工程統合複合加工とファイバーレーザ
徹底したムダ取りで利益率向上
収益改善に貢献するファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ
株式会社 玄海技研工業
①2014年12月に導入した、ファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ+ASR-3015 NTK/②ムダ取りの一環。スケルトンを鋼種別に集積し計量を行っている。一定以上の重量に達すると結束して工場外のスクラップ置き場に集める/③備え付けた計量器でスケルトンを計量する
様々な業種を手広く扱う事業スタイル
福岡県福岡市にある㈱玄海技研工業は、業務用空調機器向けダンパー用部品や吹出口用部品、産業機器、電子機器、医療機器、環境資材、農業機械、各種筺体など幅広い業種の仕事を手がけている。
同社の創業は1974年、石井光俊社長が31歳のとき。石井社長は、学校卒業後は航空自衛隊へ入隊、5年間の任務後、変圧器の製作やモーターの修理を行う重電機工場へ就職した。ここで7年勤め、モノづくりのノウハウを学んで独立した。
創業当時は、空調機器メーカーから業務用空調機器向けダンパー用部品や吹出口の組立の仕事を受注。事業が順調に推移し1979年に法人化、1992年には㈱玄海技研工業へと株式改組を行った。
1996年に現在地(敷地面積1,200㎡)へ移転。併せてパンチングマシンARIES-245Ⅱを導入し、板金加工分野へ本格的に参入した。
石井社長は「当時は適正単価すら分からない状態で同業他社から2次受注、数年間、試行錯誤しながら板金加工のイロハを学びました。そして仕事は“待つ”のではなく、自社で得意先を開拓する必要があることを痛感。専任の担当者を置き、営業活動を積極的に行うことを決意しました」と語る。
その後は、モノづくりの機械化・自動化を進め、設備力を強化するとともに、新規開拓を推進し業務内容を拡大。2014年はファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJの導入をはじめ、敷地面積を2,400㎡まで拡大するなど、福岡県内でも有力な板金サプライヤーに発展した。
左:石井光俊社長(左)と 野口誠二専務(右)/右:福岡県糸島市にある㈱玄海技研工業の工場外観
独自の経営哲学を実践
一般的に中小製造企業は収益力の低さが課題とされているが、同社の場合は高度な生産システムと徹底したムダ取りにより高い利益率を実現している。
その要因は、トヨタ生産方式やカルビーの松本晃CEOの経営哲学などを参考とし、石井社長が構築した経営哲学を社内で実践している点だ。
実践例のひとつが、適切な設備投資。例えば同社は2000年、当時のボトルネック工程を洗い出し、最適な設備としてパンチングマシンPEGA-358NTをサイクルローダー付きで導入した。「省力効果は予想以上。生産性が飛躍的に向上し、高い利益率を実現できるようになりました」(石井社長)。
もうひとつは、改善活動の成果をきちんと反映させる仕組みを構築していることだ。
同社には「玄海式生産システム」が構築されている。このシステムは、トヨタやカルビーを参考に、石井社長がつくりだした生産に対する考え方である。
「玄海式生産システムとは、利益が改善できない原因を人に求めず、仕組みに着目するカルビーの考え、JIT生産によるムダ取りを徹底するトヨタ生産システムの考え方を合わせ、自社用に応用させたプル型生産システムになります」(石井社長)。
溶接エリア
出荷前の製品
会社情報
- 会社名
- 株式会社 玄海技研工業
- 代表取締役
- 石井 光俊
- 本社住所
- 福岡県福岡市早良区次郎丸2-23-13
- 工場住所
- 福岡県糸島市志摩松隈282-14
- 電話
- 092-327-2868(工場)
- 設立
- 1979年(1974年創業)
- 従業員数
- 28名
- 主要事業
- 精密板金加工、金属プレス加工
つづきは本誌2016年11月号でご購読下さい。