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「サーボプレス化計画」を推進

4社8台の特徴あるサーボプレスを運用/100年企業を目指してプレス工場の“見える化”にも意欲

株式会社 阪口製作所

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画像:「サーボプレス化計画」を推進㈱阪口製作所・宇治田原工場のプレス加工ライン。2003年から「サーボプレス化計画」を推進し、現在は4社8台のサーボプレスを設備している

自動車安全部品のプレス加工企業

画像:「サーボプレス化計画」を推進代表取締役社長の阪口彰氏

㈱阪口製作所は、シートベルト金具・エアーバック金属部品などの自動車安全部品に用いられる金属部品を主力製品とする金属プレス加工企業。1946年の創業以来、「複雑・異形状なモノを大量生産する」をキーワードに金属プレス加工に取り組み、高品質な製品を安定供給する技術力が国内外で高く評価されている。

1997年には経済発展が見込まれるタイで現地法人KPN SAKAGUCHI CO.,LTD.(KPNS)を設立し、工場進出を果たした。KPNSでは日本と同様、自動車安全部品のプレス加工を手がけ、従業員数は400人弱にのぼる。日本(阪口製作所)とタイ(KPNS)の売上高比率はほぼイーブン。決算時期は異なるが、単純に合算すると連結売上高は27~28億円となっている。

創業70周年を迎えた2016年には、阪口彰社長が3代目社長に就任した。阪口社長は1998年、24歳で運送会社向けに出張オイル交換サービスを行う㈱サカグチトレーディングを設立。西日本を中心に、大手宅配業者のトラックの出張オイル交換を手がけ、年商5億円を超えるまでに成長させた。

24歳から会社を経営し、「資金計画を立て銀行と折衝する方法や、サービス業の考え方など、経営者としてのノウハウを学びました」と語る阪口社長は、今では阪口製作所とサカグチトレーディングの代表取締役を兼務する。卓越した経営手腕で、さらなる発展を目指している。

画像:「サーボプレス化計画」を推進左:8台のサーボプレスのうちの1台、SDEW-3025/右:すべてのプレスマシンにはカウンターが設置されており、生産数量がひと目で把握できる

「サーボプレス化計画」を提唱

2003年に同社初のサーボプレスを他社に先駆けて導入して以降は「サーボプレス化計画」を提唱し、サーボプレスの導入を推進。中にはメーカーとの連携により、プレスマシンを独自仕様にカスタマイズするなど、サーボプレスのパイオニアとして業界の技術振興にも貢献してきた。現在では4社8台のサーボプレスを設備し、各メーカーの特性を生かしたモーション制御技術を活用することで、より複雑な形状の製品でも高効率に大量供給できる生産体制を構築している。

サーボプレスは、スライドモーション制御技術により加圧速度や位置を数値設定することが可能で、下死点近傍で加圧速度を減速させることにより、複雑形状の曲げ加工でも高い生産性を実現できる。サーボモーターの回転方向を切り替える「振り子モーション」を活用すれば、下死点近傍でスライドを任意のストローク量で往復運動させ、材料送りと成形の時間を最小化することで、さらなる生産性向上につながる。さらに、加圧方法を数値で細かく設定できることから、自動車の車体部品として普及が進む高張力鋼板(ハイテン)など、従来のプレスマシンでは加工が難しかった難加工材も安定加工が可能になる。

同社はまず、サーボプレス特有の機能のひとつ―スライドを低周波の上下動により微小な振動を与えながら加圧する「パルス1モーション」(振動成形)を活用して押出し成形(ピン出し加工)を行う新加工技術「SPF工法」(SAKAGUCHI Pulse Forming工法)を開発した

続いて、「パルス1モーション」を活用した「SPD工法」(SAKAGUCHI Pulse Drawing工法)を開発し、絞り加工に不向きなハイテン(SPFH780)の深絞り加工を実現。この技術により、例えば従来のプレスマシンで加工した場合は7工程目でワレが発生していた深絞り形状(9工程)も加工が可能になった。

画像:「サーボプレス化計画」を推進サーボプレス(SDE-2025)による高張力鋼板(SPFH780・板厚2.0㎜)の深絞り加工(常温加工・9工程)サンプル。サーボプレスの特徴であるパルス1モーション(振動成形)を使用することで加工が可能になった

会社情報

会社名
株式会社 阪口製作所
代表取締役会長
阪口 雄次
代表取締役社長
阪口 彰
本社工場
京都府京都市伏見区淀下津町221
宇治田原工場
京都府綴喜郡宇治田原町立川金井谷19-5
電話
075-631-3201(本社工場)
設立
1957年(1946年創業)
従業員数
97名(国内
事業内容
自動車用安全部品などの金属部品の精密金型設計・制作、プレス加工、アセンブリー
URL
http://www.sakaguchi-jp.com/

つづきは本誌2017年8月号でご購読下さい。

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