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4軸ハイブリッドサーボプレスによる複動加工技術を開発

日本鍛圧機械工業会の「MF技術大賞」などを受賞

株式会社 三陽製作所

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画像:4軸ハイブリッドサーボプレスによる複動加工技術を開発2013年以来12年間でサーボプレス5台を導入し、技術開発を加速させた。中央のSDE-3030iⅢが、今回開発した4軸ハイブリッドプレスとなる

4軸ハイブリッドプレスによる複動加工技術

画像:4軸ハイブリッドサーボプレスによる複動加工技術を開発左から水村隆専務、水村滋社長、開発営業部長の角道将人取締役

㈱三陽製作所は、4軸ハイブリッドプレスによる複動加工技術を開発した。経済産業省の令和4年度(2022年度)予算「成長型中小企業等研究開発支援事業」(Go-Tech事業)に採択され、横浜国立大学、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)などとともに研究開発に取り組んだ。

この新技術は、汎用サーボプレスに補助油圧3軸を加えた4軸ハイブリッドプレスとCAE(弾塑性解析)の有効活用により、品質・コストの両面で高い競争力を備えた塑性加工製品を実現する。具体的には、カップのような複雑形状の絞り加工や、スパイラルベベルギヤ(まがりばかさ歯車)のような複雑3次元形状の冷間分流鍛造などが可能になる。

同技術は、2024年度の日本塑性加工学会・南関東支部「技術開発賞」を受賞した。同賞は、「塑性加工の分野における優れた業績で独創性のある特定の技術または材料・機械・製品を開発した技術」に贈られる。

また、アマダ、アマダプレスシステムと共同で開発した新技術「4軸ハイブリッドプレスを用いた複動加工製品の製造」として、日本鍛圧機械工業会が主催する「MF技術大賞2024-2025」の最高賞「MF技術大賞」を受賞した。同賞は、Metal Forming(MF)に不可欠な鍛圧機械・製品加工・金型・システム・素材・製品組立・研究の7つの項目を組み合わせた「ものづくり総合力」が顕彰され、鍛圧機械メーカーと加工メーカーなどの連合体が表彰される。

  • 画像:4軸ハイブリッドサーボプレスによる複動加工技術を開発補助油圧3軸を追加した4軸ハイブリッドプレスの金型構造
  • 画像:4軸ハイブリッドサーボプレスによる複動加工技術を開発左:背圧を加えながら絞り加工を行ったカップ/右:冷間分流鍛造工法で加工したスパイラルベベルギヤ(まがりばかさ歯車)

複雑形状の絞り加工と冷間分流鍛造を実現

カップの逆絞り加工では、プレススライド内の油圧ユニットを用いて材料に背圧を加えながら成形することで、材料の破断を抑制する。これにより工程数を削減し、金型コストと製造コストを約16%削減した。金型にバネやガススプリングを組み込む従来の方式では必要な背圧(60kN)を得られず、油圧軸を追加したことで初めて実現できた。また、サーボプレスのモーション制御を併用することで、生産性を向上しつつ、さらなる難加工への対応も可能になる。

スパイラルベベルギヤの冷間鍛造では、成形が進んで荷重が急激に上昇する手前(下死点の手前0.5㎜)で、金型パンチ内に設けたノックアウトピンを上昇させ、材料が逃げる空間をつくり出し、冷間分流鍛造を行う。塑性流動をコントロールすることで成形性を向上し、低い荷重のまま材料の充填率を高めることに成功した。

これにより、製品としての品質を満たす歯形部の充填率80%の時の成形荷重を約30%低減。従来工法では3,000kNを要する加工が、冷間分流鍛造工法では2,000kNで実現でき、金型・プレス機の大幅なダウンサイジングとコストダウン、金型の長寿命化に貢献する。

背圧の設定、分流開始のタイミングなどは、事前にCAEにより最適化し、そのうえで実機による検証を行っている。

  • 画像:4軸ハイブリッドサーボプレスによる複動加工技術を開発スパイラルベベルギヤのレース加工を行うCNC旋盤と、ワークを自動供給する多軸ロボット
  • 画像:4軸ハイブリッドサーボプレスによる複動加工技術を開発自社開発した歯車検査機でギヤを噛み合わせ、回転時の音と振動を測定・評価する実験も進めている

会社情報

会社名
株式会社 三陽製作所
代表取締役
水村 滋
所在地
神奈川県横浜市金沢区朝比奈町138
電話
045-781-5873
設立
1953年
従業員数
51名
主要製品
スチール家具関係部品・農業用機械部品/小型エンジン部品/電力設備部品・建築関係部品/金型治工具設計製作・各種自動機械設計製作
URL
https://www.sanyoseisakusho.co.jp/

つづきは本誌2025年6月号でご購読下さい。

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