Interview

未経験からのスタートで“プロ”を育てる

溢れる「想い」と「情熱」を提供する

株式会社 伊藤製作所 代表取締役社長 伊藤 博一 氏

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画像:未経験からのスタートで“プロ”を育てる左:組立が終了した環境試験装置/右:出荷前の盤関係の製品

㈱伊藤製作所のWebサイトのトップページには「計測測定器・医療機などの精密機器の製造のことなら、京都市山科区の株式会社伊藤製作所におまかせください。板金・メッキ塗装・微細加工・電子機器組立・シルク印刷などを承っております。1枚のパーツに詰まった、溢れる『想い』と『情熱』をご提供いたします」と書かれている。

この言葉を裏づけるように、3代目社長の伊藤博一社長は「当社は京都の製造業として“ほんまもんづくり”を目指しています。対面の営業から始め、顧客の喜びを実現していけば、国内外の同業他社との差別化を京都から発信できると考えています。その裏づけが、当社の内作ラインと専門スタッフです。精密板金加工・メッキ・塗装・シルク印刷・組立調整を1社でまかなえる製造企業は日本でも稀です」と語る。

1965年の創業以来、53年の歴史を持つ同社は、1978年から電子機器の組立を開始。1983年に現在地に本社工場を建設し、1988年には塗装・メッキ処理業務を開始。板金加工から溶接、組立、塗装・メッキ、組立調整までの一貫生産体制を構築した。

最近は主力得意先である京都の計測機器メーカーが世界トップシェアを持っている自動車の排ガス測定装置が好調に推移しており、見込み以上の受注で納期対応に苦心している。

伊藤社長に最近の受注動向と業界動向、同社の経営戦略について話を聞いた。

2020年までは好景気が続く

画像:未経験からのスタートで“プロ”を育てる伊藤博一氏

― 最近の受注動向はいかがですか。

伊藤博一社長(以下、姓のみ) おかげさまで順調に推移しています。当社売上の30%弱を占める計測機器メーカー様の排ガス測定装置に対する需要が世界中から集まり、生産が増えています。毎年1月は発注量が減る傾向があったのですが、今回は想定以上の発注量で、現場もフル稼働。現在も納期対応に残業で対応しています。

ただ、働き方改革で時間外労働が厳しく規制されるようになり、とりあえず36協定の範囲で対応しています。

― この好調さはいつまで続くと考えておられますか。

伊藤 2020年の東京五輪までは好況が継続するといわれています。私もこの見方に同調しており、それまでに企業体質をさらに強化して五輪後の変調にも対応したいと考えています。

― ポスト五輪で景気は後退するといわれてますが、体質強化はそれに対応するものですか。

伊藤 必ずしも景気が大きく後退するということではありませんが、1964年に開催された東京五輪の後も、1970年に開催された大阪万博の後も、景気は大きく後退しました。

そうした経験から推測すると減速が懸念されますが、世界経済の動向に大きく左右されるという気がしています。

  • 画像:未経験からのスタートで“プロ”を育てるパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT(左)とAPELIOⅡ-357(右)
  • 画像:未経験からのスタートで“プロ”を育てる曲げ工程。ブランク材が載せられた台車が並んでいる

幅広い範囲でお客さまに寄り添う

― 体質強化を進めるというお話ですが、具体的にはどのようなことを考えておられますか。

伊藤 当社が受注する製品は、機器の外装として目に触れることが多く、デザイン性をアピールできるように、仕上がり品質・美観に細心の注意を払います。

狭く限定された範囲でのオンリーワンよりも、幅広い範囲でお客さまに寄り添うことを目指しています。

たとえば当社のメッキ・塗装部門は未経験からの挑戦でした。当初は未熟な部分もありましたが、既成概念にとらわれない自由な発想が、品質の徹底追求というプラス思考で仕事に取り組むことにつながって、現在では幅広いニーズに応えられる高度な技術を蓄積するようになりました。

「他社に真似できない知恵と技術を身につけるため、チャレンジを継続することが大切」という社風を全社員に持ってもらえるようにしたいと考えています。

  • 画像:未経験からのスタートで“プロ”を育てる溶接作業場
  • 画像:未経験からのスタートで“プロ”を育てる電装品の組立工程

会社情報

会社名
株式会社 伊藤製作所
代表取締役社長
伊藤 博一
住所
京都府京都市山科区栗栖野狐塚18-5
電話
075-593-3600
設立
1969年
従業員数
80名
事業内容
精密板金加工および製缶・溶接加工、メッキ処理、塗装、電子機器組立、人材派遣業務
URL
http://itoh-ss.co.jp/

つづきは本誌2018年3月号でご購読下さい。

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