性別にとらわれず、それぞれの優位性を生かしたものづくり
「自分にしかできないこと」を見つけ、達成感とやりがいを感じる
島田工業 株式会社 第一工場生産管理部 丸山 奈津美 さん
第一工場生産管理部の丸山奈津美さん
ブランドコンセプトは「ひとから生まれるものづくり」
島田渉社長
島田工業㈱の掲げるブランドコンセプト「ひとから生まれるものづくり」は、人が良くなければ、良い製品を生み出すことはできないという考えに基づいている。そのため同社の「ひと」に対するこだわりは強い。パーパス(存在意義)や経営理念、100年企業を目指したビジョンにおいても中心になるのは「ひと」の存在だ。
経営理念である「顧客満足」の「顧客」とは得意先だけでなく、同社のステークホルダ ― 従業員とその家族、仕入れ先、地域の人など同社と関わるすべての人を意味している。そうした人たちとともに歩み、WIN-WINとなれる関係を築くことで、すべての人々が満足することを目指している。
創業50年を迎えた2023年には「shimada way」というパーパスを策定。目指すところは「100年笑顔継続企業」というビジョンと「心豊かでワクワクする、人と未来をもっと」という理念だ。
2021年からは得意先、従業員を含めた社会全体に同社の製品やサービス、企業全体を「島田工業ならではのもの」として認識してもらうための取り組みの一環として、コーポレートブランディングを高める活動にも取り組み始めた。中でも従業員の有志たちが行うSNSやYouTubeなどを活用した情報発信は、どんな会社かがわかりやすいと就活生などに好評で、新卒者だけでも2022年に2名、2023年、2024年に3名が入社しており、2025年には4名の採用が内定している。
自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATCが2台並ぶ曲げ工程。金型交換が自動でできるため、作業者の負担は軽減した
HG-ATCのNC制御装置「AMNC 3i」で金型交換を指示する丸山さん
製造業には女性の職場というイメージがない
現在の従業員数は派遣社員も含めて134名で、女性の割合は30%。組立工程と検査、品質管理を含め現場で働く女性は約40名と多いが、第一工場(板金加工)で直接的に機械加工に従事しているのは3名のみ。
そのうちのひとり、曲げ加工を担当する生産管理部の丸山奈津美さんが同社に入社したのは2018年。それまでは子育て中心の生活で子どもが学校に行っている間だけパートとして働いていた。フルタイムで働けるところを探していたときに、知人から紹介されたのが島田工業だったという。
「求人誌も見ましたが年齢的にも難しく、自分に何ができるかもわからない。そこで知人に相談したところ、紹介してくれたのが島田工業でした。とはいえ、もともとものづくりに興味があったわけではありません。面接で島田社長から話を聞き、工場の中をひととおり見てまわりましたが、何が何だかわからない状態でした。そもそも製造業に対しては女性の職場というイメージがない。求人を探すにしてもこれはたぶんできない仕事だと無意識に省いていました。せっかくの話だけれど難しいのではと悩んでいたところ、島田社長が『大丈夫。ちゃんと面倒見るよ』と言ってくれました。すごく男気があるなって、それで少し気持ちが軽くなった部分もあります。一週間ほど考えて、『できるかどうかはわからないけれど、やってみます』と入社を決めました」(丸山さん)。
ファイバーレーザ複合マシンLC- 2512C1AJが2台並ぶ(写真は1台)
ベンディングロボットシステムEG-6013AR
会社情報
- 会社名
- 島田工業 株式会社
- 代表取締役
- 島田 渉
- 所在地
- 群馬県伊勢崎市長沼町2202
- 電話
- 0270-32-3516
- 設立
- 1980年(1973年創業)
- 従業員数
- 134名(派遣社員も含む)
- 主要事業
- 空調設備関連製品の設計・部品加工・製品組立、医療用冷凍保管庫・業務用食器洗浄機・半導体製造装置・理科学用機器・ポンプ用制御盤などの精密板金・プレス部品の設計・製造、自社企画商品の開発、製造開発支援業務など
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