複合マシンと自動倉庫の連携による自動化ソリューション活用事例
複合マシン増設と生産ライン二重化で医療機器部品の増産要請に対応
「精密板金部門」と「建築板金部門」の二本柱で事業展開 ― 新工場棟の稼働で生産能力2倍超
株式会社 斎藤板金工業所
新設した工場棟に導入したファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJe(左)と自動倉庫MARS-2512N(右、8段6列)
工場面積1.6倍、生産能力2倍超に
長南由春社長(左)と製造部の齋藤勇部長(右)
山形県鶴岡市の㈱斎藤板金工業所は2025年5月、新工場棟の全面稼働を開始した。
主力顧客である大手医療機器メーカーからの増産要請に応え、新たに工場建屋を3棟増築。既存の3棟と合わせ、計6棟となった。建屋の増築にともない、ファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJeと自動倉庫MARS(8段6列)、自動金型交換装置付きサーボベンディングマシンEGB-6020ATCe×2台、新型バリ取り機などの自動化設備を導入した。
新設した3棟のうち、1棟目はブランク工程と2次加工エリアでACIES-AJe+MARSなどを設置し、2棟目は曲げ工程でベンディングマシン4台を設置した。3棟目は1階を梱包・出荷エリア、2階を営業事務所とした。
既存の工場建屋3棟も、設備の配置を見直して動線を整え、各棟の機能を明確化した。1棟は建築板金工場で、ほか2棟にはパンチ・レーザ複合マシンEML-3510NTと自動倉庫MARS(8段6列)、ENSIS-3015AJ(3kW・パレットチェンジャー仕様)、ベンディングマシン8台が設置されている。
これにより、同社の工場面積は約1.6倍に広がり、生産能力は2~2.5倍に向上した。自動化・スキルレス化を推進したことで、人材不足や人材多様化への対応力も高めた。内製化により板金加工の外注割合は従来の10~15%から5%以下まで減少し、柔軟な納期対応が可能になるとともに、利益率も改善した。また、ブランク・曲げのラインを2系統とすることでBCP対応を強化し、トラブル発生時も供給責任を果たせる体制を整えた。
左:新設した曲げ工程。ACIES-AJeで加工したブランクを加工する。ATCベンダー3台とFMBⅡ-3613NTが並ぶ/右:EGB-6020ATCeによる医療機器部品のステップベンド加工。5台のATCベンダーはすべて女性のベトナム人技能実習生がオペレーションを担当する
「精密板金部門」と「建築板金部門」の二本柱
同社は1937年に建築板金の専門企業として創業したのち、積雪が多い冬季の仕事を確保するため、農機具の部品製造などの工場板金を手がけるようになった。1977年に鶴岡工場を新設したのを機に、本格的に「精密板金加工」の分野へと進出し、それ以来、約半世紀にわたって技術・技能を磨いてきた。
今では売上全体の約80%を「精密板金部門」が占め、残りの約20%を祖業である「建築板金部門」が担うユニークな事業スタイルを構築。「金属のフロンティア」を企業理念に掲げ、「フロンティアスピリッツ」により精密板金・建築板金の両面から金属加工の可能性を追求している。
「精密板金部門」の顧客は約20社で、そのうち主力の大手医療機器メーカーからの売上が90%弱を占め、検体検査装置などの筐体や内部部品を手がけている。医療機器は受注変動の小ささと長期リピート生産が特徴だが、欧州向け新機種のリリースやモデルチェンジのタイミングが重なり、今回の増産要請につながった。
長南由春社長は「少子高齢化は世界的な課題で、欧州では検体検査装置の需要が高まっています。コロナ禍で流通・販売が滞っていた分の需要が本格化し、今期(2026年度)と来期(2027年度)は繁忙が見込まれます」と説明する。
「建築板金部門」は、一般住宅の屋根・外壁工事から雨どい工事、リフォームのほか、神社・仏閣の屋根葺工事などの特殊工事まで幅広く対応している。建築板金技能士や建築施工管理技士といった有資格者が在籍し、豊富な施工実績で多様なニーズに応えている。
2019年以降は、主要顧客からの要請に基づき、SDGsへの取り組みを活発化。社内照明の完全LED化やペーパーレス化に取り組んできた。今回の設備投資でもCO2排出量を低減する省エネ設計の最新機種、女性活躍や従業員の負担軽減に貢献する自動化設備を採用している。
福利厚生面の充実にも、いち早く取り組んできた。年次有給休暇の取得促進へ向けて、半日単位・1時間単位での有休取得、有休の計画的付与などを導入したほか、失効した年次有給休暇の積立制度の導入と取得事由の拡充などを順次実施。女性社員の増加にともなって事前申請の制約も撤廃した。多角的な視点からダイバーシティを推進し、多様な人材が活躍できる職場環境を整えている。
左:ベンディングロボットシステムEG-6013ARも活用し、自動化を推進している/右:検査工程もペーパーレス化を推進し、タッチパネル式のモニターに図面を表示してチェックを入れる
会社情報
- 会社名
- 株式会社 斎藤板金工業所
- 代表取締役社長
- 長南 由春
- 所在地
- 山形県鶴岡市道形字二ツ屋64-1
- 電話
- 0235-24-5112
- 設立
- 1967年(1937年創業)
- 従業員数
- 72名(アルバイト・パート・実習生を含む)
- 主要事業
- 医療機器部品・各種筐体の精密板金加工/折板屋根工事、内外装建築板金工事
つづきは本誌2026年8月号でご購読下さい。
- 当サイトで購入
- Amazonで購入
- Fujisanで購入


