年商10億円超えが確実と見られる。
現場の各工程では、大型モニターにジョブリストが表示され、その日に対応しなくてはならない仕事をひと目で把握できる
作業指示書（右）のバーコードを読み込み、タブレット端末（左）で「Web受発注サービス」のパーツ情報を表示する
新本社工場への移転で「ユニット」の仕事が急増
飛躍のきっかけとなったのは、新本社工場の建設・移転だ。今年1月から稼働を開始している新本社工場は3階建てで、1・2階が工場、3階が事務所。敷地面積は約940㎡、延べ床面積は約1,400㎡。新工場開設に合わせ、パンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T+ASR-2512NTKやベンディングマシンHG-8025などを導入するとともに、それまで3カ所に分散していた設備レイアウトを見直し、生産能力を増強した。
新本社工場は、立地が準工業地帯ということもあり防音仕様で、すべての工場出入り口には静脈認証型のオートロックを採用している。3階の事務所スタッフは、男性はスーツ、女性はオフィスカジュアル。平均年齢は35歳、ほとんどのPCがデュアルモニターで、訪問客からは「IT企業のようだ」と驚かれるという。
旧本社工場は「第1工場」とし、設備の入れ替えを行って、今年6月から「ユニット・アセンブリー製品」の量産専門工場として稼働を開始。「第2工場」は従来どおり溶接専門工場として稼働を続けている。
藤村社長は「新工場の建設は2年くらい前から計画していましたが、実行に踏み切った直接のきっかけは“量産への対応”です」と振り返る。
「それまでは、量産の引合いをいただいても受注できませんでした。当社の特徴である多品種少量の仕事をこなせなくなってしまうためです。しかし、いろいろなお客さまから100セット以下 ― 30～50セットのユニットの引合いをいただくようになり、見積りは通っても能力的に受注できない状況が続いていました。新工場の建設を決断してからは、お客さまに『量産にも対応できるようになる』とPRしていきました」。
「量産の仕事が軌道に乗るまで最低1年はかかると思っていましたが、とんとん拍子に話が進んで、今年6月から事務機器メーカー向けに主要機種約500セットの量産がスタート。9月からは医療機器メーカー向けに4機種の量産がスタートする予定で、今期の売上は15%ちかく上積みされる見込みです」（藤村社長）。
パンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T+ASR-2512NTK（奥）、LC-2012C1NT（手前）、レーザマシンLC-1212αⅣNTが並ぶ
高速・高精度な小物曲げ加工に対応するベンディングマシンEG-6013
会社情報
- 会社名
- 株式会社 フジムラ製作所
- 代表取締役
- 藤村 智広
- 住所
- 埼玉県川口市領家3-12-10
- 電話
- 048-225-7781
- 設立
- 2004年（2000年創業）
- 従業員数
- 60名
- 事業内容
- 各種精密板金加工・溶接・組立
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