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薪ストーブや廃棄物分別機などの環境にやさしい機器を製造

脱炭素に対応してファイバーレーザマシンを導入

株式会社 モキ製作所

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画像:薪ストーブや廃棄物分別機などの環境にやさしい機器を製造遠心力と風力を使って分別する自社製品の破袋分別機「分離職人」(手前が小型タイプ、奥が消音ボックスで囲われた大型食品工場向け)

鍛冶屋から脱却し、薪ストーブを開発

画像:薪ストーブや廃棄物分別機などの環境にやさしい機器を製造唐木田国彦社長

㈱モキ製作所は、農耕・家庭用具の金物類を製造していた1908年創業の鍛冶屋「茂木」の4代目・茂木国豊氏(現・モキ製作所会長)が、24歳のときに鍛冶屋の将来に見切りをつけ、1968年に「茂木製作所」を開業し、1976年に「㈱モキ製作所」として法人化した。

1980年の第2次オイルショックで暖房用灯油が高騰したのをきっかけに、いずれは“木質燃料”が見直されると考えた茂木会長は、省エネ・リサイクルの「おがくず」ボイラを開発、環境ビジネスをスタートした。1982年に「茸袋分離機」を開発。1986年には煙突付き焼却炉が一般的な中、煙突なしの家庭用焼却炉を開発。7年で販売実績日本一を記録。無煙・無臭・白い灰で高温焼却炉の国内市場を独占した。

茂木会長が次に着目したのが煙の出る薪ストーブ。長年の燃焼哲学から、日本・ドイツ・米国・中国の特許を取得した「茂木プレート」を発明。熱と煙の対流燃焼に成功した。高温燃焼で煙公害を解決し、従来の薪ストーブの多くの問題点をクリアした薪ストーブを発表した。

食品リサイクルに対応する分別機を開発

1998年には食品リサイクルの現場で課題となっていた廃プラなどの分別作業を効率化するため、破袋分別機「分離職人」を開発した。同機は汚れた廃プラを洗浄して処分費を削減、処理過程の異物除去など幅広い用途に対応し、コスト削減や廃プラのリサイクルを実現する。内部の羽根が高速回転することで中身を遠心力で下へ落とす仕組みになっており、風力で軽量なフィルムやプラスチックも分別されるため、従来では困難だった包装形態にも対応可能となった。この革新性が評価され、食品加工業界から大きな注目を集めた。

2004年には長野県発明くふう展で「破袋分別機」が、2006年には「無煙薪ストーブ」が文部科学大臣賞を受賞。2007年には特許庁から「知財で元気な企業」に認定された。

画像:薪ストーブや廃棄物分別機などの環境にやさしい機器を製造左:組立工場(奥)と2025年2月に竣工した部品工場(手前)/右:自社商品の「無煙薪ストーブ」。空気口内部に「茂木プレート」を導入しており、空気の流れを効率化し燃焼を最適化する

丁寧なものづくりを徹底

唐木田国彦社長は「当社はこれまで薪ストーブや廃棄物分別機、その他の環境機器の製造を専門として環境問題に情熱を注いできました。義父でもある茂木会長独自の『燃焼哲学』から生まれた無煙薪ストーブは、日独米中特許の三次燃焼方式の『茂木プレート』を採用しており、プレート効果で着火後まもなくストーブが暖まり始めます。驚きの着火性で寒い朝でも焚きつけが楽しくなります。高温燃焼で発生した熱と煙は『茂木プレート』によって煙突に直行せず対流燃焼を繰り返します。膨張した燃焼ガスは『茂木プレート』の下を通り抜ける仕組みにより800℃の高温燃焼=完全燃焼による素早い無煙化を実現。長年の研究の結果、従来の薪ストーブの問題点をクリアしました」。

「ストーブ本体はすべて鋼板製。鋼板は伸びがあるため強度が強く、鋳物と比較して温度変化に強い材質です。プレートには耐久性の高い材質SUS316を採用しています。高温燃焼による傷みが出た場合もワンタッチで交換可能です。主要部分は工場設備を活用し、作業者が1台1台丁寧に製作、溶接作業も手作業で行うなどこだわりがあります」。

「『分離職人』は食品工場で多く活用されるため、耐食性に優れたSUS304、SUS316、SUS430などを使い、お客さま仕様に合わせて1台ずつ丁寧につくっています。製品の8割は標準品のリピート生産で、セミオーダーを含めたオーダーメイド生産が2割ほどになっています。加工材料は鉄系ではSS材が多く全体の3割、7割がSUS304、SUS316、SUS430といったステンレスとなっています。板厚は2.3~6.0㎜が大半です。販売は代理店経由が8割で、ネットを含めた直販の割合が薪ストーブを中心に2割ほどになっています」と説明する。

創業以来、環境ビジネスに取り組んできた同社の創業理念は、SDGsの理念と深く共鳴するもので、ものづくりをとおして持続可能な社会の実現に向けて努力している。

画像:薪ストーブや廃棄物分別機などの環境にやさしい機器を製造左:ファイバーレーザマシンVENTIS-3015AJe(4kW)+LST-3015G/右:ベンディングマシンHD-8025NTによる曲げ加工

会社情報

会社名
株式会社 モキ製作所
代表取締役会長
茂木 国豊
代表取締役社長
唐木田 国彦
本社工場
長野県千曲市内川96
第2営業所
長野県千曲市上徳間807
電話
026-275-2116(本社工場)
設立
1976年
従業員数
30名
主要製品
分離職人(破袋分別機/缶詰分別機/廃プラ脱水機)、燃焼器(無煙薪ストーブ/サウナストーブ/防災イベントストーブ/無煙竹薪ボイラ/無煙炭化器/焚き火どんどん/NO焼き台/俺のかまど)
URL
https://www.moki-ss.co.jp/

つづきは本誌2026年1月号でご購読下さい。

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