特集

ICTを活用したモノづくりの“見える化”事例

見積りの“見える化”で信頼を獲得

多品種少量の一貫生産体制を目指す板金ジョブショップ

株式会社 フジムラ製作所

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画像:見積りの“見える化”で信頼を獲得左:第2工場(溶接工場)の大型ディスプレイにWILLの受注台帳を表示し、生産スケジュールと進捗状況を確認/右:HDS-1303 NTのAMNC/PC画面から加工データを呼び出す。奥にはWILLの端末が見える

ユニットまで対応する板金ジョブショップ

2000年に創業した同社は、藤村智広社長が入社した2002年以来、Web上のジョブマッチングサイトからの受注を中心に事業を拡大してきた。創業当初に数社だった得意先は、2005年には50社に、2010年には200社に、2015年には400社にまで増大、業種を問わず多くの得意先から多品種少量・短納期の仕事を受注する「板金ジョブショップ」としてのビジネスモデルを確固たるものにした。

この業態は今も基本的には変わらない。しかし、ここ5年間は、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを活用し、アセンブリーの製造性まで考えた設計提案から溶接組立、電装組込(外注)まで一貫して対応できる生産体制の構築を目指してきた。

その結果、ユニット単位のセット受注が増加し、金額ベースではパーツ単位の受注を上回るまでになった。毎月定期的に受注する得意先は60~70社とほとんど変わらないかわりに、1社あたりの売上規模が急速に伸びてきている。売上全体に占める1社あたりの比率は、ほとんどの得意先が5%以下だが、最近では舞台装置・装飾を手がける大手企業からの売上が20%ちかくを占めるまでに成長し、1社で10%ちかくを占める得意先も出てくるようになった。従業員数は15人から43人に増え、売上高は2.5倍になった。

画像:見積りの“見える化”で信頼を獲得左:代表取締役の藤村智広氏/右:プログラム室には大型ディスプレイが設置され、ネットワークカメラによる映像とvFactoryのバーチャルファクトリー画面により、現場の稼働状況を把握できる

ICTを駆使し“見える化”を推進

同社の成長を支えているのが、ICTを駆使することで様々な切り口から行っている“見える化”である。

同社は2013年に溶接組立業務を強化するため第2工場(溶接工場)を、今年4月には組立業務拡大のため第3工場を新設した。3つの工場はVPNで結ばれ、生産管理システムWILLの受注台帳や進捗情報といった生産情報、図面や写真といった画像情報、3次元モデル・三面図・展開図・加工データといった技術情報などを共有。生産現場では、加工マシンの現場端末からネットワークを通じて加工データを呼び出し、PC端末や大型ディスプレイで必要な情報が閲覧できる。さらに、ネットワークカメラと稼働サポートシステムvFactoryにより、工場の状況とネットワーク対応マシンの稼働状況をリアルタイムに把握できる仕組みを構築するとともに、アマダアイリンクサービスが提供する「アクティブホームページサービス」を利用することで、得意先4社に対して生産進捗情報の一部を開示している。

中でも力を入れているのが、見積り業務の“見える化”。コストテーブルを作成して社内標準単価を確立し、工程ごとの金額までオープンにして適正価格を提示する同社のスタンスは、得意先や協力工場との絆を強固なものにしている。)

見積り業務を一手に引き受ける藤村社長は「2002年に入社したときに驚いたのは、この業界の見積りのいい加減さでした。同じ製品でも忙しい時期とそうでない時期とで価格がちがうのは当たり前。理由もなく金額がちがうこともよくありました。とてもお客さまに対して真摯に向き合っているとはいえず、それでは信頼も得られない。そこで、まずはコストテーブルを作成して当社の標準単価を確立し、見積り金額のバラツキをなくすことを目指しました」と語っている。

画像:見積りの“見える化”で信頼を獲得SheetWorksを活用し、アセンブリーの製造性まで考えた設計提案を行うことでユニット単位の仕事が増加

会社情報

会社名
株式会社 フジムラ製作所
代表取締役
藤村 智広
住所
埼玉県川口市領家3-15-1
電話
048-225-7781
設立
2000年
従業員
43名
業務内容
各種精密板金加工・溶接・組立
URL
http://www.fujimurass.com/

つづきは本誌2015年8月号でご購読下さい。

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