医療の現場で望まれている「痛みが少ない注射針」の開発を目指す
関西大学 システム理工学部 機械工学科 青柳 誠司 教授
関西大学の青柳誠司教授
蚊の口針を模倣した「マイクロニードル」の開発
天田財団の2018年度「一般研究開発助成」に塑性加工分野で採択された関西大学 システム理工学部 機械工学科の青柳誠司教授の研究テーマ「蚊の針のサイズを追求した中空マイクロニードルの微細成形加工」は長年、ロボット・マイクロシステムなどを研究してきた青柳教授が、ナノ・マイクロメートルスケールの3次元微細構造の創成技術とバイオミメティクス技術の融合による新学問分野の確立、医療デバイス、メカトロニクス・ロボティクス関連のデバイス開発への応用を進める中で実施してきた研究開発テーマである。青柳教授は「低侵襲性の無痛針」を実現するため、蚊の口針を模倣した「マイクロニードル」の開発を目指してきた。
青柳教授がこの研究を思い立ったキッカケは、「痛みが少ない注射針」が医療の現場で望まれていることを知ったことにある。注射器は病気の治療や予防にあたり欠かすことのできない医療用品の一つである。しかし、あのチクリとした痛みが嫌で、できれば打つのを避けたいと思う人が多い。そんな人々の気持ちに応えたいと考えたのが発端となっている。
注射針と蚊の針の太さの比較。針の太さが細いほど痛点に振れる確率は低くなり、患者の負担軽減につながる
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