2カ年計画で変種変量生産体制の実現を目指す
東京という立地を活かし、三多摩地域で新規開拓・人材確保を推進
株式会社 ナカジ 専務取締役 中島 亮 氏
22歳で事業継承を決意
中島亮氏
「子どもの頃から、いずれは自分もこの会社の後を継ぐことになるのかなという漠然とした思いはありました。しかし社長(中島茂社長)から『後継ぎだから』と言われたことは一切ありません。大学進学時は、10代で事業を継ぐか否かという人生の一大決心ができるわけもなく、どちらに転んでもいいようにしておきたいと考えました。大学で経営情報学を専攻したのも、事業継承は別にして、社会に出るときに役立つだろうという思いからです」。
「自分が親になってみて、社長が私に何も言わなかった理由がよくわかります。億単位の加工設備を導入し、従業員とその家族の生活まで責任を負うことを考えると、息子だからといって軽々しく『継げ』とは言えません。経営とは人に言われてやるのではなく、本人がそれなりの“覚悟”をもって臨まないとできることではありません」。
大学卒業後は樹脂加工会社に就職したが、中島専務が事業継承の“覚悟”を決める日は思いのほか早くきた。
「大学卒業から半年後、父が病気で入院しました。下手をすると命にかかわる病気で、そのときの父の様子をみて『俺がやらなきゃ』と思いました」。
変種変量生産への対応強化を目指して拝島工場に導入したパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT
LC-C1NTで加工した医療機器部品。レーザ・パンチ・成形・タップを統合し、ワンクランプで加工
「マネジメントゲーム」が原点
中島社長は大学卒業から10カ月、22歳で家業の㈱ナカジに入社した。当初はプログラム、それから経理、営業と担当していった。プログラム工程では、すべての工程とコミュニケーションを密に取る必要があることから、少しずつ社内での連携が深まり、知識が広がっていった。
職業訓練法人アマダスクールが主催するJMC(経営後継者育成講座)を受講したのは2004年、まだプログラムを担当していた頃だった。
「病から復帰した社長から『こういう講座があるが、どうする?』という話があって、せっかくなので受講させてもらうことにしました。受講した期は私を含めて9人で、最初は緊張していましたが、徐々に打ち解けていきました。JMCは合宿研修で昼夜を分かたず常に一緒に行動するので、次第にプライベートなことを含めて開けっぴろげになっていきました。このときの体験は貴重なもので、人間関係やコミュニケーション、間合いの取り方など、勉強になりました」。
「当時の同窓生の中には、今でも連絡を取り合っている方もいます。また、埼玉県入間市にある㈱北陽製作所の北原陽子専務とは、JMC修了生という共通項があったことから親交が深まりました。同じ事業継承者という立場同士、他所では話しづらい愚痴や悩みごとを聞いてもらうこともあれば、仕事を融通しあうこともあります」
「カリキュラムの中では『マネジメントゲーム※』がとりわけ印象的でした。経営に関する数字を判断材料に、利益を出すためには何が必要か考える―忙しさに取り紛れて普段は忘れがちなのですが、ふとした拍子にマネジメントゲームで学んだことを思い出して、基本に立ち返ります」。
ベンディングロボットシステムASTROによる曲げ加工
曲げ工程ではパート社員が活躍している
※マネジメントゲーム
参加者ひとりひとりが経営者となり、ゲーム形式で経営シミュレーションを行うことによって、利益が生まれるメカニズムや会社の全体像を理解するという研修プログラム。
会社概要
- 会社名
- 株式会社 ナカジ
- 代表取締役
- 中島 茂
- 専務取締役
- 中島 亮
- 本社・工場
- 東京都昭島市緑町3-23-5
- 拝島工場
- 東京都昭島市拝島町5-1-27
- 電話
- 042-541-1123
- 従業員
- 25名
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